150人程度

 先週また、うちののカミさんが怒った。さいわいなことに、怒られたのはバカ親父ではない。

 その日は金曜日で、資源ごみの回収日だった。資源ごみというのは、ビン、カン、雑誌・本・ダンボール等のリサイクルできるもののことだ。わが家が当番の日で、カミさんは朝早く、ビンとカンそれぞれを入れる折りたたみ式のカゴを、回収場所に置くなどしていた。
 そして回収車が来たのだが、しばらくしてカミさんが掃除をしようと見にゆくと、雑誌の束が置いてあったという。どうも、最近近くにできたワンルーム・マンションの入居者が置いていったらしい。「ンもう! (ゴミを)取りにきた後に出さないでよ!」とカミさんは怒ったのだが、仕方がない。とりあえず、その雑誌の束を持ち帰ったという。
 
 この出来事が、もし隣の町内だったらどうだろうか。カミさんもこれほど怒らず、「あら、回収車が行った後なのに、雑誌が置いてあるわ。困った人がいるものね」…くらいだろうか。もし隣の区で見かけたら、「どこにも、ルールを守らない人がいるわ」…くらいか。もし他県だったら、何も言わず、ひょっとしたら目にも止まらないかもしれない。
 これは何を意味するのか。実は環境破壊なんて、こんな人の意識から起こるのである。
 食後に皿を洗うのに洗剤を使う。洗剤を使えば、河川の富栄養化が起こる。それが海に行けば、赤潮が起こり魚や貝が死ぬ。とういうことを人は知っていながら、毎日洗剤を使ってしまう(今の洗剤は、ある程度その辺を考えて作られてはいるんだろうが)。「わかっちゃいるけど、やめられない」のである。そして、環境破壊が起こるのだ。

 こんなことを、わかりやすく書いてくれている本がある。
<今日のお薦め本>
『ヒトは環境を壊す動物である』 小田 亮 著、ちくま新書、680円+tax
 著者は、もともとニホンザルやワオキツネザルといった霊長類の研究者だったのだが、環境教育に携わることになった。環境教育とは、環境問題の本質や社会とのかかわり、あるいはその背後にあるメカニズムについて解説することである。この本は、比較行動学や自然人類学を通じて考えた「人間とは何か」という視点から書かれたものである。
 著者によれば、
<人間の道徳性の基盤としてあるのは他者への共感や感情移入>であり、<このような共感や感情移入は比較的小さなコミュニティのなかで発達してきたものと考えられる>が、<脳容量から分かる認知的な限界を考慮すると、それが150人程度の規模ではないか>という。ところが、<現代社会の利害関係はそれをはるかに越えてしまっている>というわけである。
 最後に<自らについて正しく知ることこそ、未来に向かって有効な指針を立てるうえでの基本になるのではないか>と結んでいる。

<後記>この本は、今まで思いもよらなかった生物学(進化心理学)の視点から、環境問題をとりあげていて、目を見開かされます。それに、人の進化やどんな生活をしていたのか、どのように農業が始まり、人の心が形成されたのか、男と女の性差(考え方の差)はなぜ生まれたのか……等々、いろいろなことをわかりやすく教えてくれます(ちょっと難しいところもありますが)。高校生以上なら充分理解できると思います。
 人はまったく馬鹿で困った動物で、イヤになることもありますが、コイツがまた面白いんですよね。
 本文を「である」調で書いていると、バカ親父は疲れます。この<後記>では、「です、ます」調で書いて一息入れています。時々は、<今日のお薦め本>でも……。

ヒトは環境を壊す動物である

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