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この本は、以前に紹介した『ねにもつタイプ』の著者、岸本佐知子さんが、現代の英米文学のなかから自ら選び翻訳・編集した本である。 恋愛小説ではあるのだが……「編訳者あとがき」で岸本さんは、この本について次のように書いている。 <現代の英米文学のなかから、愛にまつわる物語を十一篇集めた。普通の恋愛小説の基準からはかなりはずれた、グロテスクだったり極端だったり変てこだったりする物語ばかりなので、『変愛(ヘンアイ)小説集』というタイトルになった。 白状してしまうと、そんなものばかり選んだのには、恋愛(レンアイ)小説への意趣返しのような気持ちも、すこしはあったかもしれない。私が物心ついたころから、世の中は恋愛至上主義だった。歌も映画も本も恋愛をテーマにしたものであふれていた。そういう世の中に生きてきて、長いこと違和感や疎外感を味わわされてきた身としては、ひとつここで恋愛好みのみなさんが嫌がるようなものを集めてやれ、という思いがなかったとはいえない。 だがこうして一つにまとまったものを改めて見渡してみると、これらの物語は、変愛(ヘンアイ)小説であると同時に、案外うんとピュアでストレートな純愛(ジュンアイ)小説でもあるのではないか、とも思えてきた。 (中略)どの物語も設定こそ常軌を逸しているが、いや常軌を逸した設定であるからこそよけいに、愛というものの真の姿を、ありありと浮き彫りにしているようにも思えるのだ。 もしかしたら、その純粋な姿を突き詰めて描こうとすればするほど、ねじれた、変てこな、グロテスクなものになっていく、恋愛というのはそういうものなのかもしれない。> ということで、変な恋愛小説だが、純粋な愛というものの真の姿を浮き彫りにしている小説を集めたもの(?)、なのである。とはいえ、なにせ妄想の激しい岸本さんが選んだものだから、一筋縄では行かないものばかりである。 次のようなタイトルと著者の11篇である。(“ ”内に原題を入れてみた。また、……以下にはバカ親父のコメントを、あるいは、< >内には物語の冒頭部分を引用してみた) ・ 五月 “MAY” アリ・スミス <あのね。わたし、木に恋をしてしまった。どうしようもなかったの。花がいっぱいに咲いていて。> ・ 僕らが天王星に着くころ “BY THE TIME WE GET TO URANUS” レイ・ヴクサヴィッチ <モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった。ほんの一年前までは原因不明の珍しい皮膚病だと思われていたこれも、いまやすっかり流行(はや)り病(やまい)になっていた。> ・ セーター “THE SWEATER” レイ・ブクサビッチ <明らかに彼女の手編みである以上、着てみないわけにはいかなかった。 「よおし、じゃあ着てみようかな」と彼は言った。> ・ まる呑み “SWALLOWED WHOLE” ジュリア・スラヴィン ……「食べちゃいたいくらい」いとしい人、というのもいるものですよねえ。 ・ 最後の夜 “LAST NIGHT” ジェームズ・ソルター ……愛人と別れるか、妻と別れるか、それが問題だ。 ・ お母さん攻略法 “DATING YOUR MOM” イアン・フレイジャー <あらゆるものがめまぐるしく、移ろいやすく、不確実な現代社会。人々は心の触れ合いもないまま、ただ出会いとセックスと別れを繰り返すばかり。こんな時代だからこそ、世の男性諸君がすでに持っている女性関係、つまりお母さんとのそれを見逃す手はありません。> ・ リアル・ドール “A REAL DOLL” A・M・ホームズ <僕はいまバービー人形とつきあってる。週三回、妹がダンスの教室に行ってる隙に、バービーをケンのところから連れ出す。まあ、いわば将来にむけての予行演習だ。> ・ 獣 “THE BEAST” モーリーン・F・マクヒュー ……あの獣は、いったい何だったんだろう? どこへ行ってしまったのだろうか? ・ ブルー・ヨーデル “BLUE YODEL” スコット・スナイダー ……彼が愛したのは彼女? それとも○○○? ・ 柿右衛門の器 “CHINA PATTERN” ニコルソン・ベイカー ……♪ 生きてるかぎりはどこまでも探しつづける恋ねぐら傷つきよごれたわたしでも……♪ ・ 母たちの島 “MOTHERLAND” ジュディ・バドニッツ <この島は母たちの島だ。 十五年前に戦争が始まって、男は一人のこらず島を出ていった。かばんにシャツを詰め、軍隊で戦うために、あるいは軍隊から逃げるために、あるいは軍隊の工場でボルトをナットにはめる仕事をするために、本土に渡っていった。もしかしたら、何もないこの島と、強情で扱いにくい島の女たちから離れる口実ができて、内心せいせいしている男たちもいたかもしれない。> さて、以上11の話が載っているのだが、どんな内容だかわかったであろうか。わかるわけないよねえ(^^ゞ。なんとも言いようのない変な話ばかりである。 もっといろいろ引用したいところだが、これはもう読んでもらうしかないだろう。 