『潤みと翳り』



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      〔クネクネスリスリのあとマッタリするSORA(^^ゞ〕

 オーストラリアの女性作家ジェイン・ハーパーの邦訳第2弾『潤(うる)みと翳(かげ)り』を紹介する。
 ちょうど1年前に紹介した『渇きと偽り』と同じ主人公で、メルボルンで財務捜査を担当する連邦警察官アーロン・フォークが活躍する。

 プロローグは、次にように始まった。


<   プロローグ

 残った四人の女があとから語った話には、一致する点がふたつしかなかった。ひとつ目――アリス・ラッセルが森に呑みこまれるところはだれも見ていない。二つ目――だれかの恨みを買ってもおかしくないほど、アリスは身勝手な人間だった。

 集合地点への女たちの到着は遅れていた。
 男たちのグループは――目標時刻である正午の三十五分も前に到着するという記録を作り――森から出てきて肩を叩きあった。上出来だった。合宿研修の運営者が五人の男を待っていて、オフィシャルウェアの赤いフリースを着た暖かそうな姿で歓迎した。男たちはマイクロバスの後部にハイテク寝袋をほうりこむと、安堵(あんど)の息をつきながら車内に乗りこんだ。マイクロバスには携行食やコーヒーの魔法瓶が用意されていた。男たちは食料の向こうに身を乗り出し、預けた携帯電話がはいっている袋に手を伸ばした。世界とふたたびつながるために。
 外は寒かった。それは車内も変わらない。この四日間で、冬のおぼろな日がきれいに顔をのぞかせたことは一度しかなかった。とはいえ、マイクロバスの中なら雨に打たれることはない。男たちは座席でくつろいだ。ひとりが女の地図を読む能力をからかって冗談を飛ばし、全員が笑った。男たちはコーヒーを飲みながら同僚らが現れるのを待った。最後に会ったのは三日前で、もう何分か待たされるくらいならかまわなかった。
 偉ぶった態度は一時間もすると苛立ちへ変わった。五人の男はひとりまたひとりと柔らかな座席から重い腰をあげ、土の道を行ったり来たりした。腕一本ぶん伸ばせば頼りない電波をとらえられるかのように、携帯電話を宙に突きあげてみた。街にいる妻や恋人たちへ、届くことのないテキストメッセージを苛々と打った。遅くなりそうだ、足止めを食っている、と。長い数日間だった。熱いシャワーと冷えたビールが待っている。あしたには仕事も。
 合宿研修の運営者は木々を見つめていた。そしてついに、無線機を手に取った。
(後略)>


 不穏に満ちたプロローグである(^^ゞ。

 オーストラリア東部のジララン山脈の森に分け入るという、企業向けの合宿研修に参加した男性5人、女性5人のグループのうち、男5人は予定通りに戻ってきたが、女性グループが集合場所に現れない。
 この研修は、エグゼクティブ・アドベンチャーズが開催しているサヴァイバル・トレッキングで、この時はベイリーテナンツという会社の男女5人ずつが、別々にグループを組んで4日間山の中をポイントを巡りながら歩き回るというものだった。
 女性のグループにはベイリーテナンツ会長のジル・ベイリーが、男性のグループには彼女の弟で同社の最高経営責任者のダニエルも入っていた。

 予定時刻からだいぶ遅れてようやく女性たちは帰ってきたが、人数は4人だけしかおらず、しかも一人は額から血を流していた。
 帰ってこなかったのはアリス・ラッセルという女性だった。

 一方、メルボルンのアーロン・フォークのもとに、3か月前に新しく相棒になったカーメン・クーパー捜査官(女性)から「アリス・ラッセルが行方不明になった」という電話が入る。
 実は、アリスは、フォークとクーパーが現在かかわっている捜査にある重要な役割を果たしている人物だった。
 クーパーからの連絡を受けたとき、彼の頭に二つのことがよぎった。

 一つは、アリスが行方不明になったジララン山脈のことで、そこでは25年前にオーストラリア中を騒がせた、マーティン・コヴァックという男による女性の連続殺人事件が起きていたこと。
 もう一つは、アリスが行方不明になる直前の早朝、フォークの携帯電話にアリスからの留守番電話が残されていたことである。
 携帯がほとんどつながらない山中からの聞き取りにくい伝言は、たった一言「……彼女を苦しめて……」だけだった。

