アニミズムが地球を救う




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 環境保護(自然保護)、いわゆるエコロジーが言われて久しい。
 来る10月11~29日には、COP10(生物様多様性条約第10回締約国会議)が愛知県名古屋市で開催されるが、これもエコロジーに密接に結びついている。
 生物多様性条約は、地球上の多様な生物を生息環境とともに保全し、持続可能であるように利用し、またその利益を公正かつ衡平に配分しようという目的があるからである。

 このエコロジーの考え方は、地球温暖化の防止とも関係し、我々の住む地球を守るためにとても大事なのである。
 このままでは、地球はダメになるだろうし、人も他の生き物も滅びてしまうだろう。

 さて、このエコロジーに関して、10月5日の朝日新聞に興味深い記事が載っていた。
 作家の池澤夏樹さんが月1回、「終わりと始まり」というエッセイを書いているのだが、今回は「多神教とエコロジー 世界を支配する資格」というタイトルだった。

 まず、国際ペン大会で来日したアメリカの作家、チママンダ・アディーチェ(ナイジェリア生まれでアメリカに渡った女性)と話す機会があったが、日本人の宗教のことを聞かれて説明に苦労したという話から始まる。
 いろんな話題の後に、多神教とアニミズムの話になり、池澤さんは、
<ぼくも含めて普通の日本人の場合、神道と仏教とキリスト教その他が単なる宗教として混在している。ずいぶん珍しい国であり、その点を説明するのがむずかしかった。
 神道のことを話して、ともかく神様がたくさんいるのだと言った。>
 と書いている。

 そして思い出したことがあるという。 
 一つは、「六月晦大祓祝詞(みなづきつごもりのおおはらえののりと)」の神様のこと。(これは説明しにくいので、省略 ^^ゞ)
 もう一つが、アイヌの儀式の話である。
 9月19日に登別に開館した「知里幸恵 銀のしずく記念館」の、建物の安寧と繁栄を祈るアイヌ風(プリ)の儀式が2日前に行なわれた。
 そのとき祭司が祈った相手が、次の神々であったという。

 アベフチカムイ(火の神)
 ワッカウシカムイ(水の神)
 シランパカムイ(森林の神)
 コタンコロカムイ(集落の神)
 ヌサコロカムイ(祭壇の神)
 チセカッケマッ(建物の神)
 アパサムシカムイ(戸口の神)
 プライコロカムイ(窓の神)

 続けて池澤さんは、次のように書いている。 

<この神々の数に心を動かされた。こういう世界観で運営されていた時代の心の平安ということを考えた。個人の魂の救済とはまた別のことだ。
 いわゆる啓示の宗教、キリスト教とイスラム教とユダヤ教の一にして全なる神は個人の魂を救ってくれる。
 そしてまた真の意味での創造神である。この世界をきちんとデザインして造った。海を矛で掻(か)き回してみたら島ができたというのとは話が違う。
 まず五日間かけて動植物まで完備した世界が造られる。それから「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這(は)うものすべてを支配させよう」と神は言った。そして人間が造られた。『創世記』にはそう書いてある。
 つまり、最初からこの世界において人間は別格だったのだ。森羅万象は人間のために用意された。人間が堕落した時、神は洪水を起こして人間をリセットしたが、あれは世界を支配する者としての資格あらずという判断だったのだろう。
 原理主義的キリスト教徒が進化論を断じて認めないのは、認めれば人間と世界の関係が逆転するからだ。他の動物や植物と同格では、神にかたどられて造られたという尊厳は保てない。
 科学は長い時間をかけてヒトと他の種の連続性を明らかにしてきた。ヒトは動物である。その一方で人間は科学技術によって世界を支配する力をいよいよ強めた。この矛盾の果てに今の環境論がある。
 たくさんの神々に祈っていた頃、人間は自分の無力を承知していた。その後で、あるいは別の地域で、一にして全なる神に祈る人々が科学技術を発展させ、自然に対する支配力を強化し、今見るような驕(おご)りの姿勢を導いた。
 エコロジーの背後にはアニミズムがある。あるいは、あるべきだ。一にして全なる神を信じる人々も個々の被造物の中に、それをあらしめている神の意思を認めなければならない。
 今、我々は支配力を駆使して支配者の地位から降りなければならない。>

 さて、何か感じることがあっただろうか。
 池澤さんが言いたかったことは、こんなことだと思う。
 西欧的な考え方では、この世では人は別格であり、動物や自然を支配する資格のある者である。その考え方が、自然破壊につながった。
 それに対し、すべてのものに精霊(魂)が宿るというアニミズムなら、人も動物も自然も対等だから、エコロジー(自然保護)に繋がる。
 文明化した人が忘れてしまったアニミズム(多神教)の考え方を復活させようではないか! 

