団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『ヘンな日本美術史』

<<   作成日時 : 2013/12/11 00:08   >>

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 1年ほど前から気になっていた本があった。山口 晃さんという方が書いた『ヘンな日本美術史』という本で、評判もなかなかいいのである。
 1週間ほど前に本屋に行ったら、平積みで置いてある。なんで今ごろ? と思って見たら「第12回 小林秀雄賞受賞」と銘打った帯が巻かれていた。
 いい機会だと思って読んでみたので、紹介してみる。

 バカ親父は美術には詳しくないし、ましてや日本美術史に特別関心があるわけでもないのだが、日本の絵画が世界でどういう評価というか位置にあるのかにはちょっと興味がある。
 ゴッホなどが日本の浮世絵に影響を受けていたとか、日本の絵画が西洋で評価されていて収集家がたくさんいるということも聞いたことがある。

 また、雪舟の山水画などはすばらしいと思うし、鳥獣戯画や河鍋暁斎の戯画などは現在の漫画やアニメに通じるものがあって面白いと思っていたのである。

 この著者がそんな日本の美術(絵画)にどんな評価というか感じ方をしているのかに、興味があったのである。
 それに、本のタイトルに“ヘンな”なんてついてるから、気楽に読めるのではないかとも思ったのである(^^ゞ。

 作者については、下の<今日のお薦め本>に多少詳しく書いてあるが、若い画家で世界的にも人気があるらしい。
 本書について、「はじめに」で作者がこんなことを書いている。

<(前略)「ヘンな」の「変」については、私の手元にある金田一京助監修の辞書での「― Bふしぎ。C変わっていること。」あたりの意味と思って頂ければよいでしょう。
 中国や西洋から見て、現代人から見て「変わっている」日本美術。何故こんな風に描いたのか、どうやればこんな風に描けたのか「ふしぎ」な日本美術。「ヘンな日本美術・史」とみた場合はそういう事です。「ヘンな・日本美術史」とみた場合は、古い順に並べただけで「美術史」気取りとは、変わっているなあ、と云った所です。
 肝心の内容はと云えば、私が得手勝手に先達の絵を見立てているのを、余談も含めて記しただけです。まあ、でも私の気分としては、「やあ、色んな絵が在(あ)って面白いぞ、先達は凄(すご)いなぁ、ようし自分も頑張ろう」と云った所でありますので、悪(あ)しからずとって頂けたら幸いです。
 少しでも楽しんで頂ける事を願うばかりです。どうぞご一読ください。>

 文章の書き方はわかりやすくて、バカ親父の好きな内田樹さんのロジックにちょっと似ていて読みやすい。
 本書で、どのような絵や絵師(画家)が取り上げられているのか? 目次から紹介してみる。
 長くなると思うので、興味のある方は全部読んでいただくとして、そうでもない方は大見出しだけを見ていただくといいと思う(^^ゞ。