 女性たちのグループに、いったい何が起きたのか?
 そしてアリス・ラッセルは、いったいどこに消えてしまったのか? それに、彼女の行方不明は遭難なのか、それとも何かの事件なのか?
 フォークとクーパーの困難な捜査が地道に進められていく。

 読者を翻弄させるような展開をみせる物語である。
 5人の女性グループが森を歩く過去の様子と、フォークとクーパーの現在進行形の捜査の様子を交互に描きながら、“いったい何が起きたのか”を解いていくのである。
 また、女性グループの行動の描き方が、まるで密室劇のようで面白い。外界から距てられた閉鎖空間での、身勝手なアリスを取り巻く他の4人の心理が視点を変えながら描かれていく。
 思い出したのは芥川龍之介の『藪の中』である。複数の視点から同一の事件を描く多元的な描き方の短篇だが味わいがあって面白かった。
 そんな謎解きのミステリーとハラハラドキドキのサスペンスが同時に楽しめる物語である(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『潤(うる)みと翳(かげ)り FORCE OF NATURE』 ジェイン・ハーパー 著、青木 創 訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1318円、19.08.15. 発行

潤みと翳り (ハヤカワ・ミステリ文庫)
潤みと翳り (ハヤカワ・ミステリ文庫)

<後記>終盤では、何気なく描かれていたことが、真相解明の重要な鍵であることが判明していきます。
 謎解きの面白さを満喫できるミステリーです。
 同時に、いったいこれからどうなるのだろうというサスペンスフルな展開で、ハラハラドキドキしながら堪能できる物語です。
 酷暑を忘れて没頭できるので、この時期の読み物としては最適かもしれません(^^)/。
 よかったら、是非お読みください。

 今朝(18日)、カミさんはSORAの散歩のあと、着付けの仕事で出かけました。

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 昼前に買い物に出ましたが、陽射しが強くクラクラするような暑さでした。
 午後はテレビを観たりしてダラダラと過ごしました(^^ゞ。
 カミさんは4時半ころに帰ってきました。
 夕方の散歩に出たのは、5時半ころでした。

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 雲がだいぶ出てきています。

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 上空には青空も見えました。

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 夕日は黒雲の中です。
 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 雲穴から向こうの夕陽の明るさがちょっぴり見えました(^^ゞ。

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 南東や東の空にも少し青空が見えます。

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 SORAはクネクネスリスリをたくさんしました。

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 そのあとマッタリしていると、馴染みのドゥードゥルが2頭やってきて、大好きなボール遊びをしていました(^^ゞ。

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 南の空の白雲です。

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 北西の空の上には、乱れたうろこ雲があります(^^ゞ。
 ベンチに行って座りました。

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 上空の雲と手前を北東に流れていく低空の雲に分かれていました。

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 SORAはお座りをしてあちこち見ていました。

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 東の空の上空には波雲が少し出ています。

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 SORAはのんびりし始めました(^^ゞ。

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 夕日はもう沈んでいると思われますが、雲穴からまだ向こうの明るさが見えました。

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 SORAはのんびりからマッタリへ(^^)/。

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 上空の雲が少し明るくなってきました。

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 雲穴から夕陽の光を受けた白雲が見えました。
 空全体が暗っぽくなってきたので、帰ることにしました。

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 明日(19日)の横浜の南の端っこの天気は、曇り時々雨で、午後はザーザーと強まることもあるようです。
 気温は30℃強くらいですが、ジメジメとしそうです。

この記事へのコメント

2019年08月22日 02:21
蒸し暑さに耐えきれず、ウォーキングも中断する毎日、ハラハラドキドキのミステリーを楽しみたいと思います。
いつも、楽しい本をていねいに紹介してくださって、ありがとうございます。
遊哉
2019年08月22日 11:27
☆ 毎日ばらいろ さん、この蒸し暑さの中のウォーキングは危険です。しばらくお休みにした方がいいと思います(^^ゞ。
 この本は暑い夏に読むのによさそうです。少しは涼しくなれる? かもしれません(^^)/。