団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『生きて死ぬ智慧』 ― 般若心経 ―

<<   作成日時 : 2006/02/02 23:02   >>

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 般若心経(はんにゃしんぎょう)という有名なお経がある。大乗仏典の一つである「摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみたしんぎょう)」の略で、「真理に目覚めるための大いなる智恵の教え」という意味だそうだ。
 「色即是空 空即是色」などの名句で知られるが、今このお経に関心が高まっているという。

 不安な時代だからだろうか、5千余巻にもなるという仏教経典のエッセンスを、たった262字で伝えるとされる般若心経に心惹かれる人が多いようである。
 このお経は「西遊記」でおなじみの玄奘が訳したものだという。日本でも古くから在家(ざいけ)信者にも読誦(どくじゅ)されていた。うちのクソ親父も、ときどき仏壇の前で唱えているのだが、どうも辛気臭くていけない、と思っていた。

 ところが、先日紹介した養老孟司著『無思想の思想』の第六章「無思想の由来」で、この般若心経を紹介しているのである。
 彼によれば、無思想という日本の思想は、仏教に由来しているに違いない、という。そして、般若心経を調べてみたら、「無」という字が21あり、これこそ無思想の思想そのものである、なんていうことを書いている。
 そのあたりの詳しいことは、この本を読んでもらいたいのだが、般若心経の解説書の中で、「仏教関係者ではない人のものとして、柳澤桂子『生きて死ぬ智慧』(小学館)が近年の好著であろう。内容は一種の翻訳である。」と書いている。
 これは、読まずばなるまい、と思い読んでみた。

 読んではみたが、わかったような気もするが、うーん、やっぱりわからない。
 ためしに、上にも挙げた次の有名な名句の箇所をみてみよう。

  色即是空(しきそくぜくう)
  空即是色(くうそくぜしき)

 これを、まず直訳として載せている「般若心経の意味と英訳文」ではこうなる。(英訳はリービ英雄)

 色即是空……色は即ちこれ空なり [ 一切の形あるものが、そのままでありながら、なにもない ]
      Form ― it is, in fact, emptiness.
 空即是色……空は即ちこれ色なり [ なにもないことが、そのまま、形あるものを現出している ]
      Emptiness ― it is, infact, form.

これを、柳澤桂子はこんな風に翻訳している。(この本では、彼女の訳を「心訳」といっている)

<お聞きなさい
 形のあるもの
 いいかえれば物質的存在を
 私たちは現象としてとらえているのですが
 現象というものは
 時々刻々変化するものであって
 変化しない実体というものはありません
 実体がないからこそ 形をつくれるのです
 実体がなくて 変化するからこそ
 物質であることができるのです>

 さあ、わかるだろうか。これだけじゃわかるわけがないよねえ。でも、バカ親父は何か感じるところはあるのである。
 彼女は、まえがきで、こんなことを書いている。

<ひとはなぜ苦しむのでしょう……
 ほんとうは
 野の花のように
 私たちも生きられるのです

 もし あなたが
 目も見えず
 耳も聞こえず
 味わうこともできず
 触覚もなかったら
 あなたは 自分の存在を
 どのように感じるでしょうか
 これが「空(くう)」の感覚です>

 何か感じて、読んでみようと思われる方は、読んでみてほしいのである。

<今日のお薦め本>
『生きて死ぬ智慧』 柳澤桂子・文、堀 文子・画、小学館 刊、1,143円+tax、05.03.20(第三刷)

<後記>柳澤桂子という方は、長年、原因不明の病と格闘した生命科学者です。研究生活は断念しましたが、闘病生活のかたわらサイエンスライターとして、数々の名著を物しています。
 その生命科学者としてまた、病気との苦闘で培われた深い考え方・見方で、この本は訳されているような気がします。
 般若心経の核心とされる「空」の境地(煩悩のない心?)に迫ったものともいえます。「さとりの喜びを表現したい」、そしてそれを伝えたい、ということのようです。
 バカ親父は、何度でも読んでみようと思っています。養老孟司氏の『無思想の思想』と併読すると、面白そうじゃないかとも思っています。

