団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『ピラミッド』

<<   作成日時 : 2018/06/12 23:42   >>

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               〔夕方の散歩で、上空を飛んでいたカモ(^^ゞ〕


 北欧ミステリーの帝王と言われる作家ヘニング・マンケルの、スウェーデンの警察官クルト・ヴァランダーを主人公とするシリーズの9作目『ピラミッド』が邦訳されたので紹介してみる。
 下記の5つの中短篇を収めたもので、シリーズ第1作『殺人者の顔』以前の主人公クルト・ヴァランダーの(家庭)生活や巡査から始まった刑事としての仕事を時の流れを追って綴ってある作品群である。

 ナイフの一突き
 裂け目
 海辺の男 
 写真家の死
 ピラミッド

 この作品については、池上冬樹さんが『週刊文春』(5月17日号)に、次のように書いていた。

<北欧ミステリの素晴らしさを世界に広めた刑事クルト・ヴァランダーものの初の短篇集。第一長篇『殺人者の顔』以前のヴァランダーの若き日を描いている。二十代の悩み多き初々しい刑事像を捉えた「ナイフの一突き」から長篇でお馴染みの脇役の刑事たちが揃う「ピラミッド」まで計五作。
 複数の事件が交錯する表題作が二百三十頁(原稿用紙約四百枚)もあって読ませるし、意外な真相が明らかになる「写真家の死」もいいが、社長の服毒死を扱う「海辺の男」、事件に巻き込まれる「裂け目」も短いながら印象深い。前者は法制度の疲弊と矛盾を、後者は政治と社会の裂け目を抉(えぐ)り、諦観と憂愁にみちた渋くも苦いシリーズの長所を示す。警察嫌いの父親との確執、妻モナとの出会い、結婚、別居という脇筋もファンにはたまらない挿話の数々だ。>
 ちなみに採点は★★★★だった。


 このシリーズはイースタというスウェーデン南部の小さな町の刑事クルト・ヴァランダーの目を通して、スウェーデン社会やヨーロッパの激動する状況や世界を、犯罪を通して描いている。
 この本では、ヴァランダーの新米巡査時代からシリーズが始まる直前の刑事として充実しつつある42歳までの、彼の生活や活躍ぶりを5篇の中短篇としてまとめたものである。

 個人生活としては、恋人だったモナと結婚し、娘のリンダが生まれたものの、モナと別居し離婚しているところまでが描かれている。
 彼が警察官になることに大反対をしていた画家の父親との確執や、その父親と性格がとても似ていて、大人になりかけで将来の仕事を何にするかで悩んでいるリンダへの複雑な思いなども綴られていく。
 父親はタイトルともなっている「ピラミッド」の中でエジプトに旅行に行くのだが、現地で大変な事をしでかし、ヴァランダーが助けに行くなんていう話も出てくる(^^)/。
 マルメ署で巡査として警察官の道を進み始めたヴァランダーはやがて刑事となり、イースタ署に移ってからはベテラン刑事りーべりの捜査法に学んだり、同僚たちと寝る間も惜しむような過酷な仕事をこなしていくのである。


 2か所ほど引用・紹介してみる。


 「ナイフの一突き」より

 ヴァランダーはまだ若く巡査だったとき、ある男にナイフで胸を一突きされてしまう。ナイフは心臓のすぐそばに突き刺さったが、2度の複雑な手術で一命をとりとめた。
 傷が癒えて、医師から1週間後に仕事を再開してもいいと言われ、上司で刑事のヘムべりに電話をすると、彼がアパートに訪ねてきた。

<(前略)
「ああ、それは心配するな。お前は十月一日から刑事課で働くようになる。だが、それより前はダメだ」
 ヴァランダーは耳を疑った。腹の中で歓声をあげたが、顔には見せずただうなずくだけにした。
 ヘムベリはそのあと少しヴァランダーのアパートに留まったあと、まだ雨が降り続いている中、帰っていった。ヴァランダーは窓辺に立って、車が走り去るのを見送った。いつのまにか手で胸の傷を撫でていた。
 そのとき急にどこかで読んだ言葉が浮かんだ。どんな関係で目にした言葉だったのだろうか。
 死ぬのも生きることのうち。
 おれは今回は死を免れた。運がよかったのだ。
 この箴言を決して忘れまいと思った。
 死ぬのも生きることのうち。
 人生に素晴らしい時があるように、死ぬにもふさわしい時がある。

