『生き物の死にざま』



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              〔外壁の模様(^^ゞ〕

 いろんな生き物の死に臨んだ最後の輝きを描きながら、死とは何か? 死ぬとはどういうことなのか? そして命のバトンでもある死について考察した本『生き物の死にざま』を紹介する。

 著者は、次のような方である。(カバー裏から)
<1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職。
 著書に、『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』『身近な雑草のゆかいな生き方』『身近な野菜のなるほど観察記』『蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか』(いずれも草思社)、『身近な野の草 日本のこころ』(筑摩書房)、『弱者の戦略』(新潮社)、『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか』(東洋経済新報社)、『世界史を大きく動かした植物』(PHP研究所)など。>

 この本を読むきっかけになったのは、朝日新聞(10月12日朝刊)の書評欄の「売れてる本」に紹介されていて面白そうだと思ったからである。
 次のようなものだが、書いているのは朝日新聞大阪科学医療部長の黒沢大陸さんである。

<生き物のものがたりを一つ読むたびに、本を置いて情景を想像してしまう。ゆったりした200ページあまりの本なのに、読み終えるまで時間がかかった。
 例えばハサミムシ。母親は産んだ卵を守り続ける。隠れている石をひっくり返すと、ハサミを振り上げて人間を威嚇することもある。そして、卵を守りぬいた母親を、孵化(ふか)したばかりの幼虫たちが「貪(むさぼ)り食う」。獲物を捕らえられない幼虫が飢えないために、自分の体を差し出す壮絶な子育て。「遠ざかる意識の中で、彼女は何を思うのだろう。どんな思いで命を終えようとしているのだろうか」
 本書は、死に臨む生き物の29の話をつづっている。「死」を迎えても幼生に戻っていくことで不老不死といわれるベニクラゲが迎える不慮の死。実験室で死んでいくハツカネズミ、シロアリの女王の孤独な最期。ミツバチは、安全な巣での内勤の後、晩年になって危険な任務である花の蜜集めが課せられる。
 本書が広く読まれるのは、科学的な解説にとどまらず、生き物のありようを自分のことのように感じさせる筆運びからだろう。死にざまの多くは、子孫を残すための生きざまでもある。
 ふるさとへの苦難の旅を終えたサケ。卵を産んだ場所には、不思議とプランクトンが豊富に湧き上がるという。サケの死骸が分解されて餌になるそうだ。「親たちが子どもたちに最後に残した贈り物」。何とも無駄のない営みではないか。
 我々はそうはいかない。遺骸を余さず自然に取り込んでもらいたくても、風葬や鳥葬など望むべくもない。骨つぼのまま埋葬されたら土にもかえらない。ふと、子どものころ縁側で爪を切っていた時のことを思い出した。庭に飛んだ爪をアリが懸命に運んでいった。食べたのだろうか。少し不気味であったが、いま感じるのは体の一部が生命の循環に加わった愉快さだ。
 語られた死にざまから想像が膨らみ、自然の摂理に対する思念が深まっていく。>


 本書では、次のような29の生き物が採り上げられている。

1 空が見えない最期──セミ
2 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
3 母なる川で循環していく命──サケ
4 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
5 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
6 メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
7 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
8 メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
9 生涯一度きりの交接と子への愛 タコ
10 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
11 生きていることが生きがい──クラゲ
12 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
13 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
14 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
15 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり アリ
16 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
17 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
18 冬を前に現れ、冬とともに死す“雪虫”──ワタアブラムシ
19 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
20 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
21 なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
22 巣を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
23 クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
24 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
25 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
26 実験室で閉じる生涯──ネズミ
27 ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
28 かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
29 死を悼む動物なのか──ゾウ


 さて、生き物の死にざまはいろいろあって面白いところはたくさんあるのだが、1か所だけ引用・紹介しておく。
 14番目の「マリンスノー」のところである。
 マリンスノーというのは、深い海の中で舞い落ちていく雪のように白いものであり、それはプランクトンの死骸である。
 プランクトンにはさまざまあって、小さな稚魚、エビやカニの幼生、微生物、小さな単細胞生物などである。
 という説明の後で、