 なるほどと思ったのだが、今の日本はどうなんだろうか。
 神道や仏教の国だから多神教と言いたいところだが、池澤さんが書いているように、それはキリスト教なども含めて単なる行事として混在しているだけだろう。
 アニミズムもかつての日本にはあっただろうが、自然とはかけ離れた都市化した環境に住む日本人にそれが残っているとは考えにくい。
 それでも、日本人の心の底にはアニミズムがわずかだが残っているような気がする。
 人も動物という生き物の一種で、自然の一部であるという謙虚さを、何とか取り戻さなきゃいけないんじゃないだろうか。
 それが、地球を救い人が生き延びることができる唯一とは言わないが、一つの方法のような気がするのである。


<後記>宗教は何を信じるのも自由だと思います。どの宗教が良いとか悪いとか言う気は毛頭ありませんので、その点はお汲み取りください(^^ゞ。
 ちなみに、バカ親父は無心論者で無宗教ですが、アニミズムにはとても惹かれるものがあります(^^ゞ。
 以前に、「アニミズム」とか「木の精霊」という記事を書いているので、よかったらお読みください。

 昨日から、喉は痛くないのですが、くしゃみが何度も出ます。鼻風邪か何かのアレルギーかもしれません。昼間と朝夕の気温差に、体がついていけないのかもしれません(~_~)。
 みなさんも風邪など引かないように、お気をつけください。

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 夕方撮ったのでわかりにくいですが、金木犀が満開になりました。いい香りがします。

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 今日の夕空です。今日は曇りの一日でした。

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この記事へのコメント

2010年10月08日 05:07
さすが池澤さん!小説家ですね。ねこのひげが言いたかったことを、うまく言ってくれています。
ねこのひげも、無神論者ですが、人間が吐き出した息や、朝露にさえも命が宿るという古い日本人の考え方に賛成するのです。

こちらでも、金木犀が満開です。散歩に出るとどこからともなくいい香りが匂ってきますね。
自然は良いです。(^^♪
トド
2010年10月08日 08:48
焚き火を囲んで周りでぐるぐる踊る景色は、好きですね、、。
今の生活様式を変えられないですが、少しでもエコしようかなと努力します、。
遊哉
2010年10月08日 11:05
☆ ねこのひげ さん、さすが池澤さん! ですよね。同じようなことは考えていましたが、的確に解説してくれてます。表現もわかりやすいですね(~_~)。
 日本人が持っていた自然に対する謙虚さや、感謝する気持ちがエコロジー(自然保護)には重要な要素になると思います。子どもたちに、もっと自然に親しんでアニミズムの心を培ってほしいと思っています。
 散歩していると、どこからともなく金木犀のかおりがただよってきますね。見回すとあちこちに金木犀が見つかります(~_~)。自然は良いですね(^^♪。
遊哉
2010年10月08日 11:16
☆ トドさん、昔の西部劇にネイティブ・アメリカン(インディアン)が、焚き火の周りを足を踏み鳴らしながらホッホッホッホーなどと言いながら踊っているのがありました。ああいうのを、いつかチビりんをキャンプに連れて行ってやりたいと思ってます(~_~)。自然の風や空気を感じることができそうな気がします(^^ゞ。
 アニミズムはモノを無駄にしない「もったいない」という気持ちに通じると思います。各自がエコすることが大事でしょうね(^^♪。
2010年10月08日 16:29
こんなに 奥の深い話なのに・・
カタカタに弱くて・・
アニミズム、一瞬アオミミズ・・と
読んでしまって、環境保護のお話なので、
すっかり ミミズは世界を救うお話かと。。
コメント書くのも 恥ずかしい(><)
遊哉
2010年10月08日 19:22
☆ くれよん さん、アハハ、愉快ですね(~_~)。
 くれよんさんがカタカナに弱いとは思えないけど、アオミミズってアニミズムと似てますね(^^ゞ。
 アオミミズなんてほんとうにいるのかと調べたら、いるようです。青色の大ミミズのようです(~_~)。
 ミミズは畑を耕してくれるから、農薬などを使うよりずーっと人にも環境にもやさしいと思います。ミミズも地球を救う要素の一つだと思います(^^♪。
 アニミズムは精霊信仰などと訳されますが、自然と深く関わりながら生きる人々なら、世界中どこでももっている考え方だと思います。日本人も今ではごく一部に残っているだけですが、かつてはみんなもっていたでしょうね。
 もう一度、取り戻したいものです(^^♪。
ぴっころ
2010年10月08日 23:47
こんばんは
なるほど!ナイスですって気持ち玉置きたくてログインしても、今なぜかパスワードが何度もエラーになってしまって、、、いつもは指がすら~っと動くんですが、ふと考えてしまうと自分のパスワードわからなくなってしまいました。何言ってんだか~ですね^^;
 以前店のお客様であるクリスさんに、(わたしが)どの宗教を信仰しているかというようなことを聞かれて、そんな話の展開で困ってしまったことがあります。(ましてや英語で言おうとしてたからなおさらだったのですが)日本人は仏教を信仰してる人もその他の宗教を信仰してる人も様々で、仏教だってキリスト教と同じ様に、その中にも教派も様々で…それで、わたしは、というと何も信仰していません。何にも?と不思議そうです。
池澤さんがアメリカの作家の女性に日本人の宗教を説明するのに苦労したというところで、わたしもそんなことを思い出しました^^

