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zoom RSS 『特捜部Q ― 自撮りする女たち』

<<   作成日時 : 2018/01/17 21:29   >>

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               〔今日の雨に煙る夕空と夕景〕


 特捜部Qシリーズの「吊るされた少女」から2年2か月ぶりに、待望の第7弾『自撮りする女たち』の邦訳が出たので紹介してみる。

 特捜部Qというのは、カール・マーク警部補が率いるコペンハーゲン警察の未解決事件を専門に扱う部署である。警察本部では虐げられて事務所は地下にあり、3階にある殺人捜査課とはいつも対立している。
 メンバーは現在、カールの下に次の3人がいる。
 ハーフェズ・エル・アサド……シリア人で素性が不明なところが多い。たどたどしかったデンマーク語も、今はだいぶ上手になっているが、何かあるとラクダにかかわる諺を出してくる。変わり者だが知識と能力があり、カールも一目置くようになっている。
 ローセ・クヌスン……言いたいことを言うが、仕事ができて勘もいい特捜部の紅一点である。マイペースで自分が興味のないことはやりたがらない。カールが落ちこむと明るく励ましたりするのだが、エキセントリックなところがある。
 ゴードン・T・タイラー……痩せた優男だが、ローセといい仲になっている。いい加減だった仕事ぶりも、だいぶ良くなってきた。

 プロローグは、次のように始まる。


<一九九五年十一月十八日、土曜日

 どれぐらいの時間、湿った落ち葉を踏みしめてうろうろしているんだろう? まるでわからなくなっていた。むき出しの両腕は凍えそうに冷たい。家からは怒りに満ちた大声と、ぞっとするような物音が聞こえてくる。息が止まりそう。目頭(めがしら)が濡れるのを感じたけれど、泣くまいとこらえた。ママはきっとこう言うだろうから。「そんなに泣くと皺(しわ)ができる。皺って醜(みにく)いわよね」ママは、相手が嫌な気持ちになることを言うのが本当にうまい。
 ドリトは落ち葉の上を歩きまわった黒い足跡を眺めた。それから、屋敷の窓とドアの数を数えた。数えるのはもう何度目だろう。いくつあるかは知りつくしている。両開きのドアが二つに、大きな窓が十四、地下室には縦長の窓が四つ。ガラスの数は全部で百四十二あるはずだ。
 こんなに大きな数まで数えられるなんて、自分でもすごいと思った。同じクラスでここまで数えられる子はいないだろう。
 そのとき、別棟の地下室へ行くためのドアがきしみながら開く音が聞こえた。嫌な予感がする。
 メイドが地下室の階段を上がってきて、まっすぐこちらへやってきた。「なかには絶対戻らない」ドリトは小声でつぶやいた。
 ドリトは庭の奥にある深い茂みのなかに隠れるのが得意だった。何時間もそこにいることもあった。でも今回は、メイドの方が早く、隠れる暇がなかった。気づいたときにはもう、手首をつかまれていたのだ。「ドリト、上等の靴でこんなところを歩いちゃだめじゃないの! ツィマーマン夫人がご覧になったらどうするのよ!」
(後略)>


 大きな屋敷に住むドリトという女の子の昔の出来事が綴られていく。
 次の場面は「2016年4月26日、火曜日」になる。
 デニスという失業中の女性が出てくるのだが、実は彼女は21年後のドリトだった。
 いったいどんな話が始まるのだろうか?

 特捜部の事件解決率が悪いと殺人捜査課から言われ、特捜部解体が囁かれるなか、ローセの不調も続き、チームの士気は下降中である。
 ローセは、2年前のハーバーザート(「吊るされた少女」)事件の報告書を未だにまとめず、カールにせっつかれると、勤務を放り出して出てこなくなってしまった。
 チームの面々は心配するのだが……。

 ある日、元殺人捜査課課長マークス・ヤコプセンからQに電話が入る。最近発生したリーモア・ツィマーマンという老女の撲殺事件が、2004年に起きたステファニー・ゴンダスンという女性教師の未解決殺人事件に酷似しているとの情報だった。
 元上司の懇願に、カールら特捜部の面々は重い腰を上げる。
 折しも失業中の若い女性を狙った連続轢き逃げ事件も起きて、3階の殺人捜査課は大わらわ。その隙に新旧双方の事件の捜査を勝手に始めたのである。

 物語はチームの活躍はもちろんだが、2つの撲殺事件にまつわる家族の話、連続轢き逃げ事件の犯人とその被害者となる若い女性たちの話、そして精神的におかしくなっていくローセの話が併行して語られていく。

 ローセは過去の出来事にまつわる夢や幻覚にしだいに精神に異常を来し、病院に入院するものの、そこも飛び出してしまう。
 特捜部の面々は、ローセが破滅的で深い闇を抱えていることを知り、彼女の妹たちの協力も得て、その闇を解明してなんとか救おうとしていくのだが……
 複雑化していく事件の捜査に時間を取られ、なかなかローセとのコンタクトがとれない。
 そのうちに、なんとローセはチームが捜査している事件に巻き込まれてしまった。 

