忘れてもいいんだ~




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 この前「……とはいうものの……」というタイトルで、内田百閒(百鬼園)先生について書いた。
 今日も同じく百鬼園先生の言ったことに関する話である。

 10日ほど前だが、朝日新聞「磯田道史のこの人、その言葉」(7/18)で、百閒先生とその言葉について紹介していた。(磯田さんは、歴史学者で茨城大准教授)
 まず、百閒先生については、

<内田百閒(ひゃっけん)の随筆は名文。「おかしみの中に人生の深淵(しんえん)をのぞかせる」>と述べたあとで、

 百閒は、岡山の造り酒屋の生まれで、夏目漱石に心酔し、第六高等学校から東大独文科に進学した。
 卒業後、母校の六高の教官になる話もあったが、在校時代に遅刻ばかりしていたのが祟り不採用になった。
 陸軍幼年学校や法政大学などで、ドイツ語の教鞭をとったが、百閒先生は悠々としたものだったという。
 授業開始のベルが鳴っても教授室でタバコの煙をくゆらしたり、教壇に立っても、彼一流の屁理屈をこね始める。
 だが、その屁理屈こそが、生涯忘れない哲学として、学生たちの心に残ったということだ。

 と紹介している。
 紹介している言葉は、次のような言葉である。

<知らないという事と忘れたという事は違う。忘れるには学問をしなければならない。忘れた後に本当の学問の効果が残る。>

 その解説は、次のようにある。

<ある日、学生がいった。「先生、ドイツ語は難しくてよくわかりません」「覚える先からみんな忘れてしまいます」。すると、百閒はいった。覚えたことを忘れまいとするその賎(いや)しい根性がいけない。忘れることなんか気にしないで、ただ覚えればいい。そもそも生まれた時からのことをみんな覚えていたら頭がおかしくなる。(『百鬼園先生言行録』)
 また百閒はいう。学問はむしろ忘れるためにする。はじめから知らないのと、知ったうえで忘れるのでは雲泥の差がある。学問がその人に効果を発揮するのは忘れたあと。学問をするのにすぐ役に立つかということばかり考えるのは堕落の第一歩だと。(『学生の家』)
 われわれは勉強した内容を忘れるのを必要以上に心配する必要はない。いったん覚え、そして忘れたものは後になって必ずその人に効いてくる。百閒先生は教養というものの正体をしっかりと学生に語っている。>


 なるほど、忘れてもいいんだ~、とちょっと安心したのである(^^ゞ。
 今までも何回か書いてきたが、バカ親父、自慢じゃないが忘れることに関しては誰にも負けない。忘却力があるのである。
 ごく最近も、手に入れた本が1年前に買った本だったことに、またまた気がついてしまった。本を読んでも、すぐにそのタイトルも内容も忘れてしまうのである。
 まあ、百閒先生の言っていることは学問や勉強についてだから、ちょっと違うといえばいえるのだろうが、通じるものはあるだろう。
 学問をしなければ忘れることもないだろうし、同じように本を読んで何かを知らなければ忘れるということもないだろう。
 最初から知らないということと、忘れてわからないということとは、大きな違いがありそうである。
 忘れてしまったことは、何かの折に不意に思い出すことがある。どこかで読んだなと、おぼろげながらに思い出すこともある。思い出したことが他のことと結びついて、発展あるいは熟成して出てくることもある。
 思いもかけない発想に結びつくことがあるのである。
 それは、ひょっとすると、ずーっと覚えていては叶わないことなのかもしれない。一度忘れてしまったからこそ、できることなのかもしれないのである。
 百閒先生が言ったことも、こんなことを意味していたのかもしれない、と思うのである。


<後記>人の頭の中はわからないことばかりですが、忘れることの効用という不思議もありそうです。
 何かに思い悩んだ時にも、そればかり考えているとおかしくなりますが、一度まったく別のことにのめり込んで、たとえば何も考えずにスポーツをしたりすると、別の見方や発想ができるということもあります。そんなことも、忘れることの効用かもしれません。
 これは、いつも意識の上にあって捉われていると良くない、ということかもしれません。一度まったく忘れて、無の状態にすると、何か新しいことが頭の中で生まれてくるということでしょうか。
 面白いものです。
 忘れることに効用があるとしたら、これからは、忘れることを気にしないことにしよう。
 本を読んでいて、アレッ、これって依然に読んだことがあるかも、と気がついたとしても、それはそれで忘れていたことを思い出すことができたという効用があったのだ、と思うことにしよう。
 と思ったのでした(^^ゞ。

