団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『殺人者の顔』

<<   作成日時 : 2017/03/02 23:30   >>

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                〔今日のどんよりした夕空〕


 主人公のヴァランダー刑事をはじめとして人間味豊かな刑事たちが活躍する、スウェーデンの警察小説『殺人者の顔』を紹介する。
 クルト・ヴァランダー・シリーズの第1作目である

 プロローグは、次のようなものだ。


<    1

 なにか忘れたことがある。目が覚めて、老人ははっきりそう思う。夢の中で見たのだ。なにか、思い出さなければならない大事なことがある。
 彼は懸命に思い出そうとする。だが眠りは真っ黒い穴、中になにがあるか決してわからない、暗い井戸だ。
 だが、牡牛の夢でなかったことだけは確かだ。もしそうだったら、熱を出したときのようにびっしょり汗をかいたはずだ。今晩は牡牛に追いかけられなくてすんだ。
 老人は暗闇に横たわって耳を澄ます。かたわらに眠っている妻の寝息は静かで、ほとんど聞こえない。
 いつか、目が覚めたらかみさんはわしのそばで冷たくなっているのだろう、わしが気づかぬうちに。いや、それはわしかもしれん。どっちが先になるかわかりはしない。夜明けに、どっちかが取り残されるのだ。
 寝台のすぐそばの小さなテーブルの上の時計を見る。短針と長針がかすかに光っている。五時十五分前だ。
 なぜ眼を覚ましたのだろう、と老人はいぶかる。いつもは五時半まで眠るのに。四十年以上もそうしてきている。なのに今朝は、なぜ目を覚ましたのだろう。
 彼は闇の中でじっと聞き耳を立てる。いまやはっきりと目が覚めている。
 なにかがちがう。なにかがいつもとはっきりちがっている。
 老人はそっと片手を妻の上に持っていく。指先で妻の肌があたたかいのがわかる。大丈夫、死んではいない。一人になってしまったわけではないのだ、まだ。
 彼はまた耳を澄ます。
(後略)>


 何か不穏なことが起こりそうな予感がする始まりである。
 舞台は1990年代で、スウェーデン南部スコーネ地方にあるウスターレーンというローカルな地域の、人口が1万人にも満たない平凡な田舎町イースタである。
 田舎町とはいえバルト海に面した港町で、旧東ドイツやポーランド、エストニア、リトアニア、ラトヴィアなどからの亡命者や経済難民がやってくる南部の海の玄関なのである。
 事件は、そんな地理的な条件を背景に展開される。

 イースタの近くの村で、農家の老夫婦が残忍に殺されるという事件が起きた。静かに暮らしていた二人を、いったい誰が何のために殺害したのか?
 怨恨か金銭の強奪か? 目的がはっきりしない。手がかりは、縄で首を締められて虫の息だった妻が言い残した「外国の」という言葉と、見慣れない綱の結び方だけだった。
 ヴァランダーと経験豊かな相棒のリードベリは一部の人種差別者たちの反感を恐れ、外国人容疑者の線を伏せる。
 だが、警察内部の何者かの裏切りにより、犯人は外国人という噂がマスコミに流れてしまう。
 それをきっかけに、移民排斥運動を推し進めようとする不穏な動きが始まり、ヴァランダーには、外国人の犯人をかばうなという脅迫電話がかかる。
 移民逗留所で火炎瓶による火事が起きたり、ついにはソマリア人が殺され、外国人締め出しのデモも広がった。

 ヴァランダーと同僚刑事たちは、老夫婦とソマリア人の殺人の2つの事件を追うこととなったのである。
 捜査を進めていくうちに、殺された農夫の隠された二重生活が判明し、その線での犯人の可能性を追うこととなった。
 手がかりの少ない2つの殺人事件を解決しようと、イースタ署の面々は必死の捜査を開始した。
 犯人はいったい誰なのか、思いもかけない展開が待っていたのである。

