『この道をどこまでも行くんだ』



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           〔家並みの間から射す朝日〕

 椎名 誠さんの、自然や人間への愛情のこもった50枚の写真とエッセイをまとめた本『この道をどこまでも行くんだ』を紹介する。
 「東京スポーツ」紙に連載されたものを、単行本化にあたって大幅に再構成・加筆・修正したものだということである。

 目次から内容を拾ってみる。

踊る
 美しい女性のまつり/西馬音内(にしもない)盆踊り/ミャンマーの輪くぐりネコ/コブラの踊り/少し前の敦煌/イスタンブールの夜
食べる
 世界で一番うまいもの/モルディブのカツオ/幼虫を食べる/腸をススル/動きまわるミドリヘビ/シベリアのブタ首売り
捕る
 メコン川のドンダイ漁/ラプラタ川の子ワニ捕り/アマゾンのピラルクー/アマゾンのデカナマズ/バイカル湖の穴釣り
底力
 寄生樹/ブッシュメンの底力/ただ今引っ越し中/水脈さがし人
遊民
 カイラスへの巡礼者/チベット遊牧民のテントの中/スパイダーテント/中央アジアのカーフェリー/マサイ族のひまつぶし/手招きするマサイ族
異次元
 砂漠の塩の川/タクラマカン砂漠の白骨林/パイネの牙/パンタナールの牛追い/続・パンタナールの牛追い/パンタナールの動物/アトカ島にて/異次元のロシア/馬のつらら/ねじれた家/マイナス四十五度のシベリア鉄道/マイナス四十度世界での生活/クラゲ水族館
雲と命
 ゾウと雲の横断待ち/ゴビのラクダ/ペンギンと暮らした/アホウドリのヒナ/迫力のゾウアザラシ/南米のグアナコ/幻のイッカククジラ/ミャンマーの僧侶学校/ミャンマーの瞑想/アウシュビッツの今


 さて、写真は紹介できないが、ふたつだけエッセイを引用・紹介してみる。
 まず、“食べる”のなかの「世界で一番うまいもの」である。

<ぼくがこれまで食べたものの中でいちばんおいしいと断言できるのは、何度か行ったパタゴニア(南米大陸の最南端のあたり一帯)でいつも世話になっていた牧場での日々に必ず食べていたものだ。写真ではちょっとわかりにくいかもしれないが、これはまだ若い羊の丸焼きである。この日は三頭だったので、細長い焚き火を作り、羊は内臓を取り除いて、鉄で作った十字架状のものに羊の開きをくくりつけ、このようにして裏表を一~二時間かけてじっくり焼く。日本の谷川沿いに住む人などがやっているアユの炭火焼きをでっかくしたようなものだと思えばいい。
 ここに立っているおじさんが最初から最後までつきっきりで焼き加減の管理をしている。近火にして焦がしてはいけないし、遠火にすると焼きあがるタイミングがそれぞれバラバラになったりして、それもあまりよろしくない。
 それからこの写真には写ってはいないが、実はこのまわり、特にぼくが写真を撮るために立っているあたりには、ガウチョというこのあたりのカウボーイらが十数人、片手にビノと呼ぶ赤ワインの入ったカップを持ち、片手に愛用のナイフを持って、焼きあがるのを今や遅しと待ち構えている。
 だから日本でいう焚き火奉行兼料理人が管理していないと、まだすっかり焼け切れていないうちに、旨そうなところをどんどん切り取ってしまうから、その厳しい監視の役目もあるのだ。羊全体がアチアチになると、アヒという南米独特のトウガラシ系の香辛料を丁寧に塗り付けていく。これを焼きあがるまで五、六回繰り返す。
 そして三つの羊が裏表ほどよく焼けると、このおじさんの許可が出る。するとみんなはどっと殺到し、もう長いことこのでっかい羊焼きを食べていておいしい部位は知りつくしているので、みんなそこを狙う。焦げる寸前ぐらいまできつね色に焼けた表皮と、その内側の脂肪とさらに内側の肉の三つを上手に一緒にくり抜くのがいちばんうまい肉の切り取りかたなのだ。
 ぼくは最初の頃はまだどのあたりがうまいのかわからなかったし、どうやって食べるのかもまわりの人の見よう見まねであったから、見事に後れを取ってしまったけれど、今いったような切り取りかたをして、やっと口に入るぐらいの塊にして噛み切る。羊の皮がまずチリチリして香ばしく、その内側の脂と肉が三位一体となって、いやはやうまいのなんの。
 肉を飲みこんだあとすぐに、赤ワインを飲む。ぼくが最初に行った頃は、チリのワインがどれほどうまいのか知らなかったが、カウボーイ向けに造られているわけではないだろうが、甘ったるくなくむしろ荒っぽくて、のどから胃にかけてギリギリ刺激してくるような強烈さがすばらしかった。>

