『ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』


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     〔ネギ坊主みたいな、オオハナニラと思われる蕾(^^ゞ〕

 ヒトとイヌの出会いが、人の言葉や論理的思考などの人間的心の特性を誕生させた、という興味深い話をまとめた本『ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』を紹介する。
 著者は人類学を学び、現在はアイアイの保護活動に邁進している島 泰三(しま・たいぞう)さんである。

 島さんについて、巻末の著者紹介を載せてみる。

<一九四六年生まれ。東京大学理学部人類学教室卒業。
 日本野生生物研究センター主任研究員、ニホンザルの生息地保護管理調査団主任調査員などを経て、現在、日本アイアイ・ファンド代表。理学博士。アイアイの保護活動への貢献によりマダガスカル国第五等勲位「シュバリエ」を受ける。
 著書に『どくとるアイアイと謎の島マダガスカル』上・下(八月書館)、『アイアイの謎』(どうぶつ社)、『なぞのサルアイアイ』(福音館書店)、『サルの社会とヒトの社会』(大修館書店)、『親指はなぜ太いのか』『ヒト』『孫の力』(以上、中公新書)、『はだかの起源』(講談社学術文庫)など多数。>

 本書について、「はじめに」に次のようなことが書かれている。

<かりに、真理を犬であるとしてみよう。
 犬がいたからこそ大型類人猿の一種「ヒト」は「人間」らしくなり、犬がいたからこそ「ヒト」は「未開」を脱し、ついに現在の「文明」にまで至ったのだ、と。
 それは、牧羊犬がいたので家畜が飼えたとか、猟犬との協同作業によって狩猟が効率的になったとか、トラやライオンなどの捕食獣や敵対する人間グループからの攻撃から身を守る重要な役割を果たしたのが犬だったというような、人間と犬との利害関係や友好関係から説明をしようとしていうのではない。
 これらの犬の有用性は、人間との関係からいえばうわっつらの問題にすぎない。犬がもっている本質的な問題は、利害関係という域を超えている。それはもはや切り離せない共生関係、つまり運命共同体である。
 ミトコンドリアはもともと別の生物だったが、細胞の中に入ってきて特別な役割を果たすようになり、今ではそれなしには細胞は生命を維持できない。ちょうどそれと同じような関係が犬と人間にはできている。その関係は、狩猟や防衛や介護などはもちろん、それ以上の問題、人間の心の問題のすべてに及んでいる。
 それを思い切って言ってしまえば、犬は人間的な心の特性の誕生のすべてに関連しているということである。
 もっとも、この考え方そのものは、私自身のものというほどのことはない。それは一部の犬研究者の間では、すでに「新しいパラダイム」となっている。
(中略)
 作家ジェフリー・M・マッソンは、二〇一〇年(原著刊行時)の著作の第三章に、日本語訳の本の題名とほぼ同じ「イヌのおかげでヒトは人間になった」という題名をつけて、パラダイム変換をあきらかにした。彼は人類進化をあつかう人びとは、前提のようにいつもホモ・サピエンスという人類種は自前で「現在の高み」に登りつめたのだと考えているが、この「唯我独尊」こそ「旧来のパラダイム」であり、「私たちだけでここまで来たのではない、犬がいたからだ」と考えるのが新しいパラダイムだとまとめている。
 犬の眷属(けんぞく)を神々と同列においた民族の中でも日本列島住民はことさらで、犬を人間とほとんど同列の存在として扱っている。なぜ、そうなったのか?
 人間の心の特性の誕生に犬が関係しているならば、言葉の起源にも犬がかかわっただろう。人間を他の獣たちと区別する基準が言葉だとするなら、犬こそは人間の言葉の誕生の秘密を指し示している。
「言葉は神とともにあった」という中近東・ヨーロッパに起源をもつキリスト教文明の前提が正しいとすれば、犬こそは神なのだ。
 つまり、「真理は犬」なのである。その意味を解いてみたい。>