 複数の事件が複雑に絡み合って進行し、カールの刑事歴でもかつてない事態になっていく……。
 はたして特捜部は事件を解決することができるのだろうか?
 そして、精神的にも肉体的にも死に瀕してしまったローセを救うことができるのだろうか?
 ラストは……泣かせるのである(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『特捜部Q 自撮りする女たち SELFIES』 ユッシ・エーズラ・オールスン 著、吉田奈保子 訳、ハヤカワ・ミステリ(ポケミス)、2268円、18.01.15. 発行

特捜部Q―自撮りする女たち― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
早川書房
ユッシ エーズラ・オールスン

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<後記>今回の物語は、いろんな話が錯綜していてあらすじを書くのがとても難しいのでした(^^ゞ。
 どうも中途半端になりましたが、これ以上はネタバレになるので止めておきます。
 でも、今回もやはり面白かったです(^^ゞ。
 それは、カールをはじめとした個性あふれる特捜部の面々の言動にもあるし、併行して犯人などの話が進む構成の面白さや、緻密で巧みなプロットの面白さもあります。

 今回は、デンマークが抱える社会福祉政策、なかでも、失業対策や生活保護の問題点が大きなテーマになっています。
 充実した社会福祉政策があるものの、就労する意志がないままに補助金だけを受け取ろうとする人がいたり、生活保護の不正受給などがあり、葛藤や問題があるようです。
 そんなことが、ここでは事件につながっていきます。
 どこの国でも、同じような問題はあるものですね。
【本書に関する<追記>(1月18日記)を最後に載せてあります(^^ゞ】


 今日(17日)は朝から雲が多く、午後2時ころから雨が降り出しました。
 テレビを観たり、本を読んで過ごしました。
 夕方の散歩は、4時15分ころに出ました。風と雨が激しくなっていたので、合羽の上と長靴を履き、傘を差して行きました。

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 歩いているうちに、ますます雨が激しくなっていきました。

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 公園の桜並木の階段を上っていきます。

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 原っぱをウロウロしていきましたが、風が強くて合羽と長靴の間の膝の周りがビシャビシャになりました。

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 SORAは大トイレを済ませると、すぐにUターンしました(^^ゞ。

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 階段を下りていきました。

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 SORAは、水が入らないように耳をずーっと伏せていました(^^)/。

 日中のSORAです。
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 今日はそれほど寒くなかったと思うのですが、SORAは丸くなって寝ていました(^^ゞ。

 明日(18日)は晴れて15℃くらいまで気温が上がり、季節を先取りしたような穏やかな陽気になるようです。


<追記>今日(18日)買った『週刊文春』(1月25日号)の「ミステリーレビュー」に、池上冬樹さんが本書を取り上げていました。
 さすが池上さん、とても巧くまとめて紹介しているので、載せておくことにします(^^ゞ。

<未解決事件を追及する特捜部Qシリーズの第七弾。カール・マーク警部補たちが追うのは十二年前の女性教師殺人事件で、最近発生した老女撲殺事件との関連が疑われ、新旧双方の事件捜査を進めていく。
 相変わらず警察小説の興趣に富み、並行して描かれる社会福祉政策の裏側をめぐる女性たちの物語は犯罪小説としての厚みをもつ。複数の事件が錯綜するプロットが素晴らしいのだが、そこに特捜部Qのアシスタントであるローセの多重人格的な心の闇を解明していく長い脇筋を織り込み(これがまた見事)、サスペンスを高め、一段と劇的な展開を辿るからたまらない。複数の事件とローセが迎える結末にはシリーズファンなら胸が熱くなるのではないか。複雑巧緻なプロットといい、沸騰する熱きドラマといい、矛盾にみちた福祉という主題の掘り下げといい、シリーズの中でも指折りの傑作だろう。>
 ちなみに採点は、★★★★1/2となっていた(満点は★5つ)。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
私も最近huluで、特捜Qの映画を3作品見たことがきっかけで、第4作と第5作を立て続けに読みました。今第6の作品の到着を待っているところです。最新作も面白そうですね。
久しぶりに熱中して読めました。
のんびり猫
2018/01/18 20:37
訂正です。Huluではなくアマゾンプライムでした。
のんびり猫
2018/01/18 21:24
☆ のんびり猫さん、バカ親父は見たことがありませんが、アマゾンプライムで特捜部Qの映画をやっているんですね。機会があったら見てみたいです。
 この第6弾は池上さんが書いているように傑作だと思います。錯綜するプロットを見事にまとめて、とても面白い物語にしていると思います。
 手に入ったら、楽しんでください(^^ゞ。
遊哉
2018/01/18 22:52

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