『ケイトが恐れるすべて』



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       〔キリンの首のような電信柱の影(^^ゞ〕

 予測不能の展開をみせる傑作犯罪小説『そしてミランダを殺す』の作者、ピーター・スワンソンの新邦訳ミステリーでクライム・ノベル『ケイトが恐れるすべて』を紹介する
 次のような二部構成で、全38章からなる物語である。
 第一部 長い脚で蠢くもの
 第二部 二等分

 プロローグは、次のように始まる。


<   第 一 章

 ローガン国際空港からボストン中心部までの最短ルートは、サムナーという全長一マイルのトンネルを行く道だ。暗く、湿っぽく、天井の低いサムナー・トンネルは、百年前に造られた建造物のように感じられ、なおかつ、これは事実に近い。そして四月二十四日金曜日、暖かな春の夕べに、ボストン大学の某一年生がこのトンネル半ばでガス欠を起こし、ラッシュアワーの車の流れは、通常の二車線ではなく、動きののろい一車線のみとなった。ボストンに来るのはこれが初めてで、まさかボストン港の底のトンネルに囚われるはめになろうとは思ってもみなかったケイト・プリディーは、停車したタクシーの後部座席でパニックに陥(おちい)りかけていた。
 彼女のパニックの発作は、この一日に限っても、これが初めてではない。その朝も彼女はひとつ起こしている。それは、ロンドン、ベルサイズ・パークのアパートメントの自室から薄暗い冷たい朝へと足を踏み出し、突如、住まいの交換というアイデアが、どこを取っても、自分にとって過去最悪のアイデアのように思えたときのことだった。しかし彼女は、呼吸のエクササイズを行い、呪文を唱え、自分に言い聞かせた。もう引き返すことはできない。彼女の又従兄(またいとこ)、いまだ会ったことのない相手が、いままさに、ボストン発の夜行便でロンドンへと向かっている。彼は六カ月間、彼女の部屋(フラット)を使い、彼女のほうはそのあいだ、ビーコン・ヒルの彼の部屋(アパートメント)で暮らすのだ。
 だが、暗いトンネル内で立ち往生するタクシーの招いたこの発作は、ひさびさに経験する、かなりひどいものだった。果てしないトンネルのつややかな壁は、てっぺんでカーブしている。まるで収縮する大蛇の体内にいるようで、ケイトは胃がよじれ、口がからからになるのを感じた。
(後略)>


 ロンドンに住むケイト・プリディーは、又従兄のコービン・デルが半年の期限で転勤となったので、住まいを交換し半年間ボストンで暮らすことにした。
 画材店で働く彼女はコービンとは一度も会ったことがなかったが、その申し出は彼女の母親を通じてのもので、思い悩んだ末に受け入れた。
 それは、異国の地で心機一転し、5年前の恋人との凄惨な悲劇で負ったトラウマを克服したいと思ったからだった。
 だが、生まれて以来ずっと不安障害に悩まされてきた彼女は、空港からボストン中心部へと向かうトンネル内で渋滞に遭い、5年前の体験がフラッシュバックし、パニックの発作を起こしてしまったのだ。

 なんとか発作をやり過ごして高級住宅街ビーコン・ヒルに到着したケイトを待っていたのは、3階建ての豪奢なコービンのアパートメント・ハウスだった。
 そこは中庭をU字形に囲む3つの棟からなる大邸宅で、コービンの部屋も数室あり、寝室ひとつしかない彼女のフラットとの違いに呆然とするものの、住人たちの歓迎を受けた。
 ところが翌日、隣室の女性オードリー・マーシャルの死体が発見された。

 オードリーの友人だというジャック・ルドヴィコやアパートメントの向かいの棟に住むアラン・チャーニーの話では、オードリーとコービンは恋人同士だが、まわりには秘密にしていたという。
 それを、ケイトがメールでコービンに問い合わせると、オードリーとの関係を否定した。

 噓をついているのは誰なのか?
 オードリーを殺害したのはコービンで、出発直前に犯行に及んだのか?
 だとしたら、殺人者の部屋に住む羽目になるのだろうか?
 それとも、他の誰かの仕業なのか?
 ケイトは時にパニックに襲われながらも、事件の謎を探っていくが……
 見知らぬ他人に囲まれた、彼女の悪夢の4日間が始まった。
 そして、衝撃的なラストが……待っていた(^^)/。 


