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地質学者で世界中を飛び回っている探検家でもあるフィリップ・マーサーは、旧友から格式ある「探検者協会」への入会をもちかけられる。ただし、交換条件は、極北の氷雪の大地グリーンランドの探検旅行への参加であった。 探検は、ドイツの環境NPO「ジオ・リサーチ」の環境調査隊などとの合同で行われることになっていた。 一方、第二次世界大戦末期に、ナチスがユダヤ人から奪い隠匿した、数々の財宝を奪還しようとしているユダヤ人老ナチ・ハンター2人がいるのだが、その一人の孫娘で、祖父の仕事を手伝うアニカ・クラインという医師がいる。 このマーサーとアニカが主人公の、冒険サスペンス小説の紹介である。 グリーンランド東岸には1950年代に、アメリが軍が氷原での生存の可能性を実験するために、キャンプ・ディケイドという基地を建設したが、封鎖されたままになっていた。この基地の現状を調べるのが、マーサーに科せられた任務だった。 アニカもまた、この環境調査隊に加わることになっていたが、その前に祖父の依頼を受け、ナチ時代に行方不明になっていた莫大な量の金塊の所在を知ると思われる、当時の生き残り元工兵に会いにいった。 そこで、アニカは謎の男たちに生命の危機にさらされ、工兵は殺されるが、その工兵が戦争中「パンドラ計画」という極秘作戦に関係していたことを知る。また、死に際の彼の口から、いざというときに役に立つ人物としてフィリップ・マーサーの名前を告げられる。 さ〜て、舞台は極北の地グリーンランドに移り、冒険と謀略の幕が切って落とされるのである。 この後は、本書をお読みいただきたいが、いろんな伏線が絡んでくる。 1953年にこの基地の近くに、アメリカ軍のC-97輸送機が墜落しており、この捜索に加わったアイスランドの探検家が、捜索後原因不明の不可解な病死を遂げている。 また、新ローマ法皇の就任に伴い、法皇は世界中の宗教者を集めて「寛容についての宗教会議」を巨大な最新のクルーズ客船で開催することを決定したが、この客船がグリーンランド沖を航行することになっていた。 はたして、グリーンランドの雪原でマーサーやアニカを何が待ち受けているのか? 極秘作戦「パンドラ計画」の恐るべき真実とは? 世界を震撼させる謎を巡って、ドイツの大企業とネオ・ナチの陰謀が渦巻き、マーサーたちはその渦の中に巻き込まれ、マイナス数十度の極寒の地で絶体絶命の窮地に立たされるのである。 少し、面白いフレーズのところを拾ってみる。 <お爺ちゃんはよく、人間というのは忘れ去られるまでは本当に死にはしないのだといっている。お爺ちゃんにとって義理の息子にあたるアニカの父親が心臓麻痺で亡くなったとき、お爺ちゃんははじめてそのことを彼女に話した。アニカが忘れないかぎり、お父さんは生きつづけるのだと。> <マーサーは人生で重要なのはいちばん正しい判断をすることではないと学んでいた。それなら簡単だ。ほんとうに問題なのは、まちがった判断の結果を最小限にできるかどうかである。> <「わたしはパンドラの神話に逆説的な箇所を見つけたよ」マーサーの声は少なくともしっかりしていた。 「逆説ってどういうこと?」アニカがたずねた。「パンドラはゼウスがエピメーテウスに与えた箱を開け、あやまってあらゆる害悪を世界に解き放ってしまった。でも、貪欲や嫉妬や疾病といったものがすべて逃げだしたとき、彼女は希望がまだ箱に残っていることに気づいた。どんなものが身にふりかかろうと、つねに希望は残っているという、すばらしいお話だわ」 「それが人々がこの話から得る教訓だ」マーサーは苦々しげに認めた。「わたしがいっているのはそのことじゃない。そもそも箱のなかになぜ希望が入っていたんだ? いままで誰も不思議に思わなかったんだろうか。なぜ希望が疾病や憎しみや欲望といっしょに入っていたんだ? なぜなら、希望はそのどれにも劣らないほど破壊的だからだ。いやそれ以上かもしれない。希望は神からの贈り物のつもりでは毛頭なかった。罰だったんだ。希望は勝算があるときには、人に力を与えてくれる。しかし、状況がどうしようもないときには、拷問になるんだ」> <今日のお薦め本> 『パンドラの呪い』 上・下 ジャック・ダブラル 著、村上和久 訳、ソニー・マガジンズ 刊(ヴィレッジブックス)、上:800円+tax・下:780円+tax、05.10.20発行 <後記>クライブ・カッスラーという作家がいます。ダーク・ピットという主人公のシリーズがあります。 『タイタニック号を引き揚げろ』、『ラドラダの秘宝を探せ』、『古代ローマ船の航跡をたどれ』、『死のサハラを脱出せよ』等々、誠に面白い冒険小説です。本書は似ていますが、ダーク・ピットシリーズほど荒唐無稽ではありません。 新ローマ法王の誕生やナチ・ハンター、戦時中にグリーンランドに墜落した「失われた飛行隊」などの多くの史実を織り込んで物語を組み立てながら、つぎつぎに見せ場をつくっていくので、手に汗を握りながら読み進むことができます。 本書は上・下に分かれていて長く、夜寝る前に読んで2週間ほどかかりましたが、途中本を置くのが惜しい場面がいくつかありました。映画にしたら、面白い活劇物(古いか?)になると思われます。 冒険小説がお好きな方は、是非どうぞお読みください。 パンドラの呪い〈上〉
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一番取ったー と まずは 大喜び カッスラー 読んでるよ と 報告 |
seizi05 2006/02/18 10:39 |
☆ アハハ、seiziさん、今日は早い! カッスラーは面白いよね。『死のサハラを脱出せよ』が一番だと思うんだけど。 |
遊哉 2006/02/18 11:41 |
こんばんは♪ |
aopu URL 2006/02/18 23:00 |
☆ aopuさん、このフレーズは、めちゃくちゃ深いでしょ。この部分を読んだ時に、そうかそういう見方もあるのかと、妙に納得したものです。この主人公は軽口をたたいたり、変に諧謔的なことを言うのが癖みたいです^_^;。 |
遊哉 2006/02/19 01:14 |
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