団塊バカ親父の散歩話

アクセスカウンタ

zoom RSS 『レインコートを着た犬』

<<   作成日時 : 2018/06/25 23:21   >>

ナイス ブログ気持玉 64 / トラックバック 0 / コメント 0




画像

                〔夕方の原っぱのSORA〕


 バカ親父の好きな作家でエッセイストで装幀家でもある吉田篤弘さんの小説『レインコートを着た犬』を紹介する。

 プロローグは次のように始まる。


<  月の声

 もし、この身に奇跡が起きて永遠の自由を与えられたら、私には行ってみたいところが三つばかりある。
 そのうちのひとつは、皆から「銭湯」と呼ばれているところ。なぜなら、銭湯の帰りに、うちの映画館に立ち寄るお客様の誰もが揃って陽気に見えるからである。
 人間は皆、等しく陽気であるべきだと私は思う。ときに寂しげであったり、陰鬱であったり、激怒していたりと、さまざまな面があるのも豊かでいいけれど、やはり陽気な人間の姿を私は一等快く思う。
 しかし、犬であるところの自分は、そこのところを、もうひとつうまく表現できない。自分としては精一杯、陽気に振る舞っているつもりなのに、「おい、どうした」「元気がないな」「腹がすいたか」と人間の皆さんに勝手に決められてしまう。
 なぜ、神様は犬に笑顔を授けてくださらなかったのか。神様というのは、どうもやはり人間をいの一番に贔屓(ひいき)にしている。人間の願いや望みはそこそこ叶えてくれるのに、その他の生きものに対しては、いつも耳の遠いふりをしている。神様も身ひとつで、あれこれ、やり繰りしているのだから仕方がないけれど、そういう訳で、いつからか私が想う空の上の神様は「耳の遠い神様」になった。
(後記)>。


 おわかりのように、語り手は犬である(^^ゞ。
 この本は、吉田さんが“月舟町(つきふねちょう)三部作”と呼んでいる、『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』に続く完結編である。
 次のような11章からなっている。

 月の声/十字路の灯台/字幕と三角関係/デジャ・ヴの目印/どっちもどっち/雨と美少女/一人二役/クロスワード・パズル/ギターと試食/脱走/記念撮影

 ジャンゴという名の語り手は、小さな古い映画館“月舟シネマ”の館長である直(ナオ)さんの飼い犬で、番犬で看板犬である。
 プロローグにもあるように、心密かに「笑う犬」を目指している(^^ゞ。

 登場人物は、ジャンゴを取り巻く人々がいろいろ出てくる。
 古本屋の親方は女房のサキさんとの二人暮らしで、ジャンゴが直さんのような杓子定規な男と年がら年中一緒にいるのは可哀そうだと連れ出して、店の自分の傍らに座らせたりしている。サキさんは屋台を営んでいる。
 月舟シネマでパン屋の店を出している見目麗しい初美さんは、直さんの憧れの人である。ところが、スーパー・コンビニエンス・ストアに勤めるタモツさんは初美さんに獰猛で野蛮な恋心を抱いている(^^)/。

 町の人々が集う名前のない食堂は十字路にあり、行き場を失った風がよく旋風に化けるので、町の人々からは「つむじ風食堂」と呼ばれている。
 直さんは常連とはいえないが、ジャンゴは直さん以外の人によく連れられて行くので食堂の客犬になって久しい(^^ゞ。

 そんな月舟シネマは客がますます入らなくなって閉館寸前だし、つむじ風食堂は隣町の桜川にできたレストランに客を取られて困っていた。
 町の人々が月舟シネマとつむじ風食堂の経営を盛り返そうと奮闘していく。
 そんな町や住人の日々の様子を、ジャンゴが淡々と語っていくのである。

 2か所ほど引用紹介してみる。


<私の知る限り、人の世では常々「生きる意味」が問われている。しかし、その意味は、生きれば自然とわかるのかもしれない。生きなければ答えは出ない。生きれば生きるほど、それまで見えなかったものが見えてくる。夜の空で点と点が結ばれて星座が見えてくるように、毎日毎日を繰り返して積み上げてゆくと、ご褒美のように記憶が交流して大きな目印を見せてくれる。
 そんなことなら、私はもっと記憶したい。すべてを覚えておきたい。覚えていれば覚えているほど、後々いろんなものが結びつく。思いがけない星座があらわれる。
「人生っていうのは、先に行けば行くほど面白いもんだ」
 親方がそう云っていた。そのセリフを覚えておいてよかった。そのときは意味がわからなかったが、いまになってこうしてわかる。嗚呼、親方に伝えたい。人生だけではなく、ドッグ・ライフもまた先へ行くほど面白いものです、と。
 忘れたくない忘れたくない。
 神様、どうか、私の記憶力を向上させてください――。
(後略)>


