団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『野良猫を尊敬した日』

<<   作成日時 : 2017/04/04 23:43   >>

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               〔今日の落日直前の夕日〕


 歌人としてだけでなく、評論家、エッセイスト、絵本作家、翻訳家などとして幅広く活躍する穂村 弘さんのエッセイ集『野良猫を尊敬した日』を紹介する。
 次のようなタイトルの、短めのエッセイがたくさん収録されている。

 天職の世界の人々/カエル王子の恋/ケーキ殺し/片思い/シンジケート/自分に忠告/人間のピーク/記憶壺/未来人/きっぱりできない/カモは二度毟られる/部屋/微差への拘り/言葉の完成度/肝のサイズ/常識の変化/できない人/写真の謎/他人の感覚/庶民的呪縛/ムラがある/男の幻滅ポイント/少数派/逃げ出すライン/ひとんち/静かな幸福/ババロア/心の物差し/広いお風呂がいいかなあ/敬語を使ってはいけない/痛いところ/鼠の顔/云えない/夢の水曜日/百葉箱の謎/何もない青春/お菓子の話/未来になって判明したこと/どうしても書きたいこと/それぞれの世界の限界/神様/めんどくさくて/不審者に似た人/お金持ちを想像する/お金の使い道/自分と他人/人生の予習/現実/心の弱さ/日本の幅/いつもの世界/我が家の法律/野良猫を尊敬した日/行動パターン/会社の思い出/会社を辞めた時の話/トイレの夢/見分けられない/ハイレベルな友人/がんばれない/時間を味方にする方法/流星とチーかま

 いくつか引用・紹介してみる。


< 常識の変化

(前略)
 先日、大学の先生をしている人から次のような話をきいた。新入生に向かって最初の授業を終えたところで、いつものように尋ねたのだという。
「何か質問はありますか」
 それに対して、ひとりの学生が手を挙げた。
「ここからいちばん近い自販機の場所はどこですか」
 うーん、と私は思った。そして彼に尋ねた。
「で、何て答えたんですか」
「ふざけんな、って叱ったよ」
 だろうな、と思う。我々の感覚からすると、それが常識だ。
 でも、おそらく学生に悪気はなかったと思う。彼の云い分はたぶんこうだろう。
 自分はちゃんと授業料を払っている。つまり大学のユーザーである。一方、先生とはそれによって給与を貰って食べている大学の職員だ。だから、ユーザーである自分が、まだ不慣れな大学構内の設備について、職員である先生に尋ねるのは当然の権利である。
 この考え方の背後には、お金による価値観の一元化があると思う。病院の貼り紙のなかに「患者様」という言葉を初めてみたとき、違和感を覚えたが、とうとう「学生様」の時代がやってきたのだ。そのような環境下では、聖職などの概念は生き延びることが難しい。
 このケースでは常識と常識とが真っ向からぶつかっている。それぞれに云い分があっても、両立することはない。片方が常識ならもう片方は非常識なのだ。
(後略)>


< 男の幻滅ポイント

 女性と話しているときに、男の幻滅ポイントについて教えられることがある。幻滅ポイントとは、それによって一気に相手の評価が下がる行為や特性のことだ。
 有名なところでは次のようなものがある。

・煙草のポイ捨て
・飲食店の店員さんに偉そうにする
・車を運転すると急に乱暴な人になる
・トイレの便座を上げたまま戻さない

 この辺りは、云われてもさほど驚かない。幻滅ポイントとしては初級であり、それ以前に私自身の性格とずれているからだ。煙草吸わないし。
 だが、こんなのはどうか。

・キーボードのエンタキーだけ強く叩く

 会社にそういう人がいてとっても嫌だ、と知人の女性に云われたとき、一瞬、どきっとした。こんなこと考えたこともなかったからだ。彼女の話に曖昧な相槌(あいづち)を打ちながら、高速で我が身を振り返る。どうだろう。たぶんやってない、と思うけど自信がない。
 カチャカチャと他のキーで入力して、最後に「どうだ」とばかりに「エンタキー」を叩く。やりたくなる気持ちはわかる。だが、その瞬間、小さな「俺様」が顔を出しているのだ。
 女性たちはそれを見逃さない。一秒にも充たない行為によって、ああ、この人って本当は「俺様」に酔うタイプなんだ、と察知されてしまう。おそろしい。
(後略)>


< ひとんち

(前略)
 私の妻は、小学生のときに友達の家で初めてウォシュレットに出会ってびっくりした、と云っていた。私の子供時代はご近所一帯がまだ汲み取り式だったから世代の違いを感じる。
「なんだろうと思って覗き込んだの、そしたらピュッピューッ」と顔を洗われてしまったという。思わず笑いながら、切ないような気持ちになった。>


< 云えない

 目の前の女性が、初々しい女の子であるよりも、無表情なおばさんである方が、望ましい場面がある。それは病院での採決のとき。若いナースが大切そうに私の腕をとって、脱脂綿で丁寧にこしこし拭いてくれるのをみていると、だんだん不安になってくる。
 大切そうとか丁寧っていうのは、一見いいことのようだが、この場合は違う。その作業にまだ慣れていないというか、手順が身に付いていないことを示してるのだ。こうやって、こうやって、これを巻いて、よし、できた。血管は、ここかな、いや、こっちかな、えーと、うん、ここでいいや。よし、刺すぞ、えいっ。
 うわーっと叫びたくなる。だって、動作のひとつひとつから心の声がきこえてくるのだ。素人の私に筒抜けになるってことは、彼女がまだプロになっていない証拠ではないか。
 一生懸命やってくれてるのはわかる。でも、現実の壁ってそういう努力に対しては不思議なほど高くて硬いものだと経験的に思うのだ。
 その逆に、ベテランっぽいナースが、ことらの腕をあっさりモノのように扱ってくれると、ほっとする。ああ、こうやって今までに何千本もの腕を「処理」してきたんだろうな、と感じるからだ。
 人間の雰囲気や佇まいは、情報としての精度が高いらしく、殆どの場合、結果は予想通りになる。無表情なベテランの採血は、針を刺したのもわからないような早業で、はい、一丁あがり、だ。
 初々しいナースは、慎重に血管を狙ってなんとか針を刺してくれたけど、血を吸い上げている途中で腕に変な衝撃が来た。「あ、あ、抜けちゃった、ごめんなさい」
 ううううと思うながらも、「いえ、大丈夫です」と答えるしかない。だって、頑張ってくれてるのはわかるし、誰だって初心者のうちは上手くできないし……。
(後略)>


< めんどくさくて

(前略)
 虫歯っぽいなあ、と思いつつ歯医者に行かない。携帯電話の料金プランを変更しなきゃ、と思いつつしない。そんな案件が沢山ある。心のどこかで、しなきゃ、しなきゃ、と思いながら何年も苦しむ。
 ところが、何かの拍子にその手続きをしたら、驚くほどあっさり終わってしまって呆然とする。何年もプレッシャーを感じ続けて、痛みに耐えたり、労力やお金を払ってきたのはなんだったんだ。
 そして、自分自身の性格に絶望する。ベッドと壁の隙間に落ちた靴下を何年も拾えないこともあった。「拾えないんじゃなくて、拾わないんでしょう」と云われたら返す言葉がない。
 でも、めんどくさいという気持ちに、どうしても負けてしまうのだ。これはもう一種の犯罪なんじゃないか。他人ではなく自分自身に対する犯罪だ。めんどくさいというお化けのせいで、下手したら一生を棒に振ってしまいそうだ。
 また、一歩間違えれば本当の犯罪にもなりかねない。そんな未来を想像して不安になる。例えば、ゴミ屋敷の住人になるとか。或る日、そのゴミの山から白骨死体が発見される。そして、警察官がやってくる。

 警「これは誰ですか?」
 ほ「家族です。数年前に死んでしまったんです」
 警「殺したのか?」
 ほ「いいえ」
 警「じゃあ、どうして届けない。葬式を出さない。こんなところにそのまま置いてあるのは何故だ?」
 ほ「めんどくさくて……」
 警「ふざけるな! そんなことがあるか!」

 それが、あるんですよ。>


 このへんでオシマイにしておく。
 真面目なのだが、思わずクスッと笑える楽しい話が満載である(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『野良猫を尊敬した日』 穂村 弘(ほむら ひろし)著、講談社 刊、1512円、17.01.24. 第一刷発行
 穂村さんについて、改めて奥付から紹介しておきます。
<1962年、北海道生まれ。歌人。1990年、歌集『シンジケート』でデビュー。その後、短歌のみならず、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、連作『楽しい一日』で短歌研究賞を受賞。歌集に『ラインマーカーズ』『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、エッセイに『世界音痴』『にょっ記』 『絶叫委員会』『君がいない夜のごはん』『蚊がいる』『ぼくの短歌ノート』『鳥肌が』などがある。>

野良猫を尊敬した日
講談社
穂村 弘

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<後記>真面目というか、気が弱いというか、繊細というか、そんな穂村さんが経験したこと思ったことなどを軽妙なエッセイにまとめています。
 バカ親父も穂村さんにちょっと似たところがあるので、書かれていることに共感することが多くて、納得したり思わず笑ってしまったり面白かったです。
 よかったら是非、お読みください(^^ゞ。

 今日(4日)は晴れて暖かくなりました。
 のんびりとグダグダと過ごしました(^^ゞ。
 夕方の散歩は5時過ぎに出ました。夕日もまだ見えました。

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 今日気がついたのですが、公園の山桜がわりと咲いていました。例年だとソメイヨシノより後に咲いていたと思うのですが、逆のようです。

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 公園を回って原っぱに向かいました。

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 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 真上に月が出ていました。

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 斜面を下りて帰ってきました。

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 ということで、今日もSDカードを忘れてしまったので、散歩の写真はこれだけです(^^)/。

 SORAの写真を2枚。

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 この前、おチビを抱いた長女とチビりんが庭に出ていた時に、廊下で寝ていたSORAを長女が撮ったものです。

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 夕飯後に、カミさんがSORAの左耳にかゆみ止めの薬をつけようと、「SORA、耳。こっちおいで」と言うと、こんな格好になりました(^^ゞ。
 ウッディの写真を1枚。

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 いつも遊ぶ仲良しのワンコと一緒のところだそうです(^^ゞ。

 明日(5日)も晴れて気温が上がり、春爛漫になりそうです。夕方からはしだいに曇ってくるようです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
遊哉さん、こんばんは♪
面白そうです♪ 
「キーボードのエンタキーだけ強く叩く」
職場にいました。女性でしたが・・・(^^;)
イヤでしたぁ〜ホント 嫌でした!
ウザかったです。(笑)
幻滅という感情だったんですねぇ〜。


ぽんねえ♪
2017/04/05 22:47
☆ ぽんねえ♪さん、こんばんは(^^ゞ
 面白そうでしょ。この本、面白いです(^^)/。
 女性でもエンタキーだけを強く叩く人がいましたか(^^ゞ。
 最後にバチンと叩きたくなる気持ちもわかるような気はしますが、やはりウザいですね。
 男から見ても、そういう女性は幻滅です(^^)/。
遊哉
2017/04/05 23:02

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