 そんなことを説き起こした本である(^^ゞ。

 本書の内容を目次から拾っておく。

はじめに
序章 イノシシ猟の衝撃――二〇一一年二月二三日
第一章 犬への進化
 1 イヌ科動物について……他の動物に先駆けての家畜化/肉食哺乳動物の起源と分岐/イヌ科の祖先/北米からユーラシアへのイヌ科動物の移動/ユーラシア大陸から北米大陸への移動
 2 イヌ科動物たち……ユーカイオンからの分岐/追跡型食肉類として成功したイヌ族
 3 オオカミの遠吠え……神としてのオオカミ/オオカミ研究小史/シンギング・ウルフ(歌うオオカミ)/オオカミは人を襲わない/オオカミは「人がよい」/オオカミの走る能力
 4 オオカミとイヌの時代――気候の激変期……気候の激変時代が七万年前から始まる/最終氷期のただなかイヌの家畜化が始まる
第二章 イヌ、ヒトに会う
 1 エイヤワディ河畔午睡の夢……東南アジアでの出会い/こんな夢を見た――少女に拾われた子犬/夢にあるいくつかの事実の痕跡について
 2 オオカミ南下集団とシンギング・エイプ(歌う類人猿ヒト)……小型化した南下集団/一五万年前から五万年前/四万年~五万年前のシンギング・エイプ
 3 極東のホモ・サピエンス――四万年前から二万年前……ホモ・サピエンスの日本へのルート/アリュート族
 4 イヌの生態的地位――主食と消化能力……よく似たヒトとイヌの生態的地位/犬の主食開発/消化能力――オオカミとの決別
 5 犬の起源……イヌ科動物とヒト属人類との関係/ヨーロッパ起源説――三万年以上前/中近東起源説――二万五〇〇〇年前/アインマラハの犬/東アジア起源説――一万五〇〇〇年前
第三章 犬の力
 1 犬には超能力がある……嗅覚、味覚、聴覚の超能力/人を救う能力/適度な大きさ/集団行動への適応能力
 2 犬に妄想はない……犬と人を比較すると/主人の意図を正確に感じとること/犬には読心力がある/知性的判断と感情的判断――いつも、犬の意見を聞け/妄想に縛られる人、妄想と無縁の犬
 3 犬と人のコミュニケーションのかたち……犬は人の話し言葉を理解する/視線を合わせることの威力/オオカミは人間を振りかえらないが、犬は振りかえる
 4 犬の合理的思考で窮地を脱する……石井さんからの手紙/「アラスカでは、命を守る鉄則は犬から決して離れないこと」/頼りはリーダー犬の頭脳/「犬が論理的に思考できないなんて」
 5 極限を超える旅の道づれ……アムンセン隊とスコット隊の南極遠征/生死の差は犬/究極は戦場である
第四章 「ことば」はどのように生まれたか
 1 「ことば」とは何か?……もっとも古い身ぶり言語/ニカラグア手話と「身ぶり言語」の可能性/ことばは何の役に立つだろうか?/オーストラリア・アボリジニの意思決定手法
 2 音声言語はいつ生まれたのか……カンジは言葉を発声しようとする/ある変わった出来事
 3 犬と暮らす人びとと丁寧な言い方……安藤犬の創造/犬は神である/犬の存在が農耕牧畜の文明を生んだ
第五章 こんなことが信じられるか?
 1 地下鉄に乗って通勤するロシアの野良犬
 2 犬の伊勢参り……ありそうもないことをどのように理解するか/日本人にとって犬とは何か?/これは夢か
 3 人は論理と言葉を犬から学んだ?
おわりに

引用文献


 この本の中身を簡単には解説できない(^^ゞ。
 1万5千年ほど前、イヌとヒトは出会い共生が始まった。やがて、お互いの弱点を補完し合い交流しながら、イヌは犬となり、ヒトは人となっていった。
 人は脳が発達したのはいいが、幻想や感情に惑わされていたが、犬は今を生きることだけを論理的に判断するから、人もそれに影響されていった。
 言葉も名詞や形容詞などの単純なものだったが、犬は人の言葉を理解し、心を読むから、それに合わせてわかりやすく表現するようになっていった。
 そんな感じで、人と犬という運命共同体としての関係性の特異性と起源をわかりやすく解説している、とても面白い本である(^^ゞ。