第一章 日本の古い絵 ―― 絵と絵師の幸せな関係
【鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)】
 実は好きじゃなかった「鳥獣戯画」/ユルさの奥にある四層構造の楽しみ/どこまでも広がる「作家性」/ちょろまかすのが日本らしさ⁉
【白描画(はくびょうが)】
 人も字もデザインになる/紙がそのままで「空間」になる/絵を駄目にする不用意な着色/白描画で目の快楽に溺(おぼ)れる
【一遍聖絵(いっぺんひじりえ)〔絹本(けんぽん)〕】
 白をのせた瞬間の変化/絹の物質性を活かした空間の遊び
【伊勢(いせ)物語絵巻】
 毒にも薬にもならない絵/モチーフと背景の「成分」
【伝源頼朝(みなもとよりとも)像】
 本人を前にして描いていた?/源頼朝像を見た人の感動を再現するには/頼朝の顔が真っ白なのはなぜか
第二章 こけつまろびつの画聖誕生 ―― 雪舟(せっしゅう)の冒険
 こけつまろびつ描いた雪舟/なぜ雪舟は邪道を選んだのか ―― 「破墨山水図」/文化のオリジナリティはどこから生まれるか/ヘンなものを取り入れるのが好きな日本人/雪舟の生み出す恐るべき絵画空間 ―― 「秋冬(しゅうとう)山水図」/絵における「背骨」の太さ/莫迦(ばか)っぽい絵 ―― 「慧可断臂図(えかだんぴず)/肖像画のダブルスタンダード ―― 「益田兼堯(ますだかねたか)像」との比較/人間本来の空間の捉え方/新しい空間の描き方 ―― 「天橋立図」/いい加減であるからこその自由さ/「天橋立図」は本当に下絵だったのか
第三章 絵の空間に入り込む ―― 「洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)」
 単なる地図ではない、不思議な絵/とっつきやすさの「舟木本」/王者の貫録 永徳の凄さ ―― 「上杉本」/上手さとは別の迫力 ―― 「高津本」/「洛中洛外図」はどこから見たものなのか/類型化から生まれる新しさ/あるような無いような遠近感
第四章 日本のヘンな絵 ―― デッサンなんかクソくらえ
【松姫(まつひめ)物語絵巻】
 「下手うま」ではなく「下手くそ」/なぜ下手な絵を愛(め)でたのか
【彦根屛風(ひこねびょうぶ)】
 背骨のない人間?/デッサンとは違う写実の形
【岩佐又兵衛】
 アゴの下を取ってから来い/又兵衛が描きたかったもの/絵の限界を超えるには
【円山応挙と伊藤若冲】
 懐石も、お好み焼きも、どちらも食べたい/悪しき「不遇の芸術家神話」/デタラメだった⁉ 応挙の画論
【光明本尊(こうみょうほんぞん)と六道絵(ろくどうえ)―― 信仰のパワーの凄さ】
 中世のグランドキャバレー ―― 「光明本尊」/アウトサイダー・アートの先駆 ―― 「六道絵」/切り貼りが生み出す異質な空間
第五章 やがてかなしき明治画壇 ―― 美術史なんかクソくらえ
【「日本美術」の誕生】
 石垣を描けないなら、画面に石を貼れ!/西欧の真似ができなくても、真似をしてもバカにされる/「日本美術」はどのように生み出されたか
【「一人オールジャパン」の巨人 ―― 河鍋暁斎】
 一度は忘れられた巨人・河鍋暁斎/大きな絵を小さく見せてしまうほどの技巧/暁斎が重要視した「筆意(ひつい)」とは/近世日本絵画の保管庫のような存在/パースを「とれない事ができた」
【写実と浮世絵との両立 ―― 月岡芳年】
 構想に技術が追いついていなかった二十代/芳年を劇的に変えたものは何か/写実を取り入れながら、浮世絵師であり続けた
【西洋画の破壊者 ―― 川村清雄】
 避けられてきた日本的なもの/「生き埋め」にされてきた画家たち/西洋画を壊して日本のものとした清雄


 だいたいおわかりいただけたと思うが、内容の概要は、本書のカバー裏の惹句から紹介しておく(^^ゞ。

< 日本人が培(つちか)ってきた絵、失った絵とは
 自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。人も文字もデザイン化された白描画(はくびょうが)の快楽。「伝源頼朝像」を見た時のがっかり感の理由。終生「こけつまろびつ」の破綻(はたん)ぶりで疾走した雪舟(せっしゅう)のすごさ。グーグルマップに負けない「洛中洛外図」の空間性。「彦根屏風(びょうぶ)」など、デッサンなんかクソくらえと云わんばかりのヘンな絵の数々。そして月岡芳年(つきおかよしとし)や川村清雄(かわむらきよお)ら、西洋的写実を知ってしまった時代の日本人絵師たちの苦悩と試行錯誤……。
 絵描きの視点だからこそ見えてきた、まったく新しい日本美術史!>

