『レパード 闇にひそむ獣』



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        〔薄い飛行機雲を引いて飛ぶ飛行機〕


 ノルウェーの作家ジョー・ネスボの、〈刑事ハリー・ホーレ〉シリーズの第8作目『レパード 闇にひそむ獣』が邦訳されたので、紹介する。

 プロローグは、次のように始まる。


<  1 溺死

 彼女は眼を覚ました。漆黒の闇のなかで瞬(まばた)きをし、欠伸(あくび)をし、鼻で息をして、また瞬きをした。涙が頬を伝うのがわかり、それ以前の涙の塩と溶け合うのが感じられた。けれども、口は乾いて強ばり、喉は唾液で濡れていなかった。両頬は内側からの圧力で外へ出っ張り、口のなかを占領している正体不明の物体のせいで、いまにも頭が爆発するのではないかと思われた。でも、何だろう? どういうことなのか? 目が覚めてまず頭に浮かんだのは、戻りたいということだった。自分を包んでくれていた、暗くて温かい深みへ戻りたい。彼に打たれた注射の効き目はまだ切れていなかったが、痛みはよみがえりはじめ、それがのろのろとした鈍い拍動と緩やかな血流に入り込んで脳を巡っていくのが感じられた。彼はどこにいるのだろう? わたしの真後ろに立っているのか? 彼女は息を詰めて耳を澄ませた。何も聞こえなかったが、そこにいるのを感じ取ることはできた。まるで豹(ひょう)のようだ。豹はほとんど音を立てないから闇のなかで獲物のすぐそばまで行けるのだと聞いたことがある。自分の息遣いを獲物のそれに合わせて調節でき、獲物が息を詰めれば、自分も息を詰めることができるのだ、と。間違いない、彼の発する熱が感じられる。彼は何を待っているのか? 彼女は息を吐いた。その瞬間、首筋に確かに彼の息がかかったような気がした。彼女はくるりと振り返って拳を振るったが、虚しく空を切るだけに終わった。うずくまり、身体を小さく丸めて隠れようとした。無駄だった。
 どのぐらい意識を失っていたのだろう?
 薬物の効果は薄れつつあった。あの興奮はほんの一瞬しかつづかない。が、前もってそれを味わわせ、確信を持たせるには十分だ。くるべきものは必ずくるという確信を。
(後略)>


 なんとも怖い!(^^)/。
 このあと、この女性は思いもつかない凶器により、自分の血液による溺死という奇怪な殺され方をされてしまう。

 主人公はノルウェーのオスロ警察警部のハリー・ホーレである。
 前作『スノーマン』(バカ親父は未読)で心身に大きなダメージを負った彼は、休職して香港で隠れるような日々を送っていた。
 元々アルコール依存に苦しんでいたが、アルコールだけでなく阿片にも手を出し、競馬賭博にのめり込み借金まみれになっていた。

 そんな彼の元に、オスロから女性刑事カイア・ソルネスが訪ねてきた。
 奇怪な殺され方をした女性二人が相次いで見つかり、この連続殺人事件の捜査にハリーの練達の力が必要だというのである。
 だが、ハリーは帰るつもりはなかった。
 そんな彼に、カイアは出すつもりのなかった最後の手段に訴えることにした。刑事部長のグンナル・ハーゲンに「あのろくでなしが頑として首を縦に振らなかったときしか使ってはならない」と釘を刺されていた手段である。
 ハリーの父オーラヴが病気でもう後がないと伝えると、やっとのことでハリーは帰国することを了解した。

 帰国したハリーの前には連続殺人のさらなる犠牲者が現れ、その繋がりをハリー率いる刑事部捜査班のカイアや鑑識課員ビョルン・ホルムたちが追っていく……
 いったい誰が何のために、そんなひどい殺人を繰り返していくのだろうか?

 ところが、捜査の主導権を握りたいクリポス(中央捜査局)局長ミカエル・ベルマンの横槍が入り、刑事部は事件から締め出されてしまう。
 ハリーらは極秘に捜査を続けていき、有力な容疑者を割り出した。
 でもとんでもないことに、ハリーを出し抜くようにして、ベルマンたちがその男を逮捕してしまった。
 負けた~と思ったハリーたちだったが……
 事態は二転三転していく(^^)/。

