団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『プレヴェール詩集』

<<   作成日時 : 2017/10/13 23:31   >>

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                 〔壁の雨染み〕


 「枯葉」というイブ・モンタンなどが歌ったシャンソンの有名な曲がある。作曲はジョセフ・コスマで、詩(歌詞)を書いたのがジャック・プレヴェールである。
 そのプレヴェールの詩篇のアンソロジー(選集)『プレヴェール詩集』を紹介してみる。

 収録されているのは、小笠原豊樹さん訳の『プレヴェール詩集』(ユリイカ、1956年/河出書房、1967年/マガジンハウス、1991年)所収のすべての詩篇と、『唄のくさぐさ』(昭森社、1958年)所収の7篇に、シャンソン「枯葉」を追加したものである。
 また、訳者による解説(マガジンハウス社版)と、谷川俊太郎さんの「ほれた弱味」(初出「ユリイカ」1959年8月)が収録されている。

 ジャック・プレヴェール(1900-1977)は、マルセル・カルネ監督の映画「霧の波止場」や「悪魔が夜来る」、「天井桟敷の人々」などの名脚本家であり、「枯葉」をはじめとして「バルバラ」「美しい季節」「朝の食事」など50曲にものぼるシャンソンの作詞家でもある、フランスの国民的詩人である。

 この本には、次のような詩篇が収録されている。


『ことば』より
 くじら釣り/美しい季節/われらの父よ/セーヌ通り/劣等生/帰郷/演奏会は失敗だった/葬式に行くカタツムリの唄/朝寝坊/景色が変る/血まみれの唄/こども狩り/家族の唄/わたしはわたしよ/手回しオルガン/朝の食事/絶望がベンチにこしかけている/はがねのむすめ/鳥さしの唄/まっすぐな道/結構な家系/主顕節/脱穀機/自由な町筋/大きな赤い/唄/花屋で/そして森はつづく/日曜日/庭/夜のパリ/花束/バルバラ/鳥への挨拶/なくした時間/天使との戦い

『見世物』より
 地方色/あかりを消して/ライムハウス/記憶のなかで/戦争/仲良く笑うために/荒涼たるデリカシイ/サンギーヌ/鰯の罐詰を作る女工たちの唄/ひまわり/結構なくらし/恋する二人/水死人/練兵場にて/血と羽根/ピカソのエッチング/闘牛/祭

『雨とお天気』より
 脳味噌のない小さなあたま/はやくこないかな/雪掻き人夫のクリスマス/イン・メモリアム

『ものがたり』より
 探検/五月の唄/幼年時代/小川/流れ星/祭(フィエスタ)/猫と小鳥/勘定/ある男/とかげ/銃殺された男/燈台守は鳥が好きで好きで/沖仲仕の心/キスして/あなたが眠るとき/夜の音/へんな星だね/悲しい生きものたち/こどものための冬の唄/学校から出てきたら/駝鳥/羚羊の生活より/キリンのオペラ/鳥の馬/檻のなかの若いライオン

〈シャンソン〉枯 葉


さて、いくつか引用・紹介してみようと思う。


 朝の食事

 茶碗に
 コーヒーをついだ
 茶碗のコーヒーに
 ミルクをいれた
 ミルク・コーヒーに
 砂糖をいれた
 小さなスプンで
 かきまわした
 ミルク・コーヒーを飲んだ
 それから茶碗をおいた
 私にはなんにも言わなかった
 タバコに
 火をつけた
 けむりで
 環(わ)をつくった
 灰皿に
 灰をおとした
 私にはなんにも言わなかった
 私の方を見なかった
 立ちあがった
 帽子をあたまに
 かぶった
 雨ふりだったから
 レインコートを
 身につけた
 それから雨のなかを
 出かけていった
 なんにも言わなかった
 私の方を見なかった
 それから私は
 私はあたまをかかえた
 それから泣いた。


 夜のパリ

 三本のマッチ 一本ずつ擦(す)る 夜のなかで
 はじめのはきみの顔を隈(くま)なく見るため
 つぎのはきみの目をみるため
 最後のはきみのくちびるを見るため
 残りのくらやみは今のすべてを想い出すため
 きみを抱きしめながら。


 なくした時間

 工場の門の前
 労働者がふと立ちどまる
 いいお天気に上衣を引っ張られて
 労働者はふりむき
 太陽をみる
 まっか まんまる
 ふかい空にほほえむ太陽
 労働者はなれなれしく
 ウインクして
 なあ 太陽くん
 じっさいくだらねえと
 思わんかい
 こんないい一日をまるまる
 経営者(おやじ)にくれちまうのがさ。


