『漢字の使い分けときあかし辞典』
〔咲き誇っているうちのツツジ〕
以前に『漢字ときあかし辞典』と『部首ときあかし辞典』という漢字と部首をわかりやすく解説した本を紹介したことがある。
その著者である円満字 二郎さんの「ときあかし」シリーズの第3弾『漢字の使い分けときあかし辞典』が出たので、紹介してみる。
本書は、同じ訓読みをする漢字のグループ〔同訓異字(異字同訓)〕の使い分けを、とてもわかりやすく“ときあかし”ている。
前に「あたたか」や「あたたかい」などで使う漢字「温」と「暖」の使い方についての話題を取り上げたことがあるが、そんな同訓異字の使い方を、次のような点に留意して執筆・編集している。
① 409項目、のべ1163字の漢字の同訓異字を取り上げて解説。
② 各項目の最初に、使い分けのポイントをまとめて表示。
③ 一つ一つの漢字の意味から説き起こした、読みものとしても読めるていねいな解説。
④ 理解を深めるための、約7700個の豊富な用例。
⑤ 理解を助けるため、各項目に図表を掲載。
⑥ 判断に迷いやすい場面についても、積極的に言及。
⑦ 振りがなの必要性やかな書きの推奨についても、注意を喚起。
また、同訓異字の使い分けを理解するには、漢字本来の中国語としての意味を理解することが必要だが、そのために次のような方法からのアプローチもしている。
① その漢字を含む音読みの熟語を思い浮かべる。
② その漢字の別の訓読みを探してみる。
③ その漢字の成り立ちを調べる。
④ その漢字の部首に着目する。
このようなさまざまな留意点やアプローチを用いて、それぞれの漢字がもつ基本的な意味を明らかにしつつ、同訓異字の使い分けを解説しているのである。
さて具体的に何か紹介しようと思うのだが、上にも書いた「温」と「暖」の使い分けの部分を引用・紹介してみる。
<あたたかい/あたたまる 温暖
基本1 液体や固体、人柄や雰囲気の場合は、《温(おん)》を用いる。
基本2 日差しや空気、色、衣服や寝具などの場合は、《暖(だん)》を使う。
触って感じてみてください!
日本語「あたたかい」の基本的な意味は、〝熱量が多い〟こと。「あたたまる/あたためる」の形になると、〝熱量が多くなる/熱量を多くする〟という意味になる。このことばを書き表す漢字には、《温(おん)》と《暖(だん)》がある。
《温》は、〝水〟を表す部首「氵(さんずい)」の漢字。触って感じることのできる液体や固体について用いるのが基本である。例としては、「温かいお風呂」「温かい食事」「お湯にひたしてお皿を温めておく」など。「体の芯から温まる」でも、体は固体だから《温》を用いる。
一方、《暖》は、部首「日(ひへん)」の漢字で、本来は、日が差して〝熱量が多い〟ことを表す。そこで、日差しや空気について用いられることが多い。「暖かい日差し」「春の暖かい風」「南の島の暖かな気候」「エアコンで室内を暖める」などがその例。転じて、「暖かい色合い」のように、色について使われることもある。
このように、《暖》は、直接的に触って感じることができない「あたたかさ」を表す。例外は、「暖かいセーター」「暖かな布団」のように、衣服や寝具などについて使われる場合。ただし、これも、セーターや布団が空気の「あたたかさ」を保っている、と考えることができる。
以上のように、《温》と《暖》の使い分けは、「あたたかい」ものが液体や固体であるかそうでないかが、判断基準となる。そこで、「ストーブで部屋を暖める」のように、部屋の空気について言う場合は《暖》となるが、「ストーブで体を温める」のように、体に対しては《温》を用いることになる。ちなみに、「給料が入って懐が温かい」も、比喩ではあるが、文字通りには体を対象にしているので、《温》を書く。
実際に人に接してわかること
その伝でいけば、人柄や雰囲気が「あたたかい」ケースでは、液体や固体ではないから《暖》を使いたくなる。ところが、辞書的には、「友情のこもった温かい手紙」「温かな声援を受ける」「前座の人が笑いを取って、観客を温めておく」など、《温》を用いるのが正しいとされている。
その理由は、《温》には、「温和(おんわ)」「温厚(おんこう)」など、人柄の「あたたかさ」を表す用法があるから。この用法は、その人柄に実際に〝触れて〟感じる「あたたかさ」だと理解すると、わかりやすい。
とはいえ、現実には、人柄や雰囲気について《暖》を用いる例も見受けられる。特に、手紙や声援といった具体的なものごとではなく、「暖かい家庭に憧れる」のように抽象性が高い場合に《暖》を書くのは、漢字の意味にもよくマッチする。