 舞台は、首都オスロだけにとどまらず、ノルウェー南部の山間の町ウスタオーセ、南西部沿岸地方のスタヴァンゲル、そして欧州を飛び出して香港、コンゴ、ルワンダと、まさに世界を股にかけるスケールの大きな物語となっていく。
 犯人探しも、ついにクライマックスだと思った派手なシーンの先に、より劇的な展開が待ち受け、感嘆するばかりの見せ場がこれでもかと続いていく。
 さすがネスボが紡ぎ出す物語である。捜査を巡るサスペンス、複雑に折り重なる人間ドラマ、ひねりの利いたプロット、ハリーを待ち受ける困難の数々だけでなく、諧謔的でユーモアのある会話の数々など、エンターテインメントとしての面白さがぎっしりと詰まった物語となっている(^^ゞ。

 ついに、ハリーが暴き出した真実とは?(^^)/。


<今日のお薦め本>
『レパード 闇にひそむ獣』(上・下) ジョー・ネスボ 著、戸田裕之 訳、集英社文庫、上1296円、下1458円、19.07.25. 第1刷

レパード 上 闇にひそむ獣 (集英社文庫)
レパード 上 闇にひそむ獣 (集英社文庫)
レパード 下 闇にひそむ獣 (集英社文庫)
レパード 下 闇にひそむ獣 (集英社文庫)

<後記>大長編といっていい物語ですが、次から次へと思いもかけない展開を見せるので、魅せられて読み進められます(^^ゞ。
 ハリー・ホーレは、酒飲みで阿片を吸ったりするどうしようもない男ですが、なぜか魅力があります。何度も窮地に陥り痛めつけられますが、それでも不死鳥のごとくよみがえります。
 仕事では強引なところが多々ありますが、私生活では優しくて引っ込み思案で繊細です。
 女性にもなぜかモテて、女性刑事カイアとも惹かれ合っていきますが、はたして二人がどういう結末を迎えるのかは本作をお読みください(^^ゞ。

 ハリーにはエイスティンとトレスコーという腐れ縁の幼馴染の友がいるのですが、ハリーとエイスティンの会話を一か所紹介しておきます。
 車で移動中の二人は、思い出話から次のような話になります。

<「ふむ。エイスティン?」
「何だ?」
「おまえとおれはなぜ友だちになったんだろうな?」
「同じ界隈で一緒に育ったからだろうよ」
「それがすべてか? 地域的な偶然だけか? 精神的な繋がりは関係ないのか?」
「心当たりのあるものはないな。おれの知る限りじゃ、おれたちの共通点はたった一つだ」
「それは何だ?」
「友だちになりたがるやつがいなかったってことだ」
 車は次の道に入ると、黙り込んだ二人を乗せて走りつづけた。
「トレスコーを別にすればだろ」ハリーは言った。
 エイスティンが鼻を鳴らした。「あいつは隣に坐っていて我慢できないぐらい足が臭いんだ」
「そうだな」ハリーは言った。「おれたちは我慢が得意だったからな」
「そして、やつはおれたちから逃げられなくなった」エイスティンが言った。「しかし、それにしても臭いよな」
 二人は笑った。優しくて、快活で、悲しい笑いだった。>

 こんな会話が随所に出てきます。ハリーの人間性と人間関係がよくあらわされていて、とても愉快で面白いのです(^^ゞ。

 参考までに、いままで紹介したジョー・ネスボの作品は次のとおりです。興味のある方はお読みください。
・ 『その雪と血を』
・ 『贖(あがな)い主 顔なき暗殺者』
・ 『コマドリの賭け』


 今日(28日)は早朝までは雨が降りましたが、以後は薄雲があったものの陽射しがよく届いて蒸し暑くなりました。
 昼ごろ買い物に出た以外はテレビを観たり本を読んでいました。
 夕方の散歩に出たのは5時ころでした。
 公園を斜めに上っていきました。

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 上空も東の空も、薄雲がゆっくり流れています。

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 夕日が眩しかったです。
 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 SORAはさっそくクネクネスリスリをしました(^^)/。

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 夕日は黒雲に隠されていきそうです。
 SORAは少し歩いてから、

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 またクネクネスリスリをしまくってから、草の上でしばらくマッタリしていました。
 ベンチに行きました。

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 夕日がだいぶ隠れていきました。

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 SORAが突然起き上がって、何かを見るので振り返ると、向こうのベンチに座ったおじさんと黒柴を見ていたので、場所を代わってやりました(^^ゞ。

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 おじさんと黒柴がベンチから立ち上がると、見えなくなるまでSORAはずーっと目で追っていました(^^ゞ。

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 帰ることにしました。

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 東海地方は梅雨明けしたようですが、関東地方はまだです。
 いったい、いつ明けるんでしょうかねえ(^^ゞ。

 明日(29日)の横浜の南の端っこの天気は、曇りからしだいに陽射しが届くものの、にわか雨や雷雨になるかもしれません。
 南寄りの風で気温が上がって真夏日になりそうです。熱中症に気をつけなきゃいけません。

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