都市鉱山の開発を!
「都市鉱山」という言葉を聞いたことがあると思う。
以前から興味があったのだが、22日の朝日新聞の「今さら聞けない+(プラス)」欄に、この「都市鉱山」が取り上げられていた。
わかりやすく書かれていたので、概要を紹介してみる。
われわれの生活は、各種の金属の恩恵を受けているが、その金属の多くは、天然の鉱山で採取された鉱石を精錬して得られている。
ところが、これまでに人類が使った量は、現在地下に埋蔵されている量よりも多いのだという。しかも、枯渇が心配されているものもある。
そこで期待されているのが「都市鉱山」なのである。
都市鉱山といっても、都会にある天然鉱山という意味ではない。
採掘された金属のうち、人間活動の中で主に都市部に蓄積しているものを指す。
どういうことかというと、使われなくなった電子機器や家電などに使われた金属を、都市に眠っている鉱山とみなすのである。そしてそれを、再生可能な資源として使おうというのである。
携帯電話を例にとると、以下のように20種類程度の金属が含まれているという。
○ 携帯電話の部位・部品に含まれる金属
・ 振動モーター……ネオジム
・ チップセラミックコンデンサー……銀、パラジウム、チタン、バリウム、鉛、ニッケル、ジルコニウム
・ チップ抵抗……鉄、銀、ニッケル、銅、鉛、亜鉛
・ 液晶……インジウム、スズ
・ カメラ……銅、ニッケル、金
・ チップタンタルコンデンサー……タンタル、銀、マンガン
・ 水晶振動子……ケイ素、銅、ニッケル
・ IC……金、銀、銅、ケイ素
・ プラスチック……アンチモン
・ ボタン接点……鉄、ニッケル、クロム、銀
ハイテク技術に欠かせない話題のレアメタル(希少金属)も少なくない。
なにより、都市鉱山が優れているのは、そういう金属が含まれる割合(濃度)が、天然鉱石よりもはるかに高いことなのである。
それでは、日本の都市鉱山の蓄積量はどのくらいあるのだろうか。
たとえば、金なら6800トンあると分析されているという。これは、世界の現有埋蔵量の16%に当たる。ビックリである(~_~)。
その他の金属は、次のようになるという。
○ 世界の天然埋蔵量に対する日本の都市鉱山の割合
・ 金 16%
・ 銀 22%
・ 銅 8.1%
・ アンチモン 19%
・ インジウム 16%
・ タンタル 10%
・ レアアース 0.35%
「日本の都市鉱山は世界有数の天然資源国に匹敵する」ということである。
昨年9月に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突事故の時に、中国政府はレアアース(希土類)の日本向けの輸出を一時停止した。
そんな資源の安全保障の面からも、都市鉱山は注目されているのである。
また、金属の中には毒性の強いものもあるが、都市鉱山でのリサイクルで有害物質をしっかり管理すれば、自然環境への排出を減らせる可能性もある、ということである。
国も、特定のレアメタルで、海外資源開発に加えて、都市鉱山からのリサイクルや代替材料の開発による自給率を2030年までに50%以上とする目標を掲げている。
ただし、日本の都市鉱山のポテンシャルは高いものの、資源調達にはリスクがあり、実際に有効利用していくには課題が山積しているらしい。
次のようなものである。
① 天然鉱山には、決まった場所に大量の鉱石が眠っているが、都市鉱山では一定量を消費者から効果的に集めて来なければならない。
現実には、法律で義務づけられている洗濯機・乾燥機、冷蔵・冷凍庫の4品目以外は、多くの電気製品は一般廃棄物として回収され、焼却か埋め立て処分されている。これでは、リサイクルはほとんど不可能なのである。
可能にするには、現在経済的にペイせずに捨てられている廃家電などのレアメタルが含まれている部分を、特定の場所に保管し、将来に向けて取り出せるように“人口鉱床”が必要だという。
② 都市鉱山は必要な金属の濃度は高いが、不純物にバラつきがあるため、より分けるのに多くの手間とエネルギーが必要で、コストが高いこと。
このため、現在の都市鉱山の利用は、金や銅といった採算性が高い金属のリサイクルのついでに、他の金属も一部回収しているというのが実情である。
都市鉱山をうまく利用していくには、大量生産を前提とした20世紀型のリサイクルシステムや考え方ではだめで、それを変えていかなければならない、ということである。
でも、この分野の日本企業の技術力は高く、大手では21種類もの金属を分離・回収できるという。
技術をさらに磨き世界展開すれば、地球規模の資源・環境問題に貢献できるだけでなく、日本経済の活性化にもつながる可能性は高いのである。
「都市鉱山」というのは、いかにも日本的な考え方だが、限りある金属資源を有効に利用するためには、都市鉱山を開発する意味は大きいと思う。
課題はたくさんあるだろうが、大いに進めていってほしいものである。
<後記>「都市鉱山」を利用しようなんていうのは、モノを大切にする「もったいない」という精神のある、かつ天然資源の少ない日本ならではの発想かもしれません。
資源のある国なら、面倒臭くてコストもかかるこんな考え方は出てこないでしょうね。
でも、長い目で考えたら、貴重な天然資源を再利用することは世界的にみても必要になると思います。
いまのうちから、その利用技術を高めて世界に発信していくことは、日本のためにもなると思います。
こういう考え方とその技術開発が、日本が生き残っていく上での、一つの方策でしょうね。
昨日の夕方の夕景と夕空。
今朝は、ちょっと雲がありましたが、飛行機雲が見えたり気持ちのいい晴れでした。
