『熊の皮』



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          〔夕日がガラスに反射していた(^^ゞ〕

 米国のアパラチア山脈の厳しくも雄大な自然を舞台に、男の闘いを詩情豊かに描く冒険ノワール小説『熊の皮』を紹介する。
 作家ジェイムズ・A・マクラフリンのデビュー作で、本年度のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞した。

 プロローグは、次のように始まる。


<   プロローグ

 ここへ来て迎えた最初の晩、ライスは鋳鉄(ちゅうてつ)製の水道管を枕の下に忍ばせて、寝たふりをした。一方の端にスケートボード用のすべりどめテープが巻きつけられたその鉄パイプは、わざわざ金を払って手に入れたものだった。ブーツの中敷きの下に隠し持っていた、湿り気を帯びてぺしゃんこになったなけなしの百ドル札が、そのおかげで消え去った。足りないぶんの現金は、何も問題がなければ、もうじきアメリカからあいつが届けにやってくるはずだ。それも加えれば、しめて三百USドルを支払うことになる。法外な値を吹っかけられたってことだけはまちがいない。
 同房の男は自分の寝台で、折りたたんだエル・ウニベルサル紙を読んでいる。数分ごとにページをめくりながら、紙面から目を離すことなく煙草に火をつけ、すぱすぱと煙を吐きだしている。かれこれ数時間ものあいだ、ライスの存在に気づいているそぶりすら、一度も見せていない。
 室内の光に変化が生じた。影が――ふたつの人影が――開けっぱなしの出入口をすりぬけてきた。予想よりも早い。すでに誰かが必要な計算を済ませ、リスクを推(お)しはかったすえに、とある決断をくだしたのだ。ライス自身に価値はないが、あのアメリカ人の若い女にとってはだいじな存在だ。麻薬取締局(DEA)はその点を梃子(てこ)にして、女を動かそうとするだろう。ライスをアメリカへ連れ戻すことを、おそらくは餌(えさ)にするだろう。ならば、先手をとってその餌を始末しておこうというのが、シナロア・カルテルならではの伝統的な手法だ。狡猾(こうかつ)にして、残虐な手法。
(後略)>


 ここに出てくるライス・ムーアという男が主人公である。
 かつて、生物学者としての勉強をしていたが、アリゾナ州で、恋人のエイプリル・ウィットソンが病気の妹のためにやっていた麻薬カルテルの運び屋の片棒を担いでいた。
 ところが嵌められて、メキシコの警察に捕まってしまった。
 プロローグはその時の刑務所の話で、このあと命を狙われるのである。

 出所したライスだったが、エイプリルがカルテルの殺し屋に残虐に殺されてしまう。
 彼は復讐として、その殺し屋を殺すのだが、同じく殺し屋のその兄に命を狙われることになってしまった。
 身の安全を図るため、現在のライスはアパラチア山脈の一角に位置するターク山自然保護区の管理人の職を得て、人里離れた山奥で世捨て人のような生活を送っていた。
 この自然保護区はトラヴァース財団が長年所有するもので、その会長であるスター・トラヴァー・ピンカートンという女性に、ライスは気に入られたのである。

 彼は名前もリック・モートンと変え、日々、野生の動植物を観察しては記録するという地道で孤独な作業に明け暮れていた。
 語ることのできない過去から逃れるため、他者とのかかわりをすべて断ち切ると決意していたライスにとっては、ターク山は恰好の隠れ場所となるはずだったのだが……

 ある日、手足と胆嚢〔熊の胆(い)〕を切り取られ、全身の皮を剥がれた熊の死骸が、禁漁区である山の中で発見された。
 調べていくと、熊の手足や胆嚢は中国への密輸品として、ブラックマーケットで高額で取引されているらしいとわかってくる。 
 生物学者を志していたライスとしては許すことができない。極悪非道の密猟犯を捕えるため、危険を承知で調査に乗り出した。
 保護区の前任者で、何者かによりレイプされたことが元で退いていたサラ・ビルケランドの協力も得ることができた。
 しかし、地域の荒くれぞろいの猟師たちからはあからさまな敵意を燃やされ、不法行為を繰り返すバイカーギャングとも対立していく。
 さらに、彼の命を狙うカルテルの殺し屋の魔の手も背後に迫ってきた。

