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zoom RSS 『その雪と血を』

<<   作成日時 : 2017/09/03 23:11   >>

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                  〔今日の夕空〕


 ノルウェー出身の作家ジョー・ネスボの抒情性溢れるノワール(暗黒・犯罪)小説『その雪と血を』を紹介してみる。
 舞台は、1977年のクリスマス間近の、記録的な寒さに襲われたノルウェーの首都オスロである。

 プロローグは、次のようなものだ。


<    

 綿のような雪が街灯の光の中を舞っていた。舞いあがるとも舞いおりるともつかずに、オスロ・フィヨルドをおおう広大な闇から吹きこんでくる身を切るような寒風に、あてどもなく身をゆだねている。風と雪はいっしょになって、人けのない夜の波止場の倉庫街の暗闇で、くるくると渦を巻いたが、やがて風はそれに飽き、ダンスの相手を放り出した。乾いた雪は壁ぎわに吹きつけられ、おれがいま胸と首を撃ったばかりの男の靴のまわりに舞いおりた。
 血がシャツの裾(すそ)から雪にしたたっていた。雪のことには詳しくないが――いや、それを言うならほかのことにもだが――ものの本によれば、気温が本当に低いと、できる雪の結晶は、重く湿った、ぎしぎしいう雪のそれとはまったく異なるらしい。その結晶の形と乾燥状態が、血中のヘモグロビンを濃い赤のままに保つのだという。どちらにしろ男の足もとの雪は、おふくろがよく読んでくれたノルウェーの昔話の挿絵にあったような、王のローブを連想させた。紫の地に白テンの毛皮の縁取りをしたローブだ。おふくろはお伽噺(とぎばなし)や王さまが好きだった。だからおれに王の名前をつけたのだろう。
(後略)>


 “おれ”ことオーラヴ・ヨハンセンは、この4年間、麻薬業者のボス、ダニエル・ホフマンに雇われ始末屋(殺し屋)をしている。
 プロローグは、ダニエルの対立組織を取り仕切る《漁師》の手下を、オーラヴが始末し終えたシーンから幕を開ける。
 仕事が済んだオーラヴがダニエルに電話をすると、新たな殺しの依頼があると言う。
 なんとそれは、ボス自身の妻コリナを、押し込みのように見せかけて始末しろというものだった。彼女が不貞をはたらいているというのである。
 彼は躊躇し煩悶する。
 なぜか?


<今回の仕事自体は別にかまわないはずだ。これまでにやってきたほかの仕事より、はっきり言って楽だろう。女が死ぬことになるのも別にかまわない。さっきも言ったように、人は誰でも、男でも女でも、過ちを犯したら結果を受けいれるしかない。それより気になるのは、仕事がすんだあと何が起きるかだ。おれがダニエル・ホフマンの妻を始末した男になったとき。すべてを知っている男、警察が捜査を始めたらホフマンの運命を決する力を持つ男になったときに。それは他人に服従できない人物への支配力を持つということだ。しかもホフマンはいつもの料金の五倍もおれに支払わなければならない。通常より簡単な仕事になぜそんな金を払うのか?
 武器をどっさり身につけた疑りぶかい四人の凶悪犯を相手に、ポーカーをやっているような気分だった。しかもこちらは、ちょうどエースが四枚そろったところ。いい話というやつは、ありえないほどいい話だと、悪い話になることもある。
 わかっている。利口なプレーヤーならここはおりて負けを払い、次回はもっといい、もっと穏当な手が来ることを期待する。だがおれの場合は、もはやおりるには遅すぎた。ホフマンは妻の殺人計画を、実行するのがおれだろうがほかのやつだろうが、かまわず進めるにきまっている。>


 オーラヴはその仕事から逃げることはできない。実行を決断し、まずはボスの自宅の前にあるホテルに部屋をとり、コリナを観察することにした。
 そこで彼が見たコリナは……


<綱渡り師。コリナ・ホフマンが部屋にはいってきたとき、おれはまずそう思った。白いテリークロスの化粧着をまとい、猫のような足取りではいってきたのだ。といっても、猫みたいにのんびりと歩いてきたという意味ではない。猫や駱駝(らくだ)は片側の脚を両方とも動かしてから反対側を動かすらしいが、おれの言っているのは、猫というのは(おれの理解が正しければ)爪先で歩くということであり、前の足と同じ場所に後ろの足を置くということだ。コリナはそれをやっていた。足首を伸ばして爪先から素足をおろし、その足のすぐ前に次の足をおろすのだ。綱渡り師のように。
 どこもかしこも美しかった。頬骨の高い顔も、ブリジット・バルドー風の唇も、くしゃくしゃになったつややかなブロンドの髪も、化粧着のゆったりした袖(そで)からのぞくすらりとした細い腕も、歩いたり呼吸をしたりするのに合わせて揺れる柔らかな乳房も、その腕や、顔や、乳房や、脚の、白い白い肌も。その白さときたら、まるで日射しを浴びてきらめく雪のようで、数時間で雪眼になりそうだった。要するに、おれはコリナ・ホフマンのすべてが気にいった。名字をのぞくすべてが。>