 あらすじは簡単に済ませておくが、本作について、池上冬樹さんが『週刊文春』(8月29日号)の「ミステリーレビュー」で取り上げているので、紹介しておく。

<昨年、本誌のベストテンで第二位に輝いたのが、ピーター・スワンソンの『そしてミランダを殺す』。切れ味抜群のツイストと驚きの展開、衝撃の結末に強烈なテーマ把握と完璧で、クライム・ノヴェルの新たな到達点といえたが、新作『ケイトが恐れるすべて』はどうか。物語はロンドンに住むケイトと、ボストンに住む又従兄(またいとこ)のコービンが半年間だけ住居を交換する場面から始まる。ケイトは初めて米国を訪れるが、新居に到着した翌日、隣室の女性の死体が発見され、恐怖の世界へと導かれる。
 物語を複雑にしているのは、ケイトが過去の恋愛において悲惨な事件を体験してトラウマを抱えている設定で、これがサスペンスを高めている。新たな恋の進展もロマンティックでありながら後悔と罪の意識に囚われて一筋縄ではいかず、事件の深い闇とあいまって静かな狂熱をおびていく。
『ミランダ』と比べるとエンジンの始動が遅く、視点転換による妙味もやや薄いものの、それでも終盤に至り、相変わらず不埒極まりない(どこか陶然たる)悪の物語になるあたり、もうたまらない魅力だ(これぞスワンソン!)しかもそれが恋愛の行方と絡むあたりも、イヤミス風なのに後味を良くして、実に巧い。期待を裏切らない仕上がりだ。>
 ちなみに、採点は★★★★だった。


<今日のお薦め本>
『ケイトが恐れるすべて Her Every Fear』 ピーター・スワンソン 著、務台夏子 訳、創元推理文庫、1188円、19.07.31. 初版

ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)
ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)

<後記>読み始めて、なんだか暗いイヤミスのような気がして、ちょっと躊躇しながら読み進めていきました。
 ところが、しばらくすると謎が次から次へと現れるし、ケイトに危機に陥りそうだし、過去のシリアル・キラーの話も出てくるし……ということで、ぐいぐいと物語に引き込まれてしまいました(^^ゞ。
 作者のピーター・スワンソンの原書のあとがきには、“自分が住んでいる場所も、自分の頭の中も信頼することができない女性の物語”だと書かれているそうです。
 なんだか、ヒッチコックの作品を観ているような錯覚に陥る面白い作品です。
 ケイトの切ないけれど、新しい恋愛の行方も気になる物語です(^^ゞ。

 今日(5日)は曇りの一日のはずでしたが、陽射しがよく届いて蒸し暑くなりました。
 昼ころ買い物に出ると、

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 薄雲が浮かんでいる上に、太陽が輝いていました。
 日中はダラダラとテレビを観たり本を読んでいました。
 夕方の散歩に出たのは、5時15分くらいでした。

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 薄雲の中から夕日がぼんやりと見えます。
 公園を斜めに上っていきました。

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 南西の空に月が見えました。

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 夕日は雲の中に隠れそうです。
 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 北の空の上空には薄雲が舞っています。

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 南東や東の空にも薄雲が多く、低空には黒っぽい雲が流れています。

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 SORAがクネクネスリスリをしまくりました。
 後で気がつくと、SORAの右足のそばにある石に肩口をこするようにスリスリしていたのでした(^^)/。

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 夕日は雲の中で落日を迎えたようです。

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 南東や南西の空で薄雲が舞っていました。
 ベンチに行きました。

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 SORAはすぐにマッタリし始めました(^^ゞ。

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 弱い西風が吹いていて、雲は東の方に流れていました。

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 ヘリコプターが南から北へ飛んでいきました(^^)/。

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 北東にあった入道雲の頭(^^ゞ。

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 東の黒っぽい雲が次々と流れていました。

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 帰ることにしました。

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 桜並木を下りて帰ってきました。

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 明日(6日)の横浜の南の端っこの天気は、陽射しがよく届き、昼間は真夏日になって厳しい残暑になりそうです。
 熱中症対策を忘れないようにします(^^ゞ。

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