<親方がそうして番台で頬杖をつくと、決まって居眠りが始まっていびきが聞こえてくる。案の定、しばらくすると、ごうごう聞こえてきた。親方は店を閉めた夜更けにひとりでコツコツ棚の整理をしてきた。宿題に夢中になるあまり、睡眠もままならない。これは直さんも同じで、夜遅くに館内の傷んだ壁や床の修繕をしたり、剥げかけたペンキを塗りなおしたりしていた。もしかしたら、明日にでも閉館を余儀なくされるかもしれないのに――。
 人間という生きものがしばしば繰り返すこうした不可解な行動を私は好ましく思う。
 私はこう見えて、多くの人間たちに「可愛い」と頭を撫でられる身であるが、人間のこうした道理の通らない考えや行動こそ、可愛く見える。
 愚かしいことはときに可愛い。可愛いことは、おおむね愚かしい。
 賢く振る舞わなければ、と自分を追い込み、その結果、愚かしいことをすべて排除してしまったら、ヒトはずいぶんとつまらない。
(後略)>


 心が疲れている方には、読んでいるうちにその疲れがホッコリと取り除かれていく、というような物語である(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『レインコートを着た犬』 吉田篤弘 著、中公文庫、714円、18.05.25. 初版発行
 本書は、2015年に刊行された単行本が文庫化されたものです。

レインコートを着た犬 (中公文庫)
中央公論新社
2018-05-22
吉田 篤弘

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by レインコートを着た犬 (中公文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


<後記>人に対しては言葉が通じないジャンゴですが、冷静に人間たちを観察し、懸命に思考していきます。
 なんでもないような描写が綴られていきます。でも、彼の思いとドッグ・ライフがなんとも哲学的で考えさせられ、面白いのです。
 著者は「あとがき」で、この三作目の語り手を誰にするかで悩んだと書いています。最初は直さんにしようかと思ったそうですが……
<彼は人一倍無口な男で、長々と物語るのがどうにも似合わないのです。
「さて、どうするか」と腕を組んだとき、足もとに寝そべってこちらを見上げていたのが、映画館の番犬であるジャンゴでした。
 犬は人の心情を汲(く)んでくれるように思います。だから、人は犬に話しかけます。皆がそれぞれの内面を犬にさらけ出すので、犬だけが皆の胸中を知っている。これはもしかすると、面白い語り手になるかもしれないと思いました。>
 著者の意図はみごとに当たっていて、とても面白く読める作品になっています。
 よかったら是非、手に取ってみてください。

 今日(25日)は、朝から陽射しが出て一日晴れとなり、気温が上がって真夏日になった。
 カミさんは「空飛ぶタイヤ」という映画を観に行った。長瀬智也が主演だが、好きな高橋一生が出ているので、彼がお目当てだったのだろう。
 バカ親父は絶対に見ない映画のジャンルである(^^ゞ。

 バカ親父は本屋に行った以外は、家でテレビを観たり本を読んでいた。
 夕方の散歩に出たのは、5時45分くらいだった。さすがに、そのころになると少しは過ごしやすくなっていた。

画像

 雲ひとつない快晴で、夕日がまぶしかった。
 公園を回っていった。

画像

画像

画像

画像

画像

画像

 原っぱに出た。

画像

画像

 南の空に月が見えた。

画像

画像

 満月は29日だということだ。
 SORAはちょっと歩いてはスリスリをしまくった。

画像

画像

画像

画像

画像

 あとは休んだ(^^ゞ。
 今日はサッカーをしている子どもたちが多くて、ベンチも空いていなかったので、ここでマッタリした。

画像

 馴染みのワンコがやってきて、SORAはその飼い主さんの脇に座った。

画像

 いっぱい撫でてもらっているうちに伏せになり……

画像

 ついには寝てしまった(^^)/。
 しばらくするとSORAが歩き始めた。

画像

画像

 ほんの少しだけ雲が出た(^^ゞ。
 SORAは原っぱをウロウロするかと思ったのだが……

画像

 なんと階段を下り始めたので、帰ることにした(^^ゞ。

画像

画像

画像


 明日(26日)の横浜の南の端っこの天気は、雲が広がることがあるものの、陽射しが届いて暑さが続きムシムシしそうです。これからは、熱中症対策が欠かせませんね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 64
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『レインコートを着た犬』 団塊バカ親父の散歩話/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる