団塊バカ親父の散歩話

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ビーチコーミング学』

<<   作成日時 : 2007/08/09 01:26   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 8

画像 小学校の6年間は、神奈川県の鎌倉に住んでいた。夏休みは、毎日のように海に行って泳いでいた。学校にはプールなんてまだなくて、学校からも海に泳ぎに行っていた。

 そんな時に海岸でいろんな物を拾った。貝が多かったが、特に宝貝がきれいで珍しくて集めたものだ。角が丸くなった色ガラス片とか、何年も海水に晒されて樹皮なんかもなくなって面白い形になった木片とか、子どもにとっては宝物だった。

 海に行くと、誰でも小さな貝殻などを見つけると、拾いたくなるものである。
 そんな海岸に打ち上げられた物を拾い集め、それを材料にして調べたり、楽しんだりすることをビーチコーミング(beachcombing)という。そして、これに虜(とりこ)になった人をビーチコーマー(beachcomber)というのだそうである。

 今日は、このビーチコーミングについて書かれた本の紹介である。
 ビーチコーミングは「浜辺の浮浪生活」、ビーチコーマーは「浜辺の浮浪生活者」という意味があるそうだが、これらの呼び名はその現代版として、波打ち際をじっくり歩く様子がたとえられているのではないかという。

 著者は、1951年、神奈川県生まれで、現在は葉山しおさい博物館館長で、研究分野は海洋生物学。湘南や三浦の海を舞台としたビーチコーミング歴は40年以上になるという。
 子どものころは、海から何でも拾ってくるので、近所の人からは「変わり者」という視線を浴びていたという。ところが、最近では拾っている傍らに人が寄ってきて「何か拾えますか? 高尚な趣味ですね」と声をかけられるようになったという。

 著者は「はじめに」で、ビーチコーミングとこの本について、こんなことを書いている。
<子供のころ拾い集めたコレクションは今も記録とともに保管しています。それらを眺めると拾ったころの情景がこと細かく甦ってきます。コレクションは過去四〇年における海の環境の変遷、そして時代の流れなどを秘めたカプセルです。いくつもの生物が消え、一方で外来種や環境悪化にびくともしない生物が繁殖し、子供のころの海の自然環境とは大きく変わったことが心の傷になっています。
 最近は、有史以前の浜辺はどうだったのだろうか? そのころの人類はどんな気持ちで海岸の打ち上げ物に接していたのだろうか? などと考えながら浜を歩いています。そこは創造を超える豊かな自然物ばかりで、海の汚染などまったく考える余地もなかったことでしょう。
 ときに椰子のような見慣れないものがあればきっと持ち帰ったにちがいありません。思いがけないものに出逢ったときの人の気持ちはいつの時代も変わらないはずです。海からの贈り物はこれからも延々と続き、それらに接する楽しみ方も無限に続くことでしょう。
(中略)本冊子をきっかけとしてビーチコーミングに親しみ、ひいては海の環境を大切にする心が芽生えることを切に願っています。>

 目次は、次のようになっている。

はじめに
舞台は湘南
湘南名物
第1章 打ち上げのメカニズム
 砂浜の役割/海底のたまり場/軽いもの重いもの/海流と潮流/黒潮の恵み/潮目の漂着物/潮汐の影響/季節風/台風の恩恵/台風の向きと漂着/四季折々/近くから遠くから/異国から/森とのつながり/街から流れて/ストランディング/column 漂着丸太
第2章 打ち上げ物百科
 タカラガイの磨耗/分解する巻貝/自然リサイクル/残るもの/食卓へ/漁港から/土産の貝/メッセージボトル/石笛/化石/column 子産貝とへそ石
第3章 知的ビーチコーミング
 分類学/地質学/生態学/生物相研究/生物地理学/海洋学/古生物学/古銭/考古学/民俗学/漁労文化/博物学/観天望気/column 絶滅貝の打ち上げ
第4章 環境を観る
 レッドデータ生物/黒潮の流れを推察/他産地貝/外来種/ウミガメの死/column 八〇年前に拾った貝
第5章 アート&コレクション
 オフジェのような/自然のアート/海草おしば/宝貝ビーチコレクション/珍物博覧会/湘南ビーチコーマーズ/column 本当の自然食
第6章 まとめ
 結論として/ルール/活用法/海岸清掃/ゴミ自慢/コツと持ち物/打ち上げ物夜話
あとがき・謝辞