でも、一か所だけとても面白い言い回しのところがあったので、紹介してみる。 <「どうしてあなたたちって、悪いってわかってることをわざわざやるの? ううんそれだけじゃない、もっと問題なのは、変態っぽく目をランランと輝かせながらやるってことよ。そんなの女の子にはぜんぜん理解不能なのっ。ああもう、男ってみんなそう」と彼女は言った。「あなたたちみんなジャック・ニコルソンよ!」(「リアル・ドール」より) この人の名前が出てくるとは思わなかったが、なるほどと納得できた(~_~)。 <今日のお薦め本> 『変愛(ヘンアイ)小説集』 岸本佐知子 編訳、講談社 刊、1995円(税込)、08.05.07 第1刷発行 <後記>あまりにも変な話が多いので、最初は面食らって読み進めるのにちょっと苦労しました。でも、そのうちに引き込まれていって、一気に読んでしまいました。 時間が経っても、その余韻が心と身体内に響いているようです。 この本に載っている話が変愛なのか純愛なのか、はたまた真実の愛なのか。どう感じるかは読んだ人それぞれでしょうね。 というか……純粋の愛、真実の愛とは何かを知りたい方は、読んでみたほうがいいのかもしれません。 ちなみに、バカ親父がいちばん気に入ったのは「ブルー・ヨーデル」。結婚を約束した恋人が乗り込んでしまった飛行船を、車でどこまでも追いかけていく男の話です。飛行船って、ロマンがあるんですよね(^^♪。 <今日のSORA> 今日はイタズラ未遂のSORA。嫌な予感がして、SORAの方を見たら、ござを噛もうとしてました(^^ゞ。 変愛小説集
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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阿刀田高のナポレオン狂と同じくらい柿右衛門の骨壺も素敵だろうと思うので、早速この本をアマゾンに注文しました。きっと自分はジャック・ニコルソン風の目つきをしてウインブルドンを眺めていると思ふ。変愛小説というお題に惚れてしまいました。 |
あど 2008/06/22 06:10 |
このブログにはまった私も変愛中なのか?? |
トド 2008/06/22 08:08 |
昔から恋愛小説って聞いただけで 拒絶反応 踏み込めないジャンルのひとつです わたしの ウィークポイント |
seizi05 2008/06/22 10:05 |
>愛人と別れるか、妻と別れるか、それが問題だ。 |
Fチェスカ 2008/06/22 10:18 |
☆ あど さん、柿右衛門の“骨壺”ではないですが、いい線いってます(~_~)。 |
遊哉 2008/06/22 10:53 |
☆ トドさん、バカ親父のブログに変愛中なんですか? 時々毒が含まれているから、のめり込まないほうがいいと思います(~_~)。 |
遊哉 2008/06/22 10:58 |
☆ seiziさん、恋愛小説なんだけど、変愛小説。seiziさん好みのも、あると思うんだけどなあ(~_~)。 |
遊哉 2008/06/22 11:00 |
☆ Fチェスカさん、“愛人と別れるか、妻と別れるか”……その前に、愛人をつくらなきゃ(^^ゞ。 |
遊哉 2008/06/22 11:04 |
そうか、純粋な愛を突き詰めていくと変愛になるのか・・・こうして書くとやっぱり変愛って恋愛に似てる。「変しい変しい新子さま」こんな間違いがあっても仕方ないわね〜。また古いこと書いちゃった。岸本さん翻訳しながら嬉々としていたでしょうね。 |
リサ 2008/06/22 12:00 |
☆ リサさん、“変しい変しい新子さま”なんて、よく知ってましたね。バカ親父も、これを思い浮かべましたよ(~_~)。 |
遊哉 2008/06/22 12:21 |
あ〜、恋愛小説集なんて、なぁんだぁ〜興味ないなぁって思って読み進めていたら…え?変愛?なんのこっちゃ…?さすが!遊哉さんは、目の付け所が違うねぇ。あはは〜。 |
キョン 2008/06/22 13:56 |
☆ キョンさん、この本の編訳者の岸本佐知子という方がとても面白い人なんです。会ったことはないけど(^^ゞ。 |
遊哉 2008/06/22 16:08 |
私もいわゆる恋愛小説とか、映画とかは苦手です。 |
キーブー 2008/06/22 17:52 |
☆ キーブーさん、本は乱読でなんでも読みますが、恋愛ものはほとんどないです。サスペンスや冒険ものが好きです。映画もそうですねえ。インディ・ジョーンズなんて大好きです(^^♪。 |
遊哉 2008/06/22 18:33 |
恋愛小説はどろどろしたものが面白いの |
みいママ 2008/06/22 18:54 |
☆ みいママさん、どろどろとした恋愛小説が好きですか〜(~_~)。ハッピーなものよりは、面白いかもしれませんが、苦手です。疲れるから、現実には起きてほしくないです(^^ゞ。 |
遊哉 2008/06/22 19:30 |
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