 写真は椎名さんの説明のとおりであるが、説明には次のようにある。
<わかりにくいかもしれないが、まだ若い羊の丸焼きが右側に並んでいる。最初の頃は牧場の犬が、焼けてくると牧童たちのスキを見て少しずつかじりにくる。>


 もうひとつは、“異次元”のなかの「パンタナールの牛追い」である。

<ブラジルのパンタナールは世界最大の湿原だ。日本最大の湿原は尾瀬ヶ原だが、あんなかわいらしいスケールのものではなく、日本の九州ぐらいのスケールでひろがっているとてつもなく巨大な、しかも場所によっては危険なところだ。
 野生動物で頻繁に目にするのはワニで、湖沼があるとその中にはワニがうじゃうじゃいると思っていい。変温動物のワニは水の中と陸をうまく使い分け、陸に上がっているときはみんな並んで、要するにひなたぼっこをしている。いくつか流れている小さな川にはピラニアがたくさんいて、季節と場所によっては渡るのが危険な場合がある。
 このパンタナールでぼくは本当のカウボーイの仕事をした。約五百頭の牛を四十キロほど離れた牧場に運ぶという仕事で、ぼくも馬に乗りテンガロンハットをかぶり、群れのいちばん左の後ろを担当ポジションとして与えられた。西部劇などで見ていたが、いつか体験したいとあこがれていたことがついに実現したのだが、しかしあのカウボーイ(ブラジルではピヨンという)という仕事は思っていた以上に厳しかった。まずかなり大型の馬を自在に繰らなければならない。牛は隙があると群れから逃げ出し、付近の木立に入り込もうとするから、しんがりといえども油断ならないのだ。
 ぼくは世界各国で馬に乗ってきたので馬を御することはできたが、牛はベテランだろうが新参者のカウボーイだろうがお構いなしに隙をうかがって逃げようとする。見つけるとそれを追って行って、逃げた牛の背後に回り群れに戻すのを何度もやる。
 二泊三日の旅だったが、ぼくがカウボーイの旅にあこがれていたのは、映画などでよくみるように、夕方になって焚き火を囲み、みんなとその日のことを話しながらウイスキーなど飲み、誰かがギターを弾く、なんていうことを密かに楽しみにしていたからだ。
 ところが、一日中仕事として牛を追っていると、その日の行程が終わったころには全身ががたがたになっており、馬から降りると早くも足はガニマタ化しており、普通に歩けるようになるまで二~三十分かかった。もう焚き火をやる余裕もなく、乾燥肉を混ぜたごはんを食べたら、みんな寝てしまうのだった。
 翌日、リーダーから今日はこのルートで一番大きな危険な川を渡るので、そこで事故を起こさないように注意しろ、という指示があった。ピラニアがたくさんいる川を渡るのだ。牛たちもそのことを知っているのか、なかなか川へ突進していかない。カウボーイたちはピストルを鳴らし鞭で大地を叩き、牛たちを川へ追い込む。ピラニアが多いときはいちばん年老いた牛を殺して、そこにピラニアを集中させ、その隙に渡るという。その日は子牛もずいぶんいたので、これも狙われやすい。川に入ると人間の下半身も水の中だから、こっちだって全く安全ではないのだ。
 食いつかれるものもなく全部渡り切ったとき、それまでぎこちなかったカウボーイ仲間とそれぞれ笑顔を交わし合えたのが嬉しかった。>