<たった一つの細胞で構成される単細胞生物は、もっとも原始的な生物である。複雑な仕組みは持たず、ただ細胞分裂をして増えていくだけである。
 ひとつの細胞が二つに分かれていく。これは元の個体が死んで、新たな個体が生まれたのだろうか。それとも、元の個体は生きたまま分身したのだろうか。
「死」とはいったい、何なのだろう。単純な生き物である単細胞生物にとって「死」とは単純ではない。
 細胞が二つに分かれたときに、死んでしまった元の個体の死体が残るわけではない。元の個体と同じ単細胞生物が二つになるだけである。死んだ個体が残らないということは、そこに「死」はないことになる。
 ひたすらコピーを繰り返して増えていくだけの、この単純な生物に、生物学的な定義での「死」はないとされている。
 生命が地球に誕生したのは、三八億年ほど前のことである。すべての生命が単細胞生物であったこの時代に、生物に「死」は存在しなかった。
 生物に「死」が訪れるようになったのは、一〇億年ほど前ではないかと考えられている。長い間、生物に死はなかったのだ。「死」は、三八億年に及ぶ生命の歴史の中で、生物自身が作り出した偉大な発明なのである。
 一つの生命がコピーをして増えていくだけであれば、新しいものを作り出すことはできない。さらには、コピーミスによる劣化も起こる。そこで、生物はコピーをするのではなく、一度、壊して、新しく作り直すという方法を選ぶのである。まさに、スクラップアンドビルドである。
 しかし、まったくすべてを壊してしまえば、元に戻すのは大変である。そこで生命は元の個体から遺伝情報を持ち寄って、新しいものを作る方法を編み出した。これが、オスとメスという性である。つまり、オスとメスという仕組みを生みだすと同時に、生物は「死」というシステムを作り出したのである。
 比較的複雑な構造を持つ単細胞生物であるゾウリムシには、オスとメスという明確な「性」はないものの、二つの個体が接合して遺伝子を交換し、新たな二体の個体となる。
 二体のゾウリムシが接合して、新たな二体のゾウリムシとなるが、こうして生まれ変わったゾウリムシは、元のゾウリムシと違う個体だから、これは新たなゾウリムシを作り上げて、元の個体は死んでしまったと考えることができる。
 こうして、生命は「死」と「再生」という仕組みを創り出したのである。>

 いろんなことを考えさせられる、とても面白い本である。
 生き物が好きな方は是非読んでみていただきたい(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『生き物の死にざま』 稲垣栄洋(いながき ひでひろ) 著、草思社 刊、1540円、19.09.20. 第3刷発行(19.07.15. 第1刷発行)

生き物の死にざま
生き物の死にざま

<後記>「死」というのは生き物の命が途絶えることですが、その死に方というか死にざまにはいろいろあるものだと驚かされます。
 この本では、そんな単細胞生物からゾウのような大きな哺乳類までの「死にざま」が、生物学的にわかりやすく解説されるとともに、その死がどういう意味を持つのかを考察していきます。

 生き物の死は、次の世代に「命のバトン」をつなげたときにやってくることが多いようです。たとえば、サケは海から川を遡り、産卵床をつくるとメスは卵を産みオスは精子をかけて卵を受精させ、それが終わるとオスもメスも死を迎えます。
 それに比べると、ヒトはちょっと長生きし過ぎじゃないかな?
 それに、ヒトは不老不死を昔から追い求めてきたようですが、それは何の意味があるのだろうか?
 臓器移植やiPS細胞などによるさまざまな組織や臓器の細胞をつくり出すことは、はたしていいことなんだろうか?
 何ぞということも考えてしまいます(^^ゞ。
 まあ、いろんなことを考えさせられる、面白い本です(^^)/。


 今日(21日)も陽射しはほとんど届かず、雲の多い一日でした。
 朝早くカミさんが着付けの仕事に出かけたので、6時50分ころに散歩に出ました。

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 雲が多く、朝日もはっきりとは見えません。
 公園の草つき斜面を上っていきました。

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 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 SORAはクネクネスリスリをしました(^^ゞ。

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 朝日は見えません。
 SORAが端っこの階段を下り始めたので帰ることにしました。

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 途中の小さな公園に寄ってきました。ケヤキの落ち葉がたくさん落ちていました。