 「湘南名物」のところに、こんなことが書いてある。
<海は万物の集結所です。打ち上げ物は自然物と人工物に分けられますが、現在のものばかりでなく、過去の産物も見つかります。それらは街や森から川を通して流れたり、風や潮流、海流に乗って、近隣を問わず遠方から来る物もあり、じつにさまざまです。>
 そのさまざまなものにはどんなものがあるのか、目次にも出ているが羅列してみる。
 貝類、たとえばタカラガイは三浦半島で45種確認されているが、そのうち約35種は南の海で生まれた幼生が黒潮に乗って相模湾に運ばれ成長し定着したものらしい。
 その他海洋動物各種、骨(クジラ、アンコウ、アカウミガメ等)、流木、ビーチグラス(瓶などのガラスが割れて角が丸くなったもの)、キャラクターおもちゃ、入れ歯、クルーザー(ヨット)、メッセージボトル(メッセージの書かれた紙が入った瓶・ペットボトル)、化石、海草、椰子の実、漁業用ブイ、ライター、洗剤の容器、化粧品の容器、昆虫、カタツムリ、木の実、エアガンの弾、ビニール袋、ボーリングシェル(石笛・穴の開いた石)、子産石(こうみいし・球体の石)、古銭、馬の歯、碍子(がいし)、缶ジュースなどのプルトップ……まさに、海は万物の集結所のようである。

<今日のお薦め本>
『ビーチコーミング学 BEACHCOMBING』 池田 等 著、東京書籍 刊、1800+tax、05.08.15第1刷発行
 本書は、湘南・三浦半島に面した相模湾をフィールドとしたビーチコーミングについて書かれています。全国各地でビーチコーミングは行われているでしょうが、その一例としてとても参考になると思います。写真が多くて、眺めているだけでも楽しいです。
 最後の方で、著者は次のようなことを書いています。
<百聞は一見にしかず。ビーチコーミングはまず海に行くことから始まります。そして何に興味を抱くかは本人次第。材料は自分自身の意思で選ぶのです。(中略)間口が広く、奥行きのある新しい学問です。
 ビーチコーミングの基本は「拾って集めて考える」ということですが、海からやって来た材料を求めて海に出ることは、大昔から続いてきた、そしてこれからも変わらない、人間の本能的な行為を生かせる学問だと思います。しいて提言するならば、自分のエリアを大事にしてライフワークとしてやっていければ最高です。そうすれば学問的にも芸術的にも、あらゆる方面に深く追求していけることでしょう。>

<後記>現在、日本海に面した地域で、大量に流れ着くゴミが深刻さを増している、と先日の朝日新聞(7/25夕刊)に載っていました。
 多くはプラスチックで、その他たばこの吸い殻、発泡スチロール、注射器などで、これらはいつまでも自然界に残るし、細かく砕けたものを野生生物が誤飲して、食欲が減ったり内臓を傷つけたりして死ぬことがあるということです。
 長崎県対馬の海岸には、ばらばらになった発泡スチロールが消波ブロックを越えて1mの厚さに積もっているそうです。
 これらは、川から流れてきたものや、中国大陸・韓国からのものも多いようです。発生源対策や被害地域への支援が必要でしょうね。
 漂着物というのは、その裏に現在のいろんな問題も隠れているようです。
 思いもかけない物がいろいろ海岸には打ち上げられるものだと驚きますが、それがいろいろな学問に結びつくようです。
 まあ機会があったら、まずは気楽に一度、このビーチコーミングというものをやってみてはいかがでしょう。面白そうです。

ビーチコーミング学
ビーチコーミング学

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
海洋生物学
海洋生物学での検索結果をマッシュアップ。一語から広がる言葉のポータルサイト。 ...続きを見る
一語で検索
2007/08/18 18:40
『一年中わくわくしてた』
 この前、ロアルド・ダールの『ぼくのつくった魔法のくすり』を紹介したが、今日は同じ作者の『一年中わくわくしてた』を紹介してみる。(長いです ^^ゞ) ...続きを見る
団塊バカ親父の散歩話
2008/02/16 18:32
墓参りとビーチコーミング
               〔秋谷海岸で、引き波でできた模様〕 ...続きを見る
団塊バカ親父の散歩話
2017/04/03 00:29