 この作品というかシリーズの面白さは、事件の展開もさることながら、登場人物たちの人間味の豊かさが緻密に描かれているところにある。
 特に、主人公のヴァランダー刑事は決して格好のいい男ではない。でも、それがまた魅力ともなっているのである。
 彼は、奥さんに逃げられ離婚したが立ち直れず、ひとり娘も家出し、痴ほう症のみられる父親に戸惑い、関係もギクシャクしている。
 そのうえに、不規則な食生活で中年太りとなり憂鬱な気分に取りつかれている。酒飲み運転で部下に捕まったりもする。新任で単身赴任してきた美人の地方検事アネッテ・ブロリンに手を出そうとして、ていよくはねつけられたりもする。
 別れた妻と再会しようとしたときも、ホテルのドアマンに酔っ払いとまちがわれて追い払われそうになったりして、哀れでコミカルで、思わず同情したくなる(^^ゞ。
 そんなヴァレンダーだが、冷酷な犯罪には心からの怒りを感じる社会派の警官で、直感の働く犯罪捜査のベテランであり、緻密な捜査で犯人を追い詰めていくのである。
 
 彼を取り巻く人たちも味がある。
 鑑識の刑事で長年の友でもあるリードベリ、妻と別れた彼を気づかう交換台のエッバ、個性豊かな若い同僚たち、そして彼をはねつけた検事アネッテ・ブロリンもなかなか魅力的で、二人の関係も進展を見せる(^^)/。
 ミステリーとしての面白さだけでなく、味わい深い登場人物たちが活躍する警察小説としても面白い佳作である。


<今日のお薦め本>
『殺人者の顔』 ヘニング・マンケル 著、柳沢由実子 訳、創元推理文庫、1080円、12.03.09. 9版(01.01.26. 初版)

殺人者の顔 (創元推理文庫)
東京創元社
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<後記>この本は、本棚に積読状態になっていたのですが、ふと手に取って読んでみたら思いもかけず惹き込まれました(^^ゞ。
 主人公のクルト・ヴァランダーは、刑事としてはとても優秀なのですが、ふだんの生活ではダメ男で、それが人間的でコミカルでとても面白いです。
 警察署の面々もそれぞれ人間味が溢れていて味わいがあり、警察小説の面目躍如といえるでしょう。
 そのあたりが、この物語の最大の魅力かもしれません。読み出すとなかなか止められなくて、2晩ほど超夜更かしになりました(^^)/。
 このシリーズは10篇ほど出ているようなので、他の作品も是非読んでみたくなりました(^^ゞ。

 今日(2日)は雨が降ったり止んだりで、夜になって曇りになりました。寒かったです。
 夕方の散歩は、5時ちょっと前に出ました。小雨が降っていました。

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 雨が降ると出てくる(^^ゞ。

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 雨をわりとはじくので、今日はSORAにこのモコモコを着せました。
 公園の斜面を上っていきます。

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 途中から桜並木に入りました。

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 原っぱをウロウロしていきました。

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 遠くに小さなワンコが見えたので、ちょっと立ち止まります。

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 上に上って、テニスコートの脇を歩いていきました。

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 原っぱに戻りました。

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 桜並木を下りることにしました。

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 今日も……「何?」(^^ゞ。

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 往きよりも水量が少なくなっていました。

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 明日(3日)は晴れますが、冷たい北風が吹くようです。花粉も舞いそうです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
BBCの刑事ヴァレンダーというドラマを見ました。
やや太り気味の主人公が味があって面白かったドラマでした。
格好いい刑事でないところも人間味があっていいなぁとオススメのドラマでした。原作もベストラー小説だったのですね。
のんびり猫
2017/03/03 22:25
☆ のんびり猫さん、噂には聞いていましたが、テレビドラマを観ましたか。面白そうですね(^^ゞ。
 このシリーズはベストセラーになって、いろんな国で翻訳が出たようです。
 格好は悪いけど人間的な主人公がとても魅力的です。脇の登場人物たちもいいんです。
 よかったら、このシリーズを読んでみてください。バカ親父も読むつもりです(^^♪。
遊哉
2017/03/03 22:43

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