 雨が窓に激しく降り注いだ。
 八時を回ったころ、モナが来た。
 その晩二人は、今回実現できなかったスカーゲンでの夏休みを来年こそは必ず実行しようと遅くまで話し合った。>


 「ピラミッド」より

 ベテラン刑事となったヴァランダーはモナと離婚し、娘のリンダはモナと暮らしている。
 彼の父親がエジプトにピラミッドを見に旅立つのを、リンダと一緒に見送った後のことである。

<(前略)
 リンダはまたもや父親を驚かすようなことを言った。
「一緒に寝てくれる女の人が必要なのよ、パパは。ただため息をついていてもしょうがないじゃない」
 ヴァランダーは愕然とした。こんなことはいままで一度も言われたことがなかった。
「少しの付き合いはあるさ」と遠回しに言った。
「話してよ」
「話すようなことじゃないんだ。看護師で、とてもいい人だ。問題はおれよりも彼女のほうが熱心なことなんだ」
 リンダはそれ以上訊かなかった。ヴァランダーは反射的に、リンダのセックスライフはどうなんだろうと思ったが、そう思っただけで嫌な気持ちになったので、敢えて訊きはしなかった。
 二人は結局十時ごろまで中央駅のレストランで話し込んだ。モナの家まで送ろうとしたが、リンダは用があると言い、駐車場で別れた。ヴァランダーは三百クローナの小遣いを渡した。
「必要ないのに」
「そうかもしれないが、黙って取っておけ」
 リンダは町に向かって歩いていった。ヴァランダーはこれが自分の家族だと思った。一人は将来の道を探している。もう一人は暑いエジプトに向かって飛行機に乗っている。どっちにも、彼は複雑な気持ちを抱いている。二人とも予測もできない気分屋なのが共通点だ。>


 ヴァランダーが警察官(刑事)として生きていこうとする覚悟や、父親としての娘に対する気持ちがよくわかる場面である。
 人間らしい彼の魅力が感じられるのである。


<今日のお薦め本>
『ピラミッド Pyramiden』 ヘニング・マンケル 著、柳沢由実子 訳、創元推理文庫、1512円、18.04.20. 初版
 著者について、カバー裏から紹介しておきます。
<1948年スウェーデン生まれ。作家、舞台監督、劇作家。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の第1巻『殺人者の顔』でガラスの鍵賞を、第5巻『目くらましの道』でCWA賞のゴールドダガーを受賞、他に児童書やエッセイなども書いた。人気実力ともに北欧ナンバーワンの作家である。2015年没。>

ピラミッド (創元推理文庫)
東京創元社
ヘニング・マンケル

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<後記>このシリーズは、ミステリーと警察小説の面白さだけでなく、主人公のヴァランダー刑事の生活やいろんな思いが描かれているところにあると思います。
 それに主人公以外の、警察の同僚や父親などの家族の登場人物が個性的で味わい深く描かれているところがいいです。
 本書は、シリーズの他の作品を読んでいなくても楽しめる中短篇集です(^^ゞ。

 今日(12日)は陽射しの届くいい天気になりました。気温が上がってちょっとムシムシしました。
 カミさんは朝食後、着付けの会の練習に行きました。
 バカ親父はテレビも観ましたが、主に読書で過ごしました。

 夕方の散歩は5時半過ぎに出ました。

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 直前まで陽が射していましたが、北の方から雲が出てきて夕日は見えなくなっていました。
 公園を回っていきました。

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 南の空には青空も見えました。

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 八重のクチナシがたくさん咲き始めました。

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 西空ですが、北から黒雲が押し寄せています。

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 東の空にはまだ青空もありました。

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 原っぱをウロウロしていきました。

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 SORAはスリスリしました(^^ゞ。
 ワンコたちが集まっていたのでちょっと遊んでから、ベンチに向かいました。

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 北東の風が吹いていて、空はあっという間に黒雲に覆われていきます。

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 さっき遊んだワンコたち(^^ゞ。今日はワンコがたくさん来ていました。

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 雨が降りそうな雲です。

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 上空に少しだけ青空の穴が残っています。

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 SORAはマッタリ(^^)/。

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 帰ることにしました。

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 草つき斜面を下りていきました。

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 帰り道では、全天雲に覆われていました。
 帰ってきてテレビニュースを観ていたら、横浜には雷注意報が出ていました。
 雷雨にはなりませんでしたが(^^)/。

 明日(13日)の横浜の南の端っこの天気は、日中は陽射しが出て暑くなるようですが、午後はにわか雨が降るかもしれません。夕方からは曇ってくるようです。

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