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
私も四国の片田舎ですが海のすぐ近くで育ちました
プールなんて無くて、夏ともなれば日永一日・・海で遊んでいたもんですよ
青や、赤のガラスの破片の角が取れて丸くなったものを拾って遊んだりもしました・・ビーチコーミングっていうんですか?
つい先日、鎌倉のほうの浜辺で、やはり色々なものを収集してる人のドキュメンタリーをTVで観ましたよ・・
風子
2007/08/09 09:42
私も湘南(と呼ばせて)育ちですから湘南海岸には想い出があります。鎌倉なんて優雅な土地ではありませんし、波打ち際に打ち寄せられる物はゴミばかりでビーチコーミングをする気も起きませんでした(-_-;)
「名も知らぬ遠き島より・・」のような。風流な物やボトルメッセージなんて夢のある物が見つけられたら楽しいでしょうね。でもその方はゴミでさえ研究の成果として集めてらしたんですね。
また思い出した映画の話・・「キャストアウェイ」トム・ハンクスが飛行機墜落の為無人島に流れ着き、波打ち際に打ち寄せられる飛行機の中の荷物や友人の遺品でサバイバルすると言う話でした。見終わってドっと疲れました。
リサ
2007/08/09 10:57
 私の妹は、3年前に鎌倉に家を建てまして…月に何回か遊びに行っているの、優雅なの。ウチとは大違い。あはは。たまに、私も鎌倉に遊びに行くんですが、鎌倉は、なんとなく 空気に ここち良い水分量が多い感じがしますね。
 昔は、よく海に海水浴に行ったものですが、クラゲは多いし、海の水は汚いし、ゴミが多いので、最近は川に遊びに行くようにしています。
 海がキレイになる日は来るのでしょうか?
キョン
2007/08/09 17:56
☆ 風子さん、四国は一度も行ったことがないのですが、いいところのようですね。片田舎って、好きです(~_~)。そういうところの海ならとても水がきれいなんじゃないでしょうか(^^♪。
 鎌倉の海は、特に夏は濁っていることが多いです(^^ゞ。
 ガラスの破片の角が取れて丸くなったものを“ビーチグラス”と言うそうですが、それを使ってランプシェードなどをつくる人もいるそうです。いろんな色があって面白いし、柔らかい光になるようですよ(^^♪。
 そのドキュメンタリーは見ていませんが、鎌倉は歴史があるから、埋もれていた面白いものが出てくるようです。昔の古戦場だったところがあって馬の歯も打ち上げるそうです(^^ゞ。
遊哉
2007/08/09 19:29
☆ リサさんの実家は立派な湘南です。だいぶ山の中のようだけど(^^ゞ。
 鎌倉の由比ガ浜と比べると、大磯や平塚、茅ヶ崎のほうはわりとすぐに深くなって、海水浴には向いていないようですね。それに、黒潮の一部が奥まで流れ込んで、いろんな物を運び込むようです。ゴミも多いのかもしれませんね(~_~)。
 鎌倉の海も、今は違うかもしれませんが、材木座海岸の方は昔はゴミがいっぱいでしたよ(^^ゞ。椰子の実とかメッセージボトルのようなロマンがあるものならいいのにねえ。
 ビーチコーミングというのは、「拾って集めて考える」が基本だということですから、拾う対象は各自が選べばいいようです。いろんな学問にもつながるようだし、拾ったものでいろんな物をつくるだけでもいいようです。流木アートなんていうのも、面白そうですよ(^^♪。
 「キャストアウェイ」は観ていませんが、無人島でのサバイバル生活には憧れたことがあります(^^ゞ。今のところ、陸地で漂流生活を続けています(~_~)。
遊哉
2007/08/09 20:00
どうも海の話は 置いていかれる 海には縁が薄い生活 弱った
seizi05
2007/08/09 20:15
☆ キョンさん、妹さんが鎌倉に家を建てたなんて、すごいなあ。うちから鎌倉まで車で20分もあれば行けますが、風格がエライ違いです(^^ゞ。
 逗子あたりも山の上まで分譲地になって、バカ親父が子どものころとはずいぶん変わりました。
 海が近いと水分量が違うかもしれませんね。ただ、海が近すぎると塩分も多いから、金属が錆びるのも早かった思い出があります(^^ゞ。
 由比ガ浜でも、昔は8月中旬すぎると電気クラゲ(カツオノエボシ)が出て刺されたことがあります。みみず腫れになってピリピリ痛いんですよね。最近は温暖化の影響か、出てくる時期が早まっているとか聞いたことがあります。
 場所にもよるでしょうが、海は全体的に汚れてきているんでしょうね。いつまでも分解しない石油製品が、やはり大きな問題のようです。きれいになってほしいです。
 今年も、いつもの川にいくんでしょうか。あの辺の川はきれいでいいですよね。今年は、お兄ちゃんを連れていったら(^^♪。
遊哉
2007/08/09 20:16
☆ seiziさんは、川の土手とか河原で一服するのが、似合っているイメージがあります。上流から流れてくるものを狙ってください(^^♪。
遊哉
2007/08/09 20:22

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『ビーチコーミング学』 団塊バカ親父の散歩話/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる