団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『息子と狩猟に』

<<   作成日時 : 2017/08/06 23:57   >>

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                   〔今日の夕空〕


 サバイバル登山家の服部文祥(はっとり ぶんしょう)さんの小説『息子と狩猟に』を紹介してみる。
 サバイバル登山というのは、装備を切り詰め狩猟などをしながら食糧を現地調達していく登山のことである。

 昨年、文芸誌『新潮』に発表した表題作のほかに、一昨年に同誌に発表した「K2」の2作が収められており、本書は服部さんの小説家としての初の単行本である。
 両作品とも中身の濃い凝縮された中篇なので、あらすじはほとんど書けない。
 読んでいただくしかないのだが、ちょっとだけ書いておく(^^ゞ。

 「息子と狩猟に」のプロローグは、次のように始まる。


<加藤は平井を見て小さくうなずいた。目だけで答えた平井が、すでに泣きはじめている中原から、携帯電話を奪う。
「あー、大井町警察署、交通課の、フジモトです」
 平井お得意の年配警官である。
「ちょっと篤也さーんがぁ、まだ混乱中なのでぇ、お電話っ、代わらせて、もらい、ま、し、た」
 人を諭すことになれた脂ぎったオヤジが、いちいち確認するような節回しだ。
 篤也はトクヤと読む。ここを間違えると台無しだ。情報屋によって磨かれた名簿を持っている加藤の詐欺チームにとって、変わった読み方は逆に武器になる。
 平井がしゃべりながら目で合図してくる。加藤は軽く机を蹴って、「繋がったんか」と携帯に向かってドスを利かせた。篤也役の中原は聞こえるか聞こえないかのすすり泣きのまま、ノートパソコンをいじってパトカーのサイレン音を再生し、駐車場を出て行くかのようにゆっくりボリュームを絞る。同時にもう一台のパソコンで、数人の男が廊下を足早に歩いていく音も再生する。
「高梨朋子さんで、お間違いないですかぁ」と平井は慌てない。
(後略)>


 えっ! いったい何の話? と思われるかもしれない(^^ゞ。
 物語は、週末ハンターの倉内が小学6年生の息子に鹿狩りを体験させようと山に入った話と、プロローグの振り込め詐欺集団のリーダー加藤の話が並行して進む。

 金曜日の午後、早退した倉内は学校から帰ってきた息子と車で出かけ、その日は麓の温泉街にある格安施設を利用して泊まり、翌早朝に車で登山口まで行った。
 猟のやり方や考え方などを息子に教えながら、倉内と息子は登山道を離れて山のなかを進んでいく。
 鹿に出会うこともなく、かつて林道の駐車スペースだった宿泊地の広場に着いたのは、正午すこし過ぎだった。
 テントを張り、焚き火を熾し、チャイを入れて飲んだ。
 午後からは自由行動ということにして、倉内は狩りに行くことにしたが、息子もついていくと言う。

 鹿を一頭狙って撃ったが打ち損じて、夕方テントに戻った。焚き火を熾し直し、スープと米とフリカケだけの夕食をとった。
 その夜、ふたりはもう一度猟に出ることにした。日没後に鉄砲を撃つのは法律で禁止されているのだが……。
 そして牡鹿を仕留める。
 内臓だけを抜いて宿泊地まで戻り、鹿はロープで木の枝に吊り下げた。
 鹿の心臓をフライパンで焼き、ふたりで食べて、眠りに就いた。

 一方の詐欺集団のリーダー加藤には、大変なことが起きていた。トラブルがあり、死体を抱えることになってしまったのである。
 その死体を隠そうと山に入ることにした。
 そしてその山で、倉内と息子のふたりと、加藤が遭遇することになった。
 思いがけない対立の果てのラストとは……。


 もう一作の「K2」は、世界第2の高峰K2の登頂を目指す5人の男の話である。“私”が語り手である。
 厳しい状況の中で、私とヒロさんともう1人は登頂に成功するが、体調のよくなかった2人はなかなか登ってこない。
 そこで、1人はあとの2人を待ち、私とヒロさんの2人は下山することにした。
 だが、吹雪と雪崩で進むことができなくなり、私とヒロさんはクレバスの浅い切れ目に入りビバーク(露営)することにした。
 そこで、考えられないようなことが起きてしまう。
 いったい、何が?(^^)/。


 「息子と狩猟に」から、3か所引用・紹介しておきます。

<次の週末に出猟する段取りは付けてあった。だが、狩猟者はいつどこで猟をするかを事前に口にしない。猟を教えてくれた柳田は「山の神が獲物を隠す」と縁起をかつぎ、倉内は「命も世界も流動しているからだ」と思っている。獲物も自分もランダムに動き続けている。体調、天候、その他巡り合わせ。常に変化する山やケモノにあわせて、必然を積み重ね、偶然を待つ。無理を通そうとするとうまく行かない。つねに用意はして決定はしない。それが狩猟だ。>

<マタギのような狩猟採集だけで生活する者などもはやいない。殺しを楽しむだけのレジャーハンターにも会ったことはない。マタギだろうと週末狩猟者だろうと、繰り返し生き物の命を奪い、その肉を食べることで、おなじひとつの洞察にたどりつくと倉内は思う。それは、生きるとは殺して食うこと――命には生と死が同居するという逃れようのない現実である。目の前で倒れた獲物は、殺生への戸惑いも、命への感謝も受け付けず、ただ静かに自分にもいつか死ぬ番がくるのだという覚悟を突きつけてくる。>

<獲物を狩るのは面白い。そこにはたしかな興奮と喜びがある。準備を整え、じっと状況を積み重ね、備え、そして訪れた遭遇の瞬間に、すべての感情を封鎖する。精神と肉体は装置となり、絞り込まれるように連動して、破壊の一点に向かい集約する。殺生とは相手を殺すことのようで、実は、自分という人間をひととき殺すことだ。>


 なかなかの作品だと思うのである。よかったらお読みいただきたい(^^)/。


<今日のお薦め本>
『息子と狩猟に』 服部文祥 著、新潮社 刊、1728円、17.06.30. 発行
 著者について、奥付から紹介しておきます。
<1969(昭和44)年神奈川県生れ。東京都立大学フランス文学科卒。大学時代からオールラウンドに登山を実践し、96年にカラコルム・K2登頂、97年の冬から黒部横断を行い、黒部別山や剱岳東面、薬師岳東面の初登攀など、国内外に複数の登山記録がある。その後、装備を切りつめ食糧を現地調達する「サバイバル登山」と自ら名付けた登山をはじめる。それらの山行記に、『サバイバル登山家』『狩猟サバイバル』『アーバンサバイバル入門』などがある。>

息子と狩猟に
新潮社
服部 文祥

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<後記> 両作品とも、とても重いテーマを扱っていますが、極限下で生と死に向き合い悩み迷いながらも、その瞬間瞬間の行動を自ら選んでいく主人公たちの逞しさに惹きつけられます。
 大変な事に遭遇した人間の自らの命を守ろうとする葛藤を描いているものの、ラストの主人公たちの明るさが意外であるとともに救われます。
 登山家であり猟師でもある著者ならではの文章と内容で、いろいろ考えさせられます。面白いです(^^ゞ。

 実は、今日の午後も再放送をしていましたが、BSプレミアムで「大自然グルメ百名山」として、服部さんと奥さん、それに娘さん(長女)とワンコが出演する「家族サバイバル旅」というのが放送されました。
 新潟県の早出川源流域の旅ですが、米や塩などは持っていくものの、あとはイワナやカエル、シマヘビ、山菜などをとりながら渓谷を遡っていくという登山です。
 奥さんは出かける前はとても心配だったようですが、終わってみると楽しかったようです(^^ゞ。娘さんとワンコがとても逞しく成長したと感じられた旅でした(^^)/。
 また再放送されるかもしれません。その時は、是非ご覧ください。

 今日(6日)の夕方散歩は6時ころに出ました。

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 雲はありましたが上空は青空で、夕日も出ていました。

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 公園の原っぱに行って、ウロウロしていきました。

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 SORAは草の上でマッタリして、ワンコたちを見ていました。
 バカ親父は、ワンコの飼い主さんたちとおしゃべりをして過ごしました(^^ゞ。

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 なかなかきれいな落日後の空でした。

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 明日(7日)は晴れますが、しだいに雲が広がって、午後はにわか雨、夕方からは雨が激しく降りそうです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ありゃ 柏 どんより ジメジメ でしたー
seizi05
2017/08/07 06:24
☆ seizi05さん、こちらは晴れてジメジメでしたー(^^ゞ。
 台風の影響で、今夜からは雨になりそうです。気をつけましょう。
遊哉
2017/08/07 08:23

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