 はたしてライスは、巧妙な罠を仕掛けて熊を狩る卑劣な密猟犯を捕えることができるのだろうか?
 先任の管理人で生物学者のサラをレイプした犯人を見つけ出すことができるのだろうか?
 最初に熊の死骸の在りかを教えてくれた、神出鬼没の森の住人で片腕のない男の正体は?
 複雑に幾重にも絡みあった謎が、しだいに解きほぐされていくのだが……
 殺し屋も迫り、ライスは命の危険にさらされていく。
 ガンバレ! ライス!(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
『熊の皮 BEARSKIN』 ジェイムズ・A・マクラフリン 著、青木千鶴 訳、ハヤカワ・ミステリ、2090円、19.11.15. 発行
 著者について、カバー裏や「訳者あとがき」から紹介しておきます。
<ヴァージニア州の山のなかで生まれ育つ。ヴァージニア大学で法学士と美術学修士の学位を取得した。ネイチャー系の雑誌などにエッセイや短編小説、風景や野生動物の写真などを寄稿。2018年に初の長篇小説となる本書を上梓し、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞した。
 現在はユタ州ソルトレイクシティの東に位置するワサッチ山脈に暮らしながら、本書と関連のある二篇の小説を執筆中である>

熊の皮 (ハヤカワ・ミステリ)
熊の皮 (ハヤカワ・ミステリ)

<後記>ちょっとネタバレもしたし、単純すぎるあらすじの紹介になってしまいました(^^ゞ。
 大自然のなかで繰り広げられるワクワクドキドキのサスペンス溢れる冒険ノワール小説で、とても面白いのです。

 それに、先任の管理人で生物学者のサラ・ビルケランドという女性が、なかなか魅力的です。
 繊細な単なるインテリではなく、逞しさを備えた美人で、生物学者としても優秀です。思いやりや優しさもあり、ライスと彼女はしだいに惹かれ合っていくのです(^^ゞ。

 本書の文章というか描写が詩情豊かですてきなのですが、巻末の「訳者あとがき」に次のようなことが書かれていました。

<最後のページをめくり終えたときの感覚を、どうお伝えすればいいだろう。深い森からようやく抜けだしてきたような、それでいてもう一度あの場所へ戻りたくなるような、なんとも名状しがたい不思議な余韻。物語の舞台となるターク山は、チェロキー族に言い伝えられるところの〝ひとならぬもの〟がさまよう山――あまたの異様(ことざま)の山――と呼ばれている。鬱蒼と木々が生い茂る森の内奥で、ライスは密猟犯を追いつめるべく森に溶けこみ、同一化していく。読み手もまたその目を通して、森のなかをさまよい歩くこととなる。大自然のなかで生まれ育ってきたという著者だからこそ表現できたのであろう、真に迫りながらもどこか詩的で濃密な情景描写が、読む者の五感を刺激する。大地の香りや、朽ちゆく肉の腐敗臭、野生動物の体毛の感触、東部山岳地帯に特有の湿気や熱気、ひんやりと肌を撫でるそよ風、かすかな木漏れ日、夜の闇、虫の音や鳥のさえずりまでもが、じかに感じとれそうなほどだ。自然を愛する著者の森に対する畏怖と敬意とが、ありありと伝わってくることだろう。>

 自然や動物やミステリーや冒険物のお好きな方に、お薦めの一冊です(^^ゞ。


 今日(16日)も朝から秋晴れになりました。気温は17℃くらいまで上がりましたが、肌寒かったです。
 日中はダラダラと過ごしました。

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 SORAが炬燵のバカ親父の脇で寝ています。最近、ここで寝ることが多いです(^^ゞ。

 夕方の散歩は4時ちょっと前に出ました。

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 夕日の光が強くて眩しかったです。
 公園を斜めに上っていきました。

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 雲ひとつない快晴で、濃い青空が広がっています。
 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 テニスコート脇を回ることにしました。

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 原っぱに戻ってウロウロしていきました。

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 ベンチに座りました。

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 夕日は沈んでいきました。

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 北の空とサッカーボール(^^ゞ。

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 原っぱに舞い下りたカラスが、チョコチョコと歩いてきて、隣のベンチに上がりました。
 子どもたちが持ってきたオヤツか何かを狙っているようです。
 石を投げるまねをしたら、逃げていきました(^^)/。

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 しだいに暗くなってきました。

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 SORAはお座りをしながら、あちこちのワンコを見ていました(^^ゞ。

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 北の空とサッカーボール。わかるでしょうか?(^^ゞ。

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 SORAがベンチを下りて、こちらをじーっと見ました(^^)/。
 帰ることにしました。

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 このあとどうなったかわかりませんが、あまりきれいな夕焼けにはなっていませんでした(^^ゞ。

 明日(17日)の横浜の南の端っこの天気は、陽射しが届いて、お出かけ日和になりそうです。夜になって曇ってくるようです。
 一日の気温差が大きそうです。

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この記事へのコメント

2019年11月17日 06:23
石を投げる真似したらーーー
―遊さん こんなこともするんだー
いいねぇー 
遊哉
2019年11月17日 10:05
☆ seizi05さん、はい、やりますよ(^^ゞ。
 子どもたちのオヤツが取られたら、可哀そうですからね(^^)/。