公園ではSORAも含めて、ワンコたちが駆け回りました(~_~)。
家に帰って庭に行ってみると、スイセンが真っ盛り。ツワブキの種が陽に輝いていた。
この記事へのコメント
長い間、趣味のHamで沢山の電子機器があり
ます。素人なりにその使用頻度が高いこと
は機器の裏蓋を開けただけでも解ります。
中国がアフリカの開発に力を入れているの
は恐らくそこに埋蔵されているレアアース
が目的でしょうね。リサイクルが叫ばれて
久しいですが、そのシステムと国の援助が
今一判りません。石油の備蓄、米の備蓄と
同じように国家的な備蓄戦略が今こそ必要
でしょうね。その技術力もこの国にはある
と思います。期待しています。
なるほど、Hamで使う機器にはいろんな金属が使われているでしょうね。レアメタルもあるんでしょうね。
中国がアフリカに進出しているのは、いろんな資源が目的でしょうね。その一つには、レアアースもあると思います。中国が採掘したレアアースは純度が低くて、その時に環境破壊をしているなんていうことを聞いたこともあります。リサイクルがうまくいけば輸入量を相当減らすことができるんじゃないでしょうか。
廃家電の回収も自治体によってやり方が違うし、無駄に廃棄されているものが多いんでしょう。この記事にもあるように、「人口鉱床」として、今から備蓄する必要がありそうです。それには、国全体で考えなきゃ無理だと思います。国家的な戦略が必要でしょうね。
日本の技術力や研究者の努力、それをまとめる国の政策に、期待したいものです(^^♪。
SORAちゃん、楽しそうに走ってますね♪・・・と、今回はちゃんとSORAちゃんが写っているのを確認した私でした(笑)
仲良し3人組なのかなあ。ホント楽しそうだ~(*^_^*)
記事にしたおぼえがあるな~っと思って捜したら2008年7月27日に記事の中で触れてました。
池上さんからの受け売りですが、日本は海の200海里を含めると、世界6位の広さを持つ国になるそうで、領土内の3000メートルの海底に眠る資源は、600兆円にのぼるそうですよ。(^^♪
宇宙輸送船『こうのとり』を開発した技術力を持ってすれば、3000メートルの海底もなんのその・・・・(*^_^*)
アハハ、今回はSORAもちゃんと駆け回ってます(~_~)。この三人組は仲良しです。走っている最後の写真で、一番前にいるのが一番若くて元気で、真ん中のワンコはすぐに疲れちゃいます(^^ゞ。SORAはスピードは一番速いです(~_~)。
楽しそうに駆け回っているのを見るのは、本当に楽しくて嬉しいです(^^♪。
海洋資源については、多少は学生の時の勉強しました。マンガンなども、海底に露出しているところがあるようですが、これを採掘するのはとても難しそうです。やはり、深海では水圧が問題でしょうね。
海底にはレアアースもいろいろあるようです。宇宙とは上下の違いはありますが、海というのはその状況や探査・開発法には似たところもあるから、日本の知恵と技術力で開発を進めてもらいたいものです。期待したいですね(^^♪。
ワンガリ・マータイさんの言葉です(*~O~*)
資源の再利用は大切なことですね。未来の子供たちのためにも地球を大事にしなくちゃね☆
SORAちゃん達、いつものメンバーが揃いましたね(笑)
楽しそう!
犬たちの元気な事、、。楽しそう、。
「都市鉱山」・・とは言えないですが、「田舎町鉱山」なるものがあちらこちらに、出来ました。
・・というのも無料の回収所なんです。
今までお金を払って回数していた、洗濯機・エアコン・・などなど・・広い敷地に無料で置けるのです。
友人が以前の大きなパソコンなど4点10,000でと回収の方が言われて躊躇し、私に言われたので、教えてあげました。
そちらに持ち込んだら無料で回収してくださったそうです。(笑)
先を見越しての商売なんですかね(笑)
地球の資源は限りがありますからね、今経済的にペイしなくても、リサイクルは進めていかなければいけないと思います。そうですね、未来の子どもたちのためにもですね。
はい、この2匹とはじゃれあったり駆け回ったりする仲良し仲間です(~_~)。気持ち良さそうに、楽しそうに走ってるでしょう(^^♪。
SORAは遊び好きですが、もう3歳だから、こんなふうに遊ぶのはあとせいぜい1年くらいでしょうか。今のうちに、大いに遊んでほしいです(^^♪。
ジャンプ力があるんですよ~(^^ゞ。
“田舎町鉱山”ですか~。いいですね。自治体かどこかのNPOがやっているんでしょうか。廃家電などの回収は普通は料金を払わなきゃいけませんが、無料というのがいいですね(~_~)。
レアアースだけでなく、鉄などの金属やプラスチックもリサイクルに回されているんでしょうか。もし、そうならすばらしいと思います。
最近は、子どもたちが携帯を集めてリサイクルに回しているというところもあるそうです。
廃棄されたり眠っている資源を有効利用したいですね(^^♪。
こちらの犬は雪の中を転げまわっているか、ふるえて閉じこもっているか(~o~)どちらかです。
結局、資源が底をつき始めると需要が高まるか、代替品が生まれるかどちらかですよね。代替品がなければ、調達コストがあがり、都市鉱山もさらに利用の可能性が高まるのでしょうね。
犬は雪の中を駆け回るというイメージがありますが、あまりに寒いとそうもいかないでしょうね(^^ゞ。
資源はいずれにしろ限りがあるものだから、いずれにしろ、代替品を見つけるか都市鉱山に頼るしかなくなると思います。
日本の場合は、ほとんどの資源を輸入しているわけだから、今のうちから早めに代替品の開発や都市鉱山の資源の収集法や利用法を見つけ出していかなければいけないと思います。