団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『椎名誠 超常小説ベストセレクション』

<<   作成日時 : 2017/02/22 23:54   >>

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                 〔今日の西の夕空〕


 椎名 誠さんの一応はSF小説ではあるが、それを突き抜けた不可思議な雰囲気の物語を集めた短篇集『椎名誠 超常小説ベストコレクション』を紹介してみる。

 次のような19篇が収められている。

 いそしぎ
 雨がやんだら
 蚊
 胃袋を買いに。
 ニワトリ
 ねじのかいてん
 猫舐祭
 スキヤキ
 中国の鳥人
 みるなの木
 ねずみ
 赤腹のむし
 海月狩(くらげが)り
 抱貝(だかしがい)
 餛飩商売
 漂着者
 飛ぶ男
 ぐじ
 問題食堂


 実は、1月22日の朝日新聞・書評欄の「池上冬樹が薦める文庫 この新刊!」3冊のうちの1冊として、次のように紹介されていて読みたくなったのである。

<風変わりで不思議な世界を描いた作品集。奇想天外の設定の作品(「ねじのかいてん」)もいいが、造語の洪水が物語の奔流を生み出す「みるなの木」「赤腹のむし」「餛飩(こんとん)商売」が素晴らしい。変な言い方になるが「造語のリアリズム」ともいうべき混沌(こんとん)たる(架空であるが)生々しい現実世界が圧倒的だ。>

 池上さんが書いている“奇想天外の設定の作品”という「ねじのかいてん」と“造語の洪水が物語の奔流を生み出す”という物語のひとつ「みるなの木」のプロローグを紹介してみる。


ねじのかいてん

 注意深く慎重に螺子(ねじ)の頭に塗り込められているセメントを剥(は)がしにかかった。うまくやるには、セメントで隠されている螺子山の溝を早いうちに探りあて、そのあたりを集中的に掘り切るようにしたらいいのだろうが、廊下からドアの隙間を通してわずかに入り込んでくる監視常夜灯の明りだけではその見当が難しかった。
 すこし考え、相当に危険ではあったけれど、ドアの上部にある小さな監視窓をほんのすこし押しあけ、その隙間からもっと廊下の光を入れることにした。どんな仕掛けになっているのかわからなかったが、この監視窓の蓋(ふた)は内側から押して蓋の周辺が全部窓枠から離れると監視人にそのことがわかるようになっていた。要は蓋がそっくり窓枠から離れないほどの隙間をつくることだったが、服を裂いたボロ布を慎重に押し込んで、なんとかうまく一ミリほどの隙間をつくることに成功した。そこから入ってくる光だけでも私の目的の物は相当によく見えるようになった。
 私は目を凝らし、昼のうちに巡回監視の眼を盗んで鉛筆でうっすらとつけておいた十字溝のおおよその位置を見きわめ、いよいよ思いきってきりきりざりざりとそこに鋼の刃を入れた。
(後略)>

 主人公の“私”は、どうも牢獄か収容所のようなところに囚われているようだ。そして脱出しようとしている。
 このあと、ここがとんでもない所であることがわかってくる。
 はたして主人公は脱出できるのだろうか。


みるなの木

 喉袋(のどぶくろ)の中央通りにある宝貨転々(ほうかてんてん)ストアーに勤めていた相原という男が、根卵(ねたまご)の殻嚙(か)み職人を二人殺して金を奪い、山へ逃げたので、百舌(もず)とおれは武器を持って山へ入ることになった。
 行く前に殺された二人を検分していってくれ、と根卵屋の女主人が恐怖と怒りで荒い息をざあざあ吐きながら百舌やおれの服の袖(そで)を摑(つか)んで離さないので、あまり気はすすまなかったが根卵屋の仕事場に入った。
 二人は寸毫刀(すんごうとう)らしい凶器で胸や腹を突かれ、むごたらしい姿で殺されていた。殻嚙み職人は仕事柄、下顎(したあご)の周囲に補筋帯をつけていたが、寸毫刀で刺されたときのあまりの痛さのためか、もしくはその叫び声でいっぱいに口をあけたためなのか、頑丈な撞背反(つよつよ)でつくられている補筋帯の二重ベルトが左右ともぶつぶつに切れている。おまけに二人とも目をあけたまま死んでいるので何時までも見ているのはいやだったけれど、百舌は手袋を脱いで死んだ男の口をあけ、中をつくづく覗(のぞ)き込んでからいくつもの舌打ちをした。
 山へ入る前に双蝶(つがい)の西祈禱(きとう)院に行って目抜き坊主に尻(しり)の穴を見せ、封緘(ふうかん)の印を結んでもらった。それでどこまで効力があるのかわからなかったが、しきたりなのだから仕方がない。
(後略)>