 この本のほかにも、いくつか「般若心経」に関する本が出ていますので、書いておきます。
・ 『自由訳 般若心経』 新井 満 著、朝日新聞社 刊、1,050円
・ 『ダライ・ラマ 般若心経入門』 ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ 著、春秋社 刊、1,995円
 新井 満氏の本も面白そうです。できれば、読んでみたいです。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
お経は難しいです。(笑い)
仏教王国・北陸の育ちとしては、浄土真宗の在家勤行”正信偈”ぐらいは習いますが、もう忘れました。(罰当たりです)
山いろいろ
2006/02/03 15:16
☆ 山いろいろ さん、バカ親父なんて、お経についてはほとんど知りません。大罰当たりです^_^;
 日本人のものの見方や考え方には、仏教というものが根深く潜んでいるような気がします。興味はあるので、ぼちぼち勉強しようと思っています。
遊哉
2006/02/03 19:12
ギョッ。難物を読みましたね。
「色」と「空」とのことは,数字で考えたことがあります。
『111000』は「十一万一千」ですね。これが逆になる(移り変わる)と表記は『111』0が三つとも消えて「百十一」になりますね。
この『0』,「何もない」のに,ほんとは「実体」なのです。
数学の世界では「ゼロは無限大に等しい」というそうなので,それをヒントに考えたものです。数字以外の例示もありますが,今はこれが気に入っています。
ことば足らっずでしたかなー。
老輩堂
2006/02/03 21:02
☆ 老輩堂さん、来ていただけましたね。はい、難物ですね(笑)。
 おっしゃることは、なんとなくわかるような気がするんです。「0」という概念はとても面白くて、すばらしい発見だと思います。ないものなのに、あるんですよね。
 養老さんの『無思想の思想』にも第五章「ゼロの発見」がありましたね。“日本の無思想も無宗教も無哲学も、決してニヒリズムではない。数字のゼロだと思えばいい。”とも書いています。
 老輩堂さんの考えも参考にして、また、この本を読み返してみたいと思います。ありがとうございます。
遊哉
2006/02/03 21:24
こんばんは♪
うわ〜(汗)びっくりです。
去年いろいろ振り返っている中で、まさにその『0』の概念についても考えていました。人も『0』になれる瞬間があるのではないだろうか、とか、いろいろ…。
金子みすずさんの詩にこんなフレーズがありました。「みえぬけれどもあるんだよ」。確か『星とたんぽぽ』という詩です。そういえば、金子みすずさんも仏教に縁の深い人だったんです。(彼女の詩もとっても素晴らしいので、またそのうちブログで紹介しますね♪)
般若心経、めっちゃ流行ってますよねぇ。この本、知ってます。実は立ち読みしました(汗)。遊哉さんと同じく何となく感じるものはありますが、人生経験の浅い私にはまだまだ奥が深すぎる内容です。。。(^^;)。
aopu
URL
2006/02/03 22:29
仏教の研究者でなくても「一角の人物」になると、般若心経を語りたくなるものらしい、いかなる解釈をしようと、一角の人物の解釈であれば、誰もいちゃもんは付けないから、安心して本にしている、と歪んだ感想を持っています。一角の女流作家が作った、源氏物語の現代語訳は、好きですが、仏教書の話は中村元や”ひろさちや”のものが、好きです。(坊主の書いた本も、説教臭いから嫌いです)
難解な般若心経の文句と関連づけて書いているからもっともらしく読めるけど、只、自分自身の哲学を語っているというのなら、その内容に興醒めとなることが多い、と感じるからです。
以上は、本を書いた人への批判(?)です。もし遊哉さんを不快にしたのなら申し訳ありません、削除して下さい。
片靴
2006/02/03 23:06
☆ aopuさん、数学で0を発見したのはインド人らしいですが、大変なものを見つけたものです。0があるからこそ、マイナスという概念もできたんじゃないでしょうか。「0」の概念というのも、わかるようでわからないところがありますが、考えると面白いですね。
 「みえぬけれどもあるんだよ」というフレーズは聞いたことがあります。たしかに、見えないものでも、存在するものはいっぱいありますね。この本のあとがきを読むと、生命科学者らしく物質を成り立たせている原子で宇宙というものをとらえています。人間も物も原子の濃淡にすぎない、と書いています。そのへんのとらえ方が面白いと思います。
 アハハ、立ち読みしましたか。この本は立ち読みでも読み終えることができますが、中身は濃そうです。金子みすずについては、是非ブログで紹介してください。
遊哉
2006/02/04 00:35
☆ 片靴さん、般若心経について、いろいろな方の書いたものを読まれているようですね。すばらしいです。バカ親父は、仏教に興味はあるのですが、お経は毛嫌いしていたところがあります。今度はじめて、般若心経について養老孟司氏の本に出ていたので、読んでみたわけで、わけがわからないところが多すぎて、感想も上手く書けない状態です。早く、片靴さんのように、いちゃもんでも付けるようになりたいものだと思っています。ひろさちやも評判は聞いていますが、読んだことがありません。わかりやすく書かれているということなので、読んでみたいと思っています。
 本に書かれたことは、鵜呑みにしてはいけないと思っていますから、本を書いた人への批判も大いに結構だと思います。これからも、いろいろご意見を書いてください。お待ちしています。
遊哉
2006/02/04 00:46

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