ぴっころ
2010年10月08日 23:57
補足:
上の話の中で、勿論初めに日本人には宗教を信仰している人々と、何も信仰していない人々がいることは話しました^^

金木犀の香りさわやかですね^^
おやすみなさい
ぴっころ
2010年10月09日 09:40
おはようございます
ゆうべ大切なこと書き忘れました

風邪が本格的にならないようご自愛くださいませ!(b^ー°)
遊哉
2010年10月09日 10:43
☆ ぴっころ さん、こんばんは、じゃなくて、おはようございます(~_~)。
 パスワードがわからなくなっちゃいましたか。バカ親父はパスワードが覚えられないので、ログインしたときにクーキーにチェックを入れときます。そうすれば、次回からは自動的にログインできます(^^ゞ。
 そのクリスさんの話、ブログで読んだ覚えがあるような気がします。池澤さんも書いているように、日本の宗教事情とか日本人の宗教観を外国人に説明するのは、難しいですね。ましてや英語となると至難の技です(^^ゞ。
 仏教やキリスト教をしっかり信仰している人もいるけど、一般的には一神教を信じている外国人とはずいぶん違いますね。神社にもお寺にもお参りするし、結婚式は神式、仏式、キリスト教式といろいろで、葬式は仏式が多い。悪く言えばいい加減で節操がないですが、よくいえば許容力・包容力がある(~_~)。まあ、何も信仰していない人が多くて、いろんな儀式の時に適宜いろんな宗教色を取り入れている、と言ったところでしょうか(^^ゞ。お寺が経営している幼稚園で、クリスマス会をするなんていう奇妙なこともあるようです(~_~)。
 でも、そこが良いところだとも言えます。もともと、アニミズム的な考え方とか、仏教の多神教という考え方の下地が日本人にはあるんでしょうね。
 平和を維持していく上にも、いいことかもしれません(^^ゞ。
 金木犀の香りは、秋を感じさせますね(^^♪。
遊哉
2010年10月09日 10:48
☆ ぴっころ さん、何度もすみません。ありがとう。今のところ、くしゃみと鼻水だけです(^^ゞ。
 今日は、雨が降って肌寒いですね。ぴっころさんも、風邪など引かないように、お気をつけください(^^♪。
2010年10月09日 11:37
くしゃみ 誰かに噂されてるんです はい あの ちびーーーー
遊哉
2010年10月09日 11:55
☆ seiziさん、アハハ、あのチビに噂されてるなら、嬉しいで~す(^^♪。
 今日は肌寒いですね。風邪を引かないように、気をつけてください(~_~)。

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