<今日のお薦め本>
ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』 島 泰三 著、講談社選書メチエ、1760円、19.07.10. 第一刷発行

ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ (講談社選書メチエ) - 島泰三
ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ (講談社選書メチエ) - 島泰三

<後記>犬の種類はとても多くて、その形質の差や多様性には著しいものがあります。世界のいろんな地域の在来種や絶滅した犬種まで含めると、犬種は700~800とも数千ともいわれているようです。
 家畜やペットでもいろんな種類がつくり出されていますが、犬ほど種類が多い家畜(?)はいないと思います。
 それだけ、犬と人とのつき合いは長いし、犬が人の生活に深く組み込まれている証じゃないでしょうか。
 “犬が人の言葉や論理的思考などの人間的心の特性を誕生させた” ということは、ちょっと信じられないと思う方が多いかもしれませんが、犬を飼ったことのある人には多かれ少なかれ思い当たることがあると思います。
 そんなことは信じられないという方はもちろん、犬が好きで興味のある方には、是非読んでいただきたい本です(^^ゞ。

 今日(15日)は午前中は陽射しが届くこともあったものの雲が多く、午後からは陽射しはなくなっていきました。
 最高気温は27℃くらいで、南寄りの風が強く涼しかったです。

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 昼ちょっと前のSORAは、廊下で気持ちよさそうに寝ていました(^^ゞ。
 日中はテレビで映画を観たり、本を読んでいました。

 夕方の散歩は5時ちょっと過ぎに出ました。
 公園を斜めに上っていきます。

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 SORAはどんより雲に覆われていました。

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 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 そして恒例の……

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 このところ毎日気持ちよさそうにやっています(^^ゞ。

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 公園を回ることにしました。

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 SORAはあちこちでクンクンしていきます(^^ゞ。

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 原っぱに戻ってウロウロしていきます。

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 草つき斜面を下りていくことにしたのですが、SORAは気になることがあるようです。

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 気になる、気になる。

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 まだ、気になる。

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 まだまだ、気になる。

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 まだまだまだ、気になる(^^ゞ。

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 やっと、諦めました(^^)/。
 何が気になっていたのか? わかりません(^^ゞ。

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 夕方の空にはボコボコとした雲がわりと多かったです。

 明日(16日)の横浜の南の端っこの天気は、雨が降ったり止んだりで、一時的に強まることもあり、夕方は雨のピークを迎えるようです。
 南寄りの風が強く、最高気温も20℃くらいで肌寒くなりそうです。

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この記事へのコメント

2020年05月16日 07:40
イヌは 犬になり ヒトは 人になったーーー
深い!
遊哉
2020年05月16日 08:20
☆ seizi05さん、なかなか深いでしょ(^^ゞ。
 犬と人のつながりは、独特の面白い関係をつくり出していると思います(^^)/。
2020年05月20日 22:07
この本は、私も読んだことがあります。
だいぶ前のことなのでこまかいことは覚えてませんが(笑)、
すごく興味深かった印象があります。

自粛生活のあいだにジャック・ロンドンの『野生の呼び声』
も読みました。
犬について書かれている本って、ホントおもしろいですよね。

遊哉
2020年05月21日 12:28
☆ キーブーさん、この本読んだことがあるんですね(^^ゞ。
 とても興味深い本で面白かったです。人と犬がお互いに成長・影響し合ってきたということがよくわかります。人の言葉の成り立ちに、犬が大きくかかわったということが特に面白かったです(^^ゞ。
 『野性の呼び声』を読みましたか。バカ親父は途中で挫折して放ってありますが、読んでみたい本です(^^;。
 犬と人との関係は興味深いし、犬について書かれた本は面白いですね(^^ゞ。。