 ということである(^^ゞ。


 実は今年の1月に、朝日新聞の書評欄の「著者に会いたい」欄で、この本と著者が取り上げられていてスクラップしてあったので、改めて読んでみた。
 インタビュー記事だが、こんなことが書かれている。


 山口さんは43歳で、写真を見るとなかなかのイケメンである(^^ゞ。
 そして<細密に描かれた現代の街、スーツ姿に交じって、ちょんまげ頭がちらほら ――。そんな時空の溶けあう作風の日本画で知られる当代の人気絵師>だという。
 本書は、そんな彼が<なぜ現代に日本画を描くのか? 自らへの問いかけに答えを求めて、先人の画業をさかのぼったのが執筆のきっかけ>で、<先達と切り結んだ画論集>だということなのである。

 取り上げた絵や絵師については、こんなことが書かれている。
<「技術が鼻につかず、上手さが上手さを消していく境地」と、雪舟の水墨画にうなる。「慧可断臂図(えかだんぴず)」に描かれた達磨(だるま)大師は、薄墨でぽってり輪郭を引いたきり。「見てほしい部分はつい念入りに描き込みがち。でも描かず突き放す。背骨が太い」
 幕末から明治を生きた河鍋暁斎(ぎょうさい)は他流派の技も自在、「一人オールジャパン」のすごみがある。大ぶりな「龍頭(りゅうず)観音像」は、手首から先でしか普通は出せない精度を腕全体をふるって実現しているという。「精妙な技巧のあまり、大きな絵が小さく見えるほどです」>

 西洋絵画はデッサンとか遠近法が基本になっているが、日本の絵画はそんな約束事から自由な筆致で描かれており、羨ましさも感じたという。
 日本の絵師(画家)は、そんな<「遠近法やデッサンを一度知ってしまうと、それを使わないのは素朴さを装った絵になる。自転車に乗れないふりが、わざとらしくなるのと同じ」>とも語っている。
 <自身が描く日本画も人物にデッサンを取り入れ、キャンバスに油絵の具などを使う。そのかわり「洛中洛外図」のように遠近法を微妙にずらし、ちょんまげ頭に六本木ヒルズを歩かせる。>といった絵を描いているという。

 最後に、こんなことを言っている。
<「雪舟の時代にも、大陸伝来の技法との葛藤があったはず。いまの時代にできることをする。個人の内面から出るものと、歴史がぶつかり合ってうまれるのが美術だと思います」>


 日本の美術(絵画)の歴史的流れにそって、著者が良くも悪くと興味を惹かれた絵や絵師を取り上げ、それらの“ヘンな”ところというか特徴を自分の視点から説明し、西洋絵画との違いも解説している。
 絵の描き方にはいろんな方法があるし、西洋画の描画法が絶対のものではなく、上手な絵が感動を呼び起こすとは限らず、画家(絵師)というものがどんな気持ちで絵を描いていくのかなどがわかって、とても面白かったのである。
 絵にはまったく興味がないという方は別として、少しでも興味のある方は、本書を読んでみる価値があると思う(^^ゞ。
 

<今日のお薦め本>
『ヘンな日本美術史』 山口 晃 著、祥伝社 刊、1890円、13.11.15. 第10刷発行
 著者について、奥付から紹介しておきます。
<画家。1969年東京生まれ。群馬県桐生市に育つ。1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。1996年同大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。大和絵や浮世絵を思わせる伝統的手法を取り入れつつ、時空を自由に混在させ、人物や建築物などを緻密に描き込む作風で知られる。巧妙な仕掛けとユーモアにあふれた作品は日本のみならず世界からも人気を得ており、近年では成田空港のパブリックアートや書籍の挿絵、CDジャケットも手掛けるなど幅広い制作活動を展開している。2012年11月には平等院養林庵書院に襖絵を奉納。著書に『すゞしろ日記』(羽鳥書店)、『山口晃 大画面作品集』(青幻舎)など。>
 ここで山口さんの作品が見られます。