 カミさんは午後1時半ころに帰ってきました。
 午後はテレビをダラダラと観ていました(^^ゞ。
 夕方の散歩は4時40分ころ出ました。雨がポツポツと降りはじめていたので、傘を持っていきました。

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 雨雲が出てきていました。
 公園の草つき斜面を上っていきました。

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 原っぱに出てすぐに、公園を回っていきました。

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 このころから雨脚が強くなってきたので傘を差しました。

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 原っぱに戻ってウロウロしていきました。

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 桜並木を下りて帰ってきました。

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 明日(22日)の横浜の南の端っこの天気は、少なくとも夕方ころまでは雨が降り続き、午前中は雷を伴って激しく降るかもしれません。夜には曇ってくるようです。土砂災害に注意が必要そうです。
 北寄りの風で18℃くらいまでしか気温が上がらず、肌寒そうです。

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この記事へのコメント

2019年10月22日 20:32
当方、雑草に埋もれて暮してるもので、
雑草生態学を学んだ人、というだけで、もう興味津々です。
身近によく知っている生き物なども取り上げられていて、
読みたい!
まだ、氷姫を読了していません。その前に、
スティーブン・キングを読み終えないと!
遊哉
2019年10月22日 22:04
☆ 毎日ばらいろ さん、うちはもっとひどい状態で、ほったらかしの雑草だらけの庭です(^^)/。
 雑草の栄枯盛衰というのは面白いから、雑草生態学というのは興味深いですね。
 身近な生き物でも知らないことがたくさんあってビックリします。読んでみてください♪。
 バカ親父も積読状態の本がいろいろあります。生きてる間に読み終わらないかもしれませんが、ゆっくりいきましょう!(^^ゞ。
kawa
2019年10月22日 22:46
面白そうなので さっそくamazonで注文しました
ありがとうございます
遊哉
2019年10月23日 00:00
☆ kawaさん、いろいろ考えさせられるし、勉強にもなると思います。
 楽しみながら読んでみてください(^^ゞ。
2019年10月23日 00:08
細かく読み込まれてますね~!
50歳そこそこの方がこんな研究をされているんですね!
私は若いころ、生きる意味に悩まされましたが、死の意味についても研究されているなんて・・・ある意味、驚きです。
この著者の生きている意味は・・・?なんて野暮な質問をしてはいけませんね!(^o^)/
遊哉
2019年10月23日 00:41
☆ 宮星さん、本って面白いです(^^ゞ。
 世の中にはいろんなことを研究している方がいるもんですね。
 日々生きるということは、日々死んでいくことかもしれません。生きているものは、いつかは死を迎えます。生きるということは死に向かって生きるということでもあります。
 生と死は背中合わせなのかもしれません。
 この著者の生きている意味は、何なんでしょうね(^^ゞ。
 人それぞれに、生きているというか生きていく意味を掴むしかないような気がします。
2019年10月24日 17:25
面白そうな本ですね。さっそく読んでみなくては♪
「死」に関する本は、私も最近一冊読了したところ
ですが。
死と生は表裏一体、なんてよく言われるけれど、本当
にそうだなあって思っていたところです。
裏表というか、同じことなんだなあ、って。

ミツバチが、おばあちゃんになってから危険な「外勤」
に出される、っていうのも最近知りました。
足に花粉の玉をつけて、のんびりかわいらしく飛んでいる
ように見えたけど、実際は大変なのですね(笑)

前記事の、奥さまに散髪をしてもらった、っていうところ
を読んで、seiziさんを思い出しましたよ(^O^)

遊哉
2019年10月24日 22:07
☆ キーブーさん、この本で書かれていることは、知っていることもありましたが、知らないことがたくさん書かれていて、とても面白かったです。是非読んでみてください。
 同じようなテーマの記事を書かれていましたね(^^ゞ。
 生きることは死ぬことなんでしょうね。一瞬前の過去も取り戻せないし、最期の死に向かって生きているとも言えると思います。
 ミツバチの生の後半の外勤は危険に満ちているんですね。だからこそ、いつ死んでもいいおばあちゃんの役目のようです(^^ゞ。
 結婚して1年後以降、ずーっと散髪はカミさんにやってもらってます。最初は虎刈りでしたが、今ではなかなかの手際です。はい、seiziさんのところと同じです(^^)/。