 彼女の姿を見た瞬間、とんでもないことが起きてしまった。オーラヴは恋に落ちたのだ。
 コリナは彼にとって“運命の女”になったのである。

 煩悶するオーラヴ、仕事をせっつくボス。
 オーラヴはどうしたのか?
 殺人を決行した。
 しかし、それは……

 彼の放った弾丸が首都の犯罪組織を大きく揺るがし、血塗られた愛と贖罪の物語が避けることのできない終局へと怒濤のごとく突き進んでいくのであった。 
 あらすじは、ここまで(^^ゞ。

 この物語は伏線となる話がなかなか面白い。
 オーラヴが今までの失敗続きの犯罪歴を回顧する中で、自分にはできないことが四つあるという。
 逃走車の運転、強盗、ドラッグがらみの仕事、そして買春のポン引きだが、そんな犯罪の不適格者にとって、残された仕事は始末屋ぐらいしかなかった。彼は一風変わった小悪党だったのである。

 一方で、彼にはこんな面もあった。
 かつてジャンキーのボーイフレンドが焦げつかせた借金を、体で返そうとした売春婦マリアを救っていたのだ。
 彼女は聾唖で片足が悪かったが、オーラヴもあるハンディキャップを持っていて、気持ちの通じ合うところがあったのである。
 オーラヴはその後も、マリアを陰ながら見守り続けていた。そして、マリアもまた彼の“運命の女”になったのである。

 やがて、絶世の美女コリナと元売春婦のマリアという二人の“運命の女”の狭間で孤独な魂を揺さぶられるオーラヴが、のるかそるかの運命の賭けに出たのだが……
 その果てには純白の雪と深紅の血へと収斂するラストが待っていた。
 この物語は、不自然なまでに美しい暗黒の叙事詩であるとともに、おとぎ話のようなクリスマス・ストーリーにもなっているのである(^^)/。 


<今日のお薦め本>
『その雪と血を BLOOD ON SNOW』 ジョー・ネスボ 著、鈴木 恵 訳、ハヤカワ・ミステリ、1512円、16.10.15. 発行

その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)
早川書房
ジョー・ネスボ

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<後記>抒情的な文章と物語に、心がしびれました(^^ゞ。
 巻末の解説をミステリ書評家の川出正樹さんが書いていますが、この物語を次のように記しています。
<暴力と隣り合わせの人生を歩まざるを得なかった男女が織り成す、愛と憎しみ、信頼と裏切り、献身と我欲が絡み合う凄惨なれど哀感漂う贖罪と救済の物語だ。>
 まさに、そんな物語です。
 読み終わって、なぜかアンデルセンの「マッチ売りの少女」が思い浮かびました。そのわけは……是非この物語をお読みください(^^ゞ。
 
 今日(3日)はもっと晴れるかと思ったのですが、陽射しが出てきたのは午後からでした。
 夕方の散歩に出たのは5時20分ころでした。

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 上空に雲が多かったですが低空には少なく、夕日が出ていました。
 公園に行って、すぐに原っぱに向かいました。

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 原っぱでウロウロしていきます。

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 SORAはスリスリしてからマッタリ(^^ゞ。
 西風が吹いて気持ちがよかったです。

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 夕日は雲に隠れようとしていました。上空に薄明光線が幾筋か出ていました。

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 ベンチに座って、のんびり夕空を楽しむことにしました(^^ゞ。

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 夕日は雲の裏に沈んでいきました。

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 SORAは草の上に下りてマッタリしました。

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 上空の雲が少なくなり、一部がピンクに染まりました。

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 ちょっとワンコのような雲ができました(^^)/。

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 東と南を除いて、上空の雲が消えていきました。
 ブラブラしながら帰ることにしました。

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 ラストスリスリ(^^ゞ。

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 明日(4日)は曇りの一日で、午後からはにわか雨の可能性があるようです。気温もそこそこで、過ごしやすそうです。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
早速、アマゾンに注文しました。こういうのは、大好き!
毎日ばらいろ
2017/09/04 01:34
☆ 毎日ばらいろ さん、おはようございます♪
 こんな感じの物語がお好きですか(^^ゞ。
 逸品だと思いますので、楽しんでください(^^♪。
遊哉
2017/09/04 08:45
ベンチにすわって ノンビリ 夕日眺めるなんて しばらくやってませんね 近い将来 やれる日も来るでしょう 楽しみにしてます
seizi05
2017/09/04 10:09
☆ seizi05さん、大邸宅の庭にベンチを置いて(もうあるかもしれませんが)、夕日を眺めてはいかがでしょうか(^^ゞ。
遊哉
2017/09/04 13:15

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