<後記>知りませんでしたが、「洛中洛外図」というのはいろんな絵師が描いたものがあるんですね(^^ゞ。
 ここでは3人の絵師のものを取り上げていますが、それぞれ特徴があって興味深かったです。
 河鍋暁斎も戯画ばかり書いている絵師だと思っていたのですが、伝統的な本格的日本画を描く大変な人だったということです。
 たぶん、とてもヘンな日本美術史なんでしょうが、とても面白く読めました(^^ゞ。

 今日(10日)は、カミさんは仲間との着付けの練習と忘年会で、朝から出かけて夜遅く帰ってきました。
 ということで、バカ親父は本屋に行ったり買い物に出かけた以外は、家でのんびりしていました(^^ゞ。
 午前中は雷雨で風もわりと強くなりましたが、しだいに陽射しも出てきました。

 夕方の散歩に出ると、わりときれいな夕焼けになっています。

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 月も見えましたが、公園に着いたころには夕焼けは終わって、黒い雲がたくさん出てきました。

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 夕空の変化を並べてみます。

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 明日(11日)は晴れるようですが、寒くなりそうです。


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
この人の絵は動きがないとの批評が載っていた人ですね。
ちょっと読んでみるかな?

きのうは、例によってサブが夜遊びに出たので朝早くから起きていたのですが、午前3時から降ると言っていた雨が降らないな〜と思っていたら、朝日が出るころに面白い雲が見えた後に午前8時ころから雨が降りだし、土砂降りの雨になりました。
びしょ濡れになったサブが文句を言いながら帰ってきましたよ(*^。^*)
昼前には晴れだしたのにはあきれました。
その後、寒くなってきましたね。
きょうも寒いようで、いよいよ本格的な寒さになるのかもしれませんね。
ねこのひげ
2013/12/11 02:48
☆ ねこのひげ さん、<今日のお薦め本>の最後に、山口さんの作品が見られるサイトをリンクしておきましたが、いろんな形式というかジャンルの絵を描いているようです。日本画と西洋画が融合した感じです。
 絵の見方というのは、いろいろあるものだと教えられます。この本、面白いです(^^ゞ。
 昨日は、うちの方も午前8時ころから雷雨になりました。SORAがちょっと怖がっていましたが、サブちゃんはずぶ濡れになって帰ってきましたか。
 東京は気温が上がらず寒かったようですが、うちの方は陽射しも出て南風でわりと暖かくなりました。夕方からは寒くなりましたけどね(^^ゞ。
 今日あたりから本格的な冬の寒さになってくるようです(*_*;。
遊哉
2013/12/11 10:39
先月、東京公立博物館の「京都 洛中洛外図と障壁画美」で見て来ました。
舟木本、上杉本、池田本、勝興寺本など、室町時代から江戸時代の京都の町を描いた7件全てでした。
京都の町を空から見た感じでしょうか、貴族や武士、庶民、動物などが緻密でユーモラスに描かれて、その時代の賑わいをも感じられました。
二条城 黒書院の障壁画(本物)が展示されていました。 
息を呑むような迫力と美しさで機会があれば、もう一度見たい障壁画です。
金箔はもちろんですが、桜の花を立体的に描かれていた事に驚きました。
おばさん
2013/12/14 08:44
☆ おばさん、いろんな洛中洛外図をご覧になったんですね。羨ましい(^^ゞ。
 絵師によっても、時代によっても描き方が違うようだし、鳥瞰図のような街並みも面白いですが、描かれた人々の営みが興味深そうです。じっくり見たら、一日でも見ていられるんじゃないでしょうか(^^ゞ。
 二条城黒書院の障壁画というのも、凄そうですね。本で見るのでなく、本物がやはり迫力があるでしょうね。
 機会があったら、是非見てみたいです。この山口さんの作品も見てみたいです(^^ゞ。
遊哉
2013/12/14 09:55

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