 造語の洪水が物語の奔流を生み出していくのだが、その一端がわかるのではないだろうか(^^ゞ。
 そして、“「造語のリアリズム」ともいうべき混沌(こんとん)たる(架空であるが)生々しい現実世界が圧倒的”なのである(^^)/。

 このなかの「中国の鳥人」は読んだ覚えがある。それにこれを原作として、20年ほど前に三池崇史監督、本木雅弘主演で映画化されたことも覚えていた。観てはいないけど(^^ゞ。

 思いもかけない不思議で奇想天外な物語が現れ、脳味噌が溶け出してグルグルと対流を起こすような気持ちにさせられる短篇集である(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『椎名誠 超常小説ベストコレクション』 椎名 誠 著、角川文庫、994円、16.11.25. 初版発行
 本書は2012年に柏艪舎(はくろしゃ)から「超常小説ベストセレクション」と題して刊行された『月の夜のわらい猫』と『水の上で火が踊る』を合本して文庫化したものだが、柏艪舎版の17篇から7篇をカットし、新たに9篇を足したものだそうである。

椎名誠 超常小説ベストセレクション (角川文庫)
KADOKAWA
2016-11-25
椎名 誠

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<後記>「あとがき」で椎名さんは、この短篇集のベースはSFだが、「SFである」と言い切れない。それは、たぶんSFの本流である「サイエンス」があまり色濃くないからだろうと書いた後で、

<いわゆる普通の世界を描いた短編小説はぼくはここにある小説の百倍ぐらい書いてきたように思うが、普通小説というのは書いていてどうもモノ足りない。つくり話などの場合、そんなあたりまえの世界の話を「こしらえても」しょうがないじゃないか、というゴマメの歯ぎしり的葛藤(かっとう)があった。
 だったら、普通の話の世界を書きながらそれがどんどん「作者」も思わぬ変質的転換をしていってもいいのではないか、と考えて書きだしたのが、本書におさめられている短編の類(たぐい)ではないかと思う。ありていにいえば現実世界のなかでの思考の遊び――だろうか。>

 “現実世界のなかでの思考の遊び”にしては遊び過ぎているかも、と感じさせるような物語が詰まった短篇集である(^^ゞ。 

 今日(22日)は午前中は晴れていましたが、昼ころから曇ってきました。
 夕方の散歩は5時ちょうどくらいに出ました。空全体が雲に覆われ、低空に大きな雲がありましたが夕日も少し見えました。

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 公園を一周していきました。

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 落日後の西空と雲がきれいでした。北西の風がわりと強くて、そちらから雲が湧き出しているようで長く伸びていました。

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 原っぱに出て、テニスコート下を歩いていきました。

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 南の上空の雲の一部が染まっています。

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 ここまで来たところで、引き返してベンチでマッタリすることにしました。

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 SORAは遠くにいるワンコたちを見ていました。バカ親父は空の観察(^^ゞ。

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 のんびり帰ることにしました。

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 明日(23日)は午前中は雨風が強く荒れ気味で、午後はしだいに止んで陽射しも出てくるようです。
 一日暖かそうですが、最高気温は夕方になるようです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
黒い煙幕のように広がった雲でしたね!その場にいたらきっと押しつぶされそうになると思います(^^;
SORAちゃんはワンコたちを見ててバーッと走っちゃうことなんてないんでしょうね(^^)。ももたろうに爪の垢をいただきたいようですよ
ひぽたん。
2017/02/23 12:07
☆ ひぽたん。さん、こんにちは♪
 黒い雲が帯状になって上空を覆ってきていました。煙幕のようにも見えますね。
 押しつぶされそうということはありませんでしたが、なかなかダイナミックな雲でした(^^ゞ。
 SORAは普段あまり見かけないワンコだと、近寄りたがります(^^ゞ。相手にもよりますが、ウーと唸ることもあるので気をつけないといけません(^^)/。
 ももたろう君はワンコが好きで走っちゃうんでしょうね。これからも倒されないように、お気をつけください(^^ゞ。
遊哉
2017/02/23 20:15

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