 燈台守は鳥が好きで好きで

 鳥が何千羽もあかりにむかって飛ぶ
 何千羽も堕ちる 何千羽もぶつかりあう
 何千羽も目がくらみ 何千羽も撃ち落とされ
 何千羽も死ぬ

 燈台守は鳥が好きで好きで……だから
 こういうことが我慢できない そこで言う
 しかたがない やっちまえ!
 そしてあかりをすっかり消す

 遠くで貨物船が難破する
 遠くの島から来た貨物船
 その積荷は鳥
 遠くの島から来た何千羽もの鳥が
 溺れる。


 プレヴェールは、恋人たちの歓喜や悲哀、戦争や人々の日々の暮らしのありさまを、ユーモアと諷刺で包んでうたい上げた言葉の魔術師と言えると思う。

 「朝の食事」については、谷川俊太郎さんがこんなことを書いている。

<初めて読んだ詩はたしか、余りにも有名な「朝の食事」でした。どうしたわけか僕は始めそれを、男に捨てられた女の詩だと思っていました。それから次には、兄貴に叱られた弟の詩だと思いこみました。今では少し変わって、仲間を裏切った労働者の詩だと信じています。もう少したつとまた変わるかもしれません。こういう風に、その時々に自由な想像を読む者に許すところに、「朝の食事」の人気の秘密があるのだと思います。少々ロマンチックな人なら、我が身をその中にすべりこませることだってお茶の子ですからね。
 「朝の食事」はやがて僕にとって、ドッグレースに使われる機械仕掛けの兎の如きものになりました。ひどく容易に手がとどきそうでいて、永久に手がとどかないのです。>

 この詩だけでなくプレヴェールの詩は、人によっても年齢や時代によっても、いろんなことを想起させるのかもしれない。

 「夜のパリ」もシャンソンだが、一度はどこかで見るか読むかしたことがあるんじゃないだろうか。
 「なくした時間」は昔働いていたころに、同じようなことを感じがことがある。通勤電車に乗るときに、今日は仕事を休んで反対方向に行っちゃおうか、などと(^^ゞ。
 「燈台守は鳥が好きで好きで」は、なんとも皮肉な内容で面白いのである(^^)/。

 この本は、そんなプレヴェールの詩のエッセンスを集めたアンソロジーである。
 よかったら、読んでみていただきたい。


<今日のお薦め本>
『プレヴェール詩集』 小笠原 豊樹(おがさわら とよき) 訳、岩波文庫、907円、17.08.18. 第1刷発行

プレヴェール詩集 (岩波文庫)
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<後記>プレヴェールの詩は、平易な言葉や表現で書かれているのですが、その言葉をたどっていくと、しだいに心に染み入り感情がじわりと広がってくるような気がします。

 フランス語はまったくダメなのですが、シャンソンが好きで二十代の後半のころ、銀座にあった“銀巴里”というシャンソン喫茶によく行っていました。
 そのころ歌っていた人は、金子由香利、工藤勉、仲代圭吾(仲代達也さんの弟)、平野レミさんなどでした。美輪明宏さんも出ていましたが、美輪さんが出る日は早めに並ばなきゃいけないし値段も高くなるので、聴いたことはありません(^^)/。
 シャンソンもフランス語で歌う人もあれば、日本語で歌う人もいました。フランス語と日本語を歌い分ける人もいました。
 今思うと、日本語の歌詞というのは本来のフランス語の詩の内容とはだいぶ違う場合が多かったような気がします(^^ゞ。内容を、日本語で歌いやすいように意訳していたんでしょうね。
 フランス語で歌われた場合も、内容はわからないのですが、なんとなく歌や歌い方の雰囲気から内容を想像して楽しんでいたような気がします。
 今回、「枯葉」の訳を読んでみて、へええ〜本当はこんな内容だったんだと思って、ちょっとビックリでした(^^)/。
 そんな面白さや懐かしさを味わえた本でした(^^ゞ。


 今日(13日)は、一日雨が降ったり止んだりで、気温も上がらず肌寒かったです。
 夕方の散歩に出たのは4時半ころでした。カミさんもいっしょでしたが、小雨が降っていたのでカミさんは合羽を着て、バカ親父は傘を差して行きました。

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 公園の桜並木の階段を上っていきました。

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 原っぱに出ると、SORAは反対側までトットコ歩いていって、大トイレをしました(^^ゞ。

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 雨雲が低く垂れこめていました。
 馴染みのワンコの飼い主さんと会って、おしゃべりしながら元来た方へ戻りました。

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 公園を回ることにしました。

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 こんな実が生っていましたが、何の実でしょうか? シモツケの近くにあったのですが……(^^ゞ。

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 これはポインセチアでしょうね?(^^)/。

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 原っぱに戻って、SORAはどんどん歩いていきました。

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 SORAが手近の階段を降りていくので、帰ることにしました。

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 明日(14日)は曇り時々雨で、時にザァーっと強く降ることもあるようです。肌寒さが続きそうです。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
「朝の食事」良い誌ですね。
私には、中年の夫婦が少し関係が冷ややかになっていて、夫が妻に語った誌のように思えました。外国の翻訳詩集は永らく手にしていません。読んでみたくなりました!!
のりこ
2017/10/14 03:04
☆ のりこ さん、「朝の食事」いいでしょ(^^ゞ。
 いろんな状況というか、二人の関係が浮かんでくると思います。
 バカ親父は、同棲していた若い男女の別れの場面のような気がしました。出ていったのは男のほうです(^^)/。
 いろんな思いを抱かせる詩が多いです。是非、読んでみてください。
遊哉
2017/10/14 05:28
追伸です。
ミステリーは一寸?と思うときもあるのですが、
この詩は是非読んでみたくて、早速図書館に予約しました。素敵な詩集の紹介ありがとうございました
のりこ
2017/10/14 09:46
☆ のりこ さん、読書は各人の好みで読めばいいと思います(^^ゞ。
 バカ親父の読むミステリーは洋物ばかりなので、これも好き嫌いがあるような気がします。
 詩というのは、ときどき無性に読みたくなりますね(^^♪。
遊哉
2017/10/14 14:17

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