ちなみに、《温》と《暖》の使い分けには、手っ取り早い判別法もある。それは、「冷たい」の反対は《温》を使い、「寒い」の反対は《暖》を使うというもの。だいたいにおいては、これに従っておいて間違いはない。>
さて、いかがだろうか。同じ読み方をする「温」と「暖」の使い方が、よくわかった? のではないだろうか(^^ゞ。
ちなみに、項目の下にある「基本」は“原則として使い分けなければならないもの”の基本的考え方を示している。他の項目では、“場合によっては使い分けた方がよいもの”を「発展」として「基本」の後に示しているものもある。
各項目に掲載されている図表もわかりやすく、理解を助けるものとなっている。
一度、本屋か図書館で手に取って、ご覧いただきたい本である。
<今日のお薦め本>
『漢字の使い分けときあかし辞典』 円満字 二郎(えんまんじ じろう) 著、研究社 刊、2484円、16.03.30. 初版発行
<後記>ブログを書いていても、ときどき同訓異字で迷うことがあります。それに、ちょっとこだわりの表現というか文字遣いをしたいこともあります。
そんな時には、この辞典はとても役に立ちます。
例を一つ挙げておきます。
太陽の「日差し」をバカ親父は「陽射し」と書いていますが、普通は「日差し」でいいんだと思います。でも、なんだか「陽射し」のほうが雰囲気が出ているような気がして使っています(^^ゞ。
この本で見てみると、「ひ」は「陽、日」の二つで、
基本 太陽や太陽の光、昼間の時間、暦の上の「ひ」の場合は、《日(にち じつ)》を用いる。
発展 太陽や太陽の光を、明るさや暖かさのイメージで表現したい場合には、《陽(よう)》を使うと効果的。
と書かれています。
「さす」については、「指、刺、挿、差、射、注、点、鎖、螫、止」という、なんと10個の漢字を取り上げています。
基本の1~4で、ある点や方向を示す場合は《指(し)》、ある点を突き破る場合には《刺(し)》、細長いものをすきまに入れる場合には《挿(そう)》を使い、《指》《刺》《挿》では書き表せない場合は《差(さ)》を使うか、かな書きにすると書かれています。
その他の漢字は発展として解説されていますが、「射」は“光が当たる場合には《射(しゃ)》を使ってもよい”となっています。
「陽射し」でいいようです(^^ゞ。
現在は“常用漢字”というものがあるので、その範囲内で漢字を使っていればいいようなものですが、「暖」や「温」のように常用漢字でも同訓で使い分けがわからなくなるものもあります。
そんな時もですが、個人的にもっとニュアンスを込めた表現をしたいとか、より適切な表現をしたい、あるいは文章表現を磨きたいなどと思った時に、常用漢字以外も含めて同訓異字の使い分けを解説したこの本はとても有効だと思います(^^ゞ。
漢字というのはなかなか難しいですが、とても面白い文字だと思います(^^)/。
昨日(13日)は曇りがちの一日だと思っていたのですが、日中は陽射しがあったものの、雨が朝だけでなく夕方の散歩の時も降りました。
夜0時過ぎからは激しく降りはじめ、今朝(14日)になっても降り続いています。
昨日の夕方の散歩の時は小雨でした。
斜面を上って原っぱに行きました。
低空を黒い雲が急速に流れていました。
原っぱを横切ってから、公園を一周しました。
これはコナラの若葉ですが、みんな下を向いているのがおかしいです(^^ゞ。
SORAは帰ってエサを食べてから、炬燵脇で寝ていました。寒かったのかなあ?(^^)/。
長女からカミさんに送ってきた写真を載せます。
チビりんとメルは野川で遊んだようです(^^ゞ。
今日(14日)は夕方まで雨がちのようです。気温は上がりそうです。










この記事へのコメント
なるほどなるほどです(^^)。
「さす」に至っては変換してもそれが正しいのかもわからない時があったりしますものね。
日本人だから当たり前ですが、複雑な日本語を小さい時からよく覚えたものですね。
感心してしまいました。
SORAちゃんにはまだまだ炬燵が必需品ですね(^^;
日本語というか漢字には同訓異字がたくさんあるので、覚えるのが大変です(^^ゞ。
中国から伝わった漢字に、もともとあった和語を当てたので仕方がないことですが、それもまた興味深くて面白いです。
「さす」のような言葉を打つと、いろんな漢字が候補として出てきますね。「標準辞書」としてそれらの意味というか用例が出てきますが、それだけではわからないことも多々あります。こんな本があると便利です(^^)/。
母語というのは子どものころから自然に身につくものですが、ちょっと不思議ですね(^^ゞ。
SORAは内毛が少ない南方系の犬ではないかと思われます。炬燵がまだまだ必要そうです(^^)/。