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この記事へのコメント

2009年07月29日 17:11
 頭も一度、初期化すると、スピードが上がって、性能もよくなるかも? なんちゃって。(^^ゞ
 忘れたいことは忘れられなくって、忘れたくないことは忘れちゃう…そんな私です。(^_^;)
遊哉
2009年07月29日 19:31
☆ キョンさん、頭が初期化できてスピードが上がったら面白いかもしれません(^^ゞ。でも、保存してある記憶がみんななくなっちゃうのは、ちょっと困りますね。
 忘れるということは、表面には出てこないけど、どこかに記憶は残っているということでしょうから、それが意味があるんだと思います。
 “忘れたいことは忘れられなくって、忘れたくないことは忘れちゃう”ってことはありますね。忘れたいことは、悪いことが多いでしょうが、強い記憶として残っているんでしょうね。
 忘れたいことは無理に忘れようとせず、自然に任せる。忘れたくないことは意図的に意識に上らせるのがいいのかも知れません。
 人の頭って、なかなか難しいものですが、面白い(^^ゞ。
2009年07月29日 19:59
今回もためになりました!あ!次何書くのか忘れた!! 本屋に着いたとたん著者名などぽっと忘れた感じになるのはどうしてだろう?着いたって安心からかな?気を鎮めて頭に上るの待つこと数分。出てきたらまだ軽症!?要メモです^^;メモしたこと忘れてたらどうしよう?こんなコメント前にもここで書いたような気がします、なんとなく^^;
>忘れることをおそれず覚えなさい。
いいですね~^^それと、間違えたことや恥ずかしい思いをしたことって残りますね^^;
失敗をおそれずってとこですね。
遊哉
2009年07月29日 21:06
☆ ごろごろ さん、ブログのネタにいいのを見つけたと思っていて、それが出てこないことがあります。「この表現を使おう」と思っていて、いざ書こうと思うと忘れていることもあります(^^ゞ。
 ほしい本とかいいなと思う本は手帳に書いたり、新聞の書評を貼っておくんですが、いざ本屋にいくと思い出せないことが多々あります。手帳を持っていけばいいんですけどね(^^ゞ。
 同じようなことをやってますね(~_~)。メモはこまめにしとかなきゃいけませんね。
 ブログ記事も同じようなテーマで何度も書いてると思いますが、それはもう仕方のないことだと思います。というか、人は大きく分けて3つか4つくらいのテーマでしかブログなどを書いていない、という説もあります(~_~)。
 そうですね。間違えたことや恥ずかしい思いをしたことは残りますね(^^ゞ。学問に王道なしといいますが、忘れようが恥かしい思いをしようが失敗しようが、学問は地道にやってかなきゃいけないということでしょうか。
 百閒先生の言うことは、思ったより深い意味がありそうです(^^♪。
mii
2009年07月29日 22:41
遊哉さん~こんばんは♪
実は・・・つい先日昔すでに読んでしまっていた
渡辺淳一さんの本を買ってしまいました
1巻の途中まで読んでも気がつかなくて
読み進めていくうちにあらっみたいな~
これでもいいの?
最近こんな感じなことが多過ぎです
料理のレシピもすぐ忘れます
メモを見ながら作ると、メモばかりを頼りにしてるから、何回作っても覚えられません
あっ!そういえばカーナビのせいで道も覚えられない私
今からこんなで大丈夫でしょうか~不安だぁ~
遊哉
2009年07月29日 23:27
☆ miiさん、こんばんは♪
 途中まで気がつかなくても、楽しめたんだからいいんじゃないでしょうか。気がついちゃうとガクッと来ますが、まだ気がつくことができてよかったと思いましょう(~_~)。まったく気がつかないとしたらボケてるし、それはそれで幸せかもしれませんが(^^ゞ。
 料理のレシピのことはよくわかりません。が、つくる回数もあるでしょうが、つくる間隔も関係するかもしれませんね。間隔を置かずに何回かつくれば、覚えちゃうかもしれません。
 カーナビを使い始めると、地図を覚えなくなりますね。初めてのところに行く時や慣れない所へ行く時は、素直にカーナビを使ったほうが安全でいいと思います。これも慣れで、たとえば親父の特養にいくのは、5、6回でカーナビを使わなくてもよくなりました。あとは1回行った所は地図でなぞっておくといいようです。
 忘れることが多くなるのは仕方ないことで、あまり不安がっても意味がないと思います。頭を使って、いろいろ工夫して乗り切りましょう(^^♪。
2009年07月30日 00:51
