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著者と書名はあとで紹介するが、とりあえず、その箇所を紹介してみようと思う。それほど長くない、と思う(^^ゞ。 <ある友人夫婦によると、子どもは2歳前後の時期、「母親信仰」みたいなものが強くなり、父を差別するようになるそうだ。お父さんがちょっと注意したりすると、その娘さんはワナワナと怒りながらお母さんのところへ行き、父を指さしながら一言、「お父さんが、もうっ」と絶句するという。意訳すれば、「お父さんの分際でわたしに注意するなんてどういうこと?」という意味だ。 まだ女性語・男性語の区別もあまりない時期だろうが、「もう!」というのは、やはり「女の語彙」ではないかと思う。ミニマルな音節のこの一語を、たぶん女はその後何十年にもわたって、これでもかというほど使い回すことになる。以下の場合に用いる「もう」は、「もう」と言っただけで、カッコ内のような含意を伝えるだろう。 怒った「もう」(まったくもう!)、すねた「もう」(もう、どうしようもない)、悲しむ・悼(いた)む「もう」(もうなんと申し上げてよいやら……)、嘆く「もう」(もう、どうしようもない)、脅す「もう」(もう知りませんよ)、自棄になる「もう」(もう、いいっ!)、喜ぶ「もう」(きゃあ、もう)、あまえる「もう」(もぅ……)、媚(こ)びる「もう」(も〜……) と、微妙なニュアンスでもってさまざまに応用される間投詞であるが、同年齢の男の子はあまり使わないようなのだ。このことばは、早くも女の精神を孕んでいるのか……。 ちなみに、知り合いの女性編集者のKさんは、「女子は言外の意味を汲むかわりに、自分も理解を相手にゆだねるところがあり、『もう!……』は、その先の『……』の部分、どうしてほしいかという肝心な部分は言わなくてもわかってよ! とほのめかしているのだと思います」という分析を披露してくれた。なるほど、くだんの娘さんは「そこまでわたしに言わせないで」という思いもこめて、「お父さんが、もうっ……」で止めているのか。Kさんいわく、SMAPに『まったくもう』という曲があったけれど、あれは男5人が「まったくもう〜」と歌う様が異様で、そのギャップが面白かったのだ、とのこと。 (中略) うちの子にも「ママ大好き傾向」はある。最近は父親に手を出されたくない場面でなんと言っているだろう? と考えてみたのだが、「パパ、あとでね」「これ、ちゅぐ(わたし)の大事だから」などと適当にかわしているようだ。真意は言わなくてもわかれ、ということか。しかし再びKさんによれば、「男子はとくに若いと、言葉の裏を読むとかいう発想が頭のなかにない気がします」とのことなので、娘よ、はっきり言うべきことは言ったほうがいい。 ことばの裏を読まれたい女と、女心に裏があると思わない(思いたがらない)男。両者のすれ違いは、はや1歳のころから始まっているようだ。Good grief。> 〔注)“Good grief”は「やれやれ」「おやまあ」「何てこった」というような意味〕 これは、翻訳者の鴻巣友季子さんのエッセイ集『孕むことば』に載っていたものである。タイトルは“「もうっ」という必要不可欠な語彙”と題されている。 さて、どんな感想をもたれたであろうか。 「もう」という言葉が「女の語彙」というのは、納得できるような気がする。男だって「もう」は使うが、「もう、……(無言)」と「もう」だけ言って、その後を言わないということは、ほとんどないのではないだろうか。 もし会話の途中で、「もう」だけで切ってしまったら、相手から「はっきりしろ、はっきり!」とか「思ってることも、ちゃんと言えないのか!」とか言われるのがオチである。「もう」で切って言外の意を汲んでほしいなんていう、甘ったれたことは言ってられないのである。 なんて書くと、女性の方々は怒るだろうな。「もう!」と一言叫んで(^^ゞ。 <今日のお薦め本> 『孕むことば』 鴻巣友季子 著、マガジンハウス 刊、1575円(税込)、08.05.22 第一刷発行 著者について、本書の奥付から紹介しておきます。 <東京生まれ。翻訳家、エッセイスト。エミリ・ブロンテ『嵐が丘』(新潮文庫)の斬新な新訳で大きな話題を呼ぶ。 主な翻訳作品に、J・M・クッツェー『恥辱』(ハヤカワ epi 文庫)、トマス・H・クック『緋色の記憶』(文春文庫)、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』(早川書房)、エリザベス・マクラッケン『ジャイアンツ・ハウス』、ルル・ワン『睡蓮の教室』(ともに新潮クレスト・ブックス)など多数。 著書に『翻訳のココロ』(ポプラ社)、『明治大正、翻訳ワンダーランド』(新潮新書)、『やみくも 翻訳家、穴に落ちる』(筑摩書房)がある。> この本は、40にして妊娠・出産した著者が、娘さんの育児とことばについて、いろんなことを考えたり思ったことを書き綴ったものです。とても面白いので、いずれまた全体の紹介をするつもりです。 <後記>翻訳とか通訳を職業としている方のエッセイは、なんでこんなに面白いものが多いんでしょうか。 今まで、米原万里、岸本佐知子、田丸公美子、柴田元幸の各氏のエッセイを紹介してきましたが、どれも文章が上手いし、中身も濃いものが多かったと思います。 それぞれが扱う外国語は異なったりしますが、その外国語に堪能なだけでなく、日本語の語彙の豊富さと文章の上手さにうならされます。 