 写真は、向こうからカウボーイたちに追われて川を渡っているごった返す牛たちの群れである。
 説明にはこうある。
<カウボーイたちはピストルを鳴らし牛たちを川へ追い込む。ピラニアのいる川を本能的に怖れているらしく牛たちはなかなか渡ろうとしない。やがて大型の強そうな牛からしぶしぶ突入していくようになる。>


 くしくも、国は異なるが南米のカウボーイたちの話を選んでしまった。馬に乗っての荒野の旅というのに憧れているからかもしれない(^^ゞ。
 それにしても、一番目の羊の開きの丸焼きというのは旨そうである(^^ゞ。
 二番目の話では、思い出したことがある。もう相当前だが「世界残酷物語」(1962年公開)という記録映画があった。世界の野蛮で残酷な奇習・風俗を描いたドキュメンタリー映画である。 捏造されたものもあるという噂があった、ちょっといかがわしい映画だ(^^)/。
 その中で、牛が無数のピラニアに食いつかれて、見る間に骨だけになっていくという映像があったのである。
 椎名さんの書いていることを読むと、本当のことだったようだ(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『この道をどこまでも行くんだ』 椎名 誠 著、新日本出版社 刊、1760円、19.09.05. 初版

この道をどこまでも行くんだ
この道をどこまでも行くんだ

<後記>この本に載せられた写真とエッセイは、椎名さんが世界各国を巡った時に、とても興味を惹かれたことや、それしかないから仕方なく泣きながら食べたもの、思いがけない不思議な光景等々、これは是非書いておきたいと思ったことを集めたものだそうです。
 椎名さんの世界各国の旅の様子は、テレビのドキュメンタリーなどで放送されていてよく観たものです。本も好きでたくさん読んでいます。
 そんなところに出てきたものもありますが、それに入りきらなかった写真やエッセイがたくさん載せられていて面白かったです。
 椎名さんも今年で75歳だから今までのようにはいかないでしょうが、これからも“この道をどこまでも行くんだ!”なんでしょうね(^^ゞ。
 興味のある方は、是非、見て読んでみてください(^^ゞ。

 昨日(7日)の朝は、カミさんが着付けの仕事に行ったので散歩に出ました。尾根道を上っていきます。

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 上の最初の写真もそうですが、赤い朝日が射していました。

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 東の東京湾を見ると、海面がキラキラと光っています。
 尾根に出ると、

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 ちょっと薄めだが富士山が見えました(^^ゞ。

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 帰り道で南の空を見ると、こんな感じで快晴の青空が広がっています。

 日中は、昼前に買い物に出た以外は、ダラダラと過ごしました(^^ゞ。午後になると雲が増えてきました。

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 SORAは廊下の陽だまりでのんびりと寝ていることが多かったです(^^ゞ。

 夕方の散歩は4時15分ころに出ました。

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 南の空です。雲が多い。
 公園を斜めに上っていきました。

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 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 どこを見ても、大きな雲が強い西風に流れています。

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 南の空に、うっすらと月が見えました。わかるでしょうか?(^^ゞ。

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 ベンチに行きました。

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 西空には黒雲が次々と湧いてきます。

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 しばらくすると、

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 西の方の雲がわずかに染まってきました。
 追ってみます。

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 昨日の小焼けは、ここまででした(^^ゞ。

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 帰ることにしました。

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 月はさっきと同じように、雲を通してぼんやりとしか見えませんでした。

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 今日(8日)の横浜の南の端っこの天気は、晴れますが、午後はしだいに雲が広がってくるようです。
 昼間の気温は昨日よりも上がらず、肌寒そうです。

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