勉強したことをがっちりと覚えていて、それを生活に役立てることが教養なのではなくて、忘れてしまってはいても、その人の考え方や行動に知らず知らずのうちに染み込んでいるのが教養だということでしょうか。
それにしても最近、文章を綴っているときにつくづく思うのは、語彙がほんとに少なくなっていること。ある表現をしようと思っても、それのイメージは頭に浮かぶのに、ぴったりの言葉が浮かんでこなくて。それがだんだん頻繁になってきている気がします。近いうち日本語を忘れてしまいそうな勢いです(>_<)
2009年07月30日 07:23
忘れてもいいのね~~♪
最近よく忘れてなんだっけか!?って考え込む事多くなり・・・
本もビデオも見ながら同じ物借りちゃったんだ~と気がついてみたり・・・(^0^)
最近の極めつけは
息子が帰ってきて安心して自分の部屋で新シリーズの水戸黄門見始めたら寝ちゃったらしく
何で!部屋の電気が点いてんだ~って消したら声がした
息子が帰宅してたの忘れてた
お蔭で後半一時間くらい見れたわ
とぼけた親だよね(^0^)
トド
2009年07月30日 08:07
忘れるなんてけど、
いつも忘れすぎて、、ぼけた?なんて言われる歳に
なったので、一生懸命文章を書いて、お邪魔してます。
遊哉
2009年07月30日 10:00
☆ キーブーさん、教養についてはおっしゃるとおりなんじゃないでしょうか。生の知識をひけらかすということではなくて、忘れてしまっていても、知識が血となり肉となって知恵となって現れるのが教養なのかもしれません。
 ええっ、“近いうち日本語を忘れてしまいそうな勢い”なんですか~。キーブーさんのブログを読んでいると、語彙と表現の豊かさにすばらしいなあと思っているのに~(^^ゞ。バカ親父なんて、いったいどうしたらいいんでしょう(~_~)。
 本も読んでるし、映画も見てるし、これからは大いに書いていくのが、いちばんの対応策かもしれません。まだまだ若いんだから、頑張ってください(^^♪。
遊哉
2009年07月30日 10:16
☆ 小梅ばぁ♪さん、忘れてもいいんだそうですよ~~(^^♪。
 人は忘れるようにできてるようです。忘れないで全部覚えていたら、疲れちゃうかもしれませんね。年とともに忘れる頻度は高くなるでしょうが、それもまた良しなんじゃないでしょうか。どんどん忘れて、どんどん覚えましょう(~_~)。
 本もビデオも、同じものを借りちゃったら、もう一度楽しんじゃえばいいんです(^^♪。
 アハハ、息子さんが帰ってきてたのを忘れちゃったんですか~。ギスギスした親より、とぼけた親の方がかわいいと思います(~_~)。
遊哉
2009年07月30日 10:19
☆ トドさん、はい、文章を書くのっていいみたいです。忘れることは気にしないで、いろいろ勉強していきましょう。“ぼけた?”なんて言われても気にしないで行きましょう(^^♪。
2009年07月31日 07:38
遊哉さん:オハヨウ!
暗証番号やパスワードってしっかり覚えて居らっしゃいますか?
私は不用意に書き込んで後で思い出せないの・・・
2009年07月31日 08:34
ホントに、これはなるほどですよね。
主人の書斎には数多くの本が、並んでいます。多種多様、ある日「あれっ?これ、前にも読んでたんじゃないの?」というと「お母さんみたいに時々じゃないから、読んでても忘れとうとよ、でも読み返すと、最初と読んだときとは違う受け取り方が出来てまた、いいねぇ」と言います。
だから、主人に社会情勢や歴史や、どんなことを尋ねても必ず、答えてくれます。一番の得意は、外国でも日本でも言ってない場所でも事細かく行った事の様に話します。旅行の大好きな主人です。主人の良いところは「知らなくても恥ずかしいことじゃない」と受け入れてくれる所です。あははは~また惚気ちゃいました~~恥ずかしい
遊哉
2009年07月31日 10:21
☆ 愛ちゃん、おはよう♪
 暗証番号やパスワードはすぐに忘れちゃうから、手帳に書いとくんだけど、半年に1冊くらい更新していくから、どの手帳に書き込んであるかがわからなくなっちゃいます。必要な時に探すのが大変です(^^ゞ。どこかにまとめておかなきゃダメですね。
 暗証番号やパスワードは、一冊の決まった手帳にすぐに書きこんで、決まったところに大事に仕舞っとくのがいいようです(^^♪。
遊哉
2009年07月31日 10:39
☆ マンマさん、ご主人も本好きで乱読のようですね。人にもよるけど、バカ親父も読んだ本のことはどんどん忘れます。忘れるからどんどん新しい本を読めるともいえます。読んだことがすべて頭に入っていたら、頭がおかしくなっちゃう(~_~)。
 前に読んだ本でも、何年か経って改めて読むと、たしかにまた違った受け取り方ができるものです。