それにつけても、小学校から英語を教えることになりましたが、なんで英語なの? と思うだけでなく、日本語をなんでもっとしっかり教えないの? という疑問が改めて起こります。 まあ、それはさておき、うちのカミさんも時々この「もう!」をやります。もう、これがよくわからない。カミさんが言外に何を言いたいんだかが、わからない。「はっきりしろ!」とこちらが言い、あちらは「もっと、想像してよ!」となって、いつも喧嘩になります(~_~)。 女性は何故、はっきりものを言わずに「もう」で切って、心の内の意を汲んでほしいなんて思うんでしょうか? ひょっとして、これは日本の女性の特質なんでしょうか? それとも、若い女性ははっきり言うんでしょうか? まったく、もう、女というのは度し難い生き物です……なんて書くと、また「もう!」と返ってきそうなので、今のは取り消し(^^ゞ。 <今日のSORA> 今日はいろいろやることがあって、朝夕のSORAの散歩はカミさんが行きました。夕方帰って部屋にいると、カミさんとSORAが引っ張りっこを始めました。 さすがのSORAも、カミさんには負けるようです。最後は疲れたようです(~_~)。 孕むことば
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
『孕むことば』
23日に“「もう(っ)……」はこわい!”を書いたが、その記事の基になった鴻巣友季子さんの本『孕むことば』を紹介してみる。 ...続きを見る |
団塊バカ親父の散歩話 2008/06/29 01:14 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
あはは、面白い本を見つけましたね^^。 |
リサ 2008/06/24 02:01 |
「もうっ!」と牛のように何回も |
のんびりかあさん 2008/06/24 06:08 |
もうっ!!SORAったら!!! |
さよちん 2008/06/24 07:27 |
もうっ!!知らないんだから〜〜(×:×) |
小桜小梅 2008/06/24 08:02 |
☆ リサさん、なかなか真面目な本で、シビアな話題もあるんだけど、面白い本です(~_~)。 |
遊哉 2008/06/24 12:46 |
☆ のんびりかあさん、「もうっ! もうっ! もうっ!……」ですか〜。恐さが加速されそうで……もう! コワい(~_~)。 |
遊哉 2008/06/24 12:53 |
☆ さよちん、いつもカミさんに「もうっ!」と言われてるSORAとバカ親父です(^^♪。さよちんにも言われちゃったか〜(^^ゞ。 |
遊哉 2008/06/24 12:59 |
☆ 小桜小梅さん、“知らないんだから〜〜”って、女のコワさをバカ親父は知らない、っていう意味だろうか。コワ〜〜(~_~)。 |
遊哉 2008/06/24 13:02 |
女性が「もう、。」で止めるのは。 |
トド 2008/06/24 13:12 |
☆ トドさん、そうですね、昔はそんなこともあったと思います。言うことははしたない、言いたくても言ってはいけないという意識があったでしょう。それが今も残っているのかどうかが、よくわからなくて、“若い女性ははっきり言うんでしょうか?”という疑問になったんです。たぶん残っているんでしょうね。欧米とか中国辺りでは、「もう」に相当する言葉はなさそうな気がします。 |
遊哉 2008/06/24 19:05 |
ホントに面白い^−^ |
みいママ 2008/06/24 22:06 |
☆ みいママさん、ちょっと気がつかなかったけど、面白いですよね(~_~)。 |
遊哉 2008/06/25 00:23 |
「まったく、もう」 |
のんびり猫 2008/06/25 11:46 |
きっとうちのカミさんも「もうっ」と云いたいのでしょうが、カミさんがご帰宅する前においどんは寝ているので「もうっ」を言いそびれているような気がします。ひょっとすればおいどんの寝顔に対して「もうっ」と言っているような悪寒・・・ |
あど 2008/06/25 18:25 |
☆ のんびり猫さんも、使ったことありますか〜(~_~)。 |
遊哉 2008/06/25 19:26 |
☆ あど さんの寝顔に、奥さんが「もうっ」と言ってるとすれば、心のうちに秘めてるものは何なんでしょうね(^^ゞ。 |
遊哉 2008/06/25 19:54 |
タイトルを見て飛騨牛のお話かと…。 |
Fチェスカ 2008/06/25 20:15 |
☆ Fチェスカさん、飛騨牛はいい迷惑ですよね。悪いのは人間だ! |
遊哉 2008/06/25 21:50 |
あ〜〜〜!ほんとだぁ!もう!は、男の人は言わないね。今さらびっくり!そうだぁ!女専用言葉ってことなのね。遊哉さんたら〜もう〜いや〜ん。 ^m^ また勉強になっちゃった〜。でも、もうっが怖いの? そうでもないでしょ? かわいいもんだよ。文句を最後まではっきり言わないで、もう〜でごまかしてあげてるんだからさぁ。あはは〜。その点を汲んでちょ。 |
キョン 2008/06/26 13:28 |
☆ キョンさん、「もう」は男も言うかもしれないけど、女の人のように「もう」だけで止めるってことはしないと思う(^^ゞ。おかまちゃんは、言うだろうけど(~_~)。 |
遊哉 2008/06/26 20:57 |
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