 ご主人は百科辞典みたいですね。好きなことは何度も何度も自分の中で反芻しているから、忘れないのかもしれません。
 いろんなことを知ると、自分の知っていることがいかに大したことがないことがわかります。無知を知るということでしょうか。
 “知らなくても恥ずかしいことじゃない”って大切ですね。知ろうとしないことのほうが、恥かしいことかもしれません。
 ご主人はなかなかすばらしい方です。大いに惚気てください(^^♪。
2009年07月31日 14:15
内田百閒先生が「Ⅰ love you」を「死んでもいい」と訳した・・という文章をどこかで読んだ記憶があるのですが・・・違ったかな~~。ウィキで調べても確認できませんでした。
遊哉
2009年07月31日 15:27
☆ リサさん、百閒先生なら「死んでもいい」と訳しそうですね。
 バカ親父もネットで調べてみました。それはどうやら、二葉亭四迷が、ツルゲーネフの『片恋』に出てくるロシア語の“I love you.”を訳すときに、「あなたのためなら死んでもいい」と訳したらしいです。
 ほんとかどうかは、わかりませんが(^^ゞ。
 記憶はあやふやなものです。忘れちゃっててもいいんです(~_~)。
リサ
2009年07月31日 21:32
そうだ、二葉亭四迷でした~。良かった、自信満々に書かなくて(〃⌒∇⌒)ゞえへ。
あいまいに覚えてるくらいなら忘れちゃう方がいいかな・・・
でも、今回の事でしっかり覚えたかも。
遊哉
2009年07月31日 23:30
☆ リサさん、二葉亭四迷でよかったですか~(~_~)。
 あいまいでも覚えてるほうがいいかもしれません。まったく知らなかったら、今回のコメントはできないでしょうし、正しいことも知ることはできなかったと思います。一度は知っておくことが必要なのかもしれません(^^ゞ。
 すぐに忘れちゃうことは、忘れちゃってもいいけど、覚えるまで何度でも繰り返すことが大切なんでしょうね(~_~)。
みいママ
2009年08月01日 16:01
最近は忘れぽっくて落ち込みがちですが
また思い出すこともあったりするとすっごく
うれしいです
SORAちゃんもねこもかわいいですね!
遊哉
2009年08月01日 22:59
☆ みいママさん、忘れることを恐れたり嫌がったりしないほうが良さそうです。忘れることは、平安に生きるための一つの能力かもしれません。それが年とともにより能力がついてくる、と思ったほうがいいと思います(~_~)。
 忘れていたことをひょっこり思い出すと、嬉しいですね(^^♪。そういう楽しみもあるってことで(^^ゞ。
 最近、散歩で出会うニャンコが気になります。かわいいですね(~_~)。
2009年08月03日 12:03
質問です。人の名前を忘れるのはいいのでしょうか?あんまり忘れるので怖いのです・・・。ただ顔とかどこで知り合った人とかいう周りのことは思い出すのですけどね(^^ゞ教えてもらうと思いだします。出来事をよく覚えているほうで、勉強したことは忘れてしまっていますが、どこかにひっそり眠っている気もします。美形の猫ちゃんですね。(~_~)
遊哉
2009年08月03日 19:25
☆ アーシアさん、“人の名前を忘れるのはいいのでしょうか?”と聞かれても困ります(^^ゞ。いいとも言えるし、悪いとも言えます(~_~)。
 最近、BSで古い映画を観るのですが、俳優の顔はわかるのに名前が出てこないということが多々あります。これはカミさんもいっしょです(~_~)。
 今のところ、家族の名前や親友の名前は忘れることがないから、どうも普段必要のない人の名前から忘れていってるような気がします。というか、普段聞かなかったり使わない名前は忘れていくんじゃないでしょうか。それは、別に悪いことじゃないような気がします。
 もし、家族や親友の名前を忘れたり、顔も忘れるようになったら、それはもう別の認知症ということだから、治療していくほかはないでしょうね。それ以外で忘れっぽくなるのは、誰でも年とともに致し方ないことで、恐れたりする必要はないと思います。
 顔やその人の周りのことは覚えているのに名前が出てこなかったら、もう素直に「最近、忘れっぽくなっちゃってねえ」と言いながら、聞いちゃえばいいんじゃないでしょうか。
 出来事は覚えているほうですか。それも忘れてもいいことは忘れちゃってるからこそ、覚えていることがはっきりしているのかもしれません(^^ゞ。出来事も勉強したことも、どこかにひっそりと眠っているんでしょうね。いつかどこかで、ひょっこり目覚めるかもしれません(~_~)。
 このニャンコ、なかなかいい顔してましたよ~(^^♪。

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