『ケルト帝国の秘薬を追え』



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           〔夕空に描かれた飛行機雲〕

 米国の作家クライブ・カッスラーの冒険小説 “ダーク・ビット・シリーズ” の最新作『ケルト帝国の秘薬を追え』を紹介する。
 このシリーズは1973年に刊行されたカッスラーのデビュー作『海中密輸ルートを探れ』がシリーズの第1作で、本作は2019年刊行の第25作になる。
 架空の組織NUMA(国立海中海洋機関)に所属する特殊任務官ダーク・ビットが主人公で、実に46年に及んでいる大好評シリーズなのである。

 昔はよく読んでいたのだが、最近はご無沙汰していた。ところが、作者クライブ・カッスラーが今年2020年2月24日にアリゾナの自宅で亡くなってしまった。
 ということで、懐かしくなって読んでみたのである。
 本作はカッスラー親子の共同執筆で、その形ではこれがシリーズの最終作になるということだそうである。

 驚いたことに、ダーク・ビットはNUMAの長官になっており、彼の双子の子どもであるダーク・ビット・ジュニアは海洋技術者に、娘サマーは海洋生物学者になっていた(^^ゞ。
 ピットの妻ローレン・スミス・ピットは下院議員である。

 プロローグは、次のように始まる。


<   プロローグ ナイル脱出

メンフィス、エジプト
紀元前一三三四年

 むせび泣く声が、陰鬱(いんうつ)な詠唱(えいしょう)さながらに都市(まち)に漂っていた。ドロ煉瓦(れんが)造りの家並(やなみ)が苦痛に引き裂かれ、死の悲しみが逆巻きながら夜の砂漠に流れこんだ。だが風が運んだのは嘆きの叫びだけではなかった。
 風は死臭をもたらした。
 謎(なぞ)の疫病はその一帯に舞い下り、ほぼあらゆる家を襲った。若い者たちの感染が大半だったが、それだけでは止まらなかった。死の爪(つめ)は王室まで捕らえ、王自身をその冷たい手で攫(さら)っていってしまった。
 アトン神殿の物陰に屈みこんで、若い一人の女性が喧噪(けんそう)と死臭を掻(か)き消そうとしていた。月が雲の陰から覗(のぞ)いてあたりに光を投げかけると、彼女は胸の分厚い金(きん)の魔除(まよ)けを撫(な)でさすり、移動する物音に耳を澄ました。履物の革の底が石に擦(こす)れる音を彼女の耳が捉(とら)えた。それで振り向くと、一つの人影が柱廊玄関を出て神殿を横切り彼女のほうへ向かって走ってきた。
 彼女の夫ゲイセロスは背が高く、色の濃い巻き毛をしていて肩幅が広かった。彼の肌はその夜の暑気のせいで湿っていて、妻の手を握り引っ張って立たせた。「川へ行く道は安全だ」彼は低い声で知らせた。
 彼女は夫越しに見つめた。「ほかの者たちはどこなの?」
「船は確保している。さあ、メリトアテン、これ以上手間取ってはならん」
 彼女は振り返って背後に人影を認めるとうなずいた。三人の男が神殿の壁沿いに現れた。槍(やり)と頑丈な剣ケペシュで武装していた。彼女が夫について行くうちに、彼らは追いついて三角に囲んで彼女を護(まも)った。
 ゲイセロスはみんなの先頭に立って、神殿の入口から離れ脇道(わきみち)を先へと急いだ。彼らのサンダルが埃(ほこり)を蹴(け)あげた。遅い時間なのに多くの家がオイルランプを燃やしていて、雨戸の裂け目から光が漏れていた。一行は速い足取りで移動し、黙りこくって以前の首都を横切っていった。
(後略)>


 メリトアテンというのは王女で、ファラオ・アクエンアテンとその妻ネフェルティティの長女である。
 何かの訳があって、エジプトを脱出しようとしているらしい。
 この三千年以上も前のメリトアテンの行動が、この物語の謎の要であり、ダーク・ピットたちをとんでもない陰謀の渦中に引きずり込んでいくのである(^^)/。

 中央アメリカのエルサルバドルにある発電用ダム周辺の村で、子どもたちが謎の疫病で次々と亡くなっていった。
 そんなとき、ダムが何者かによって爆破され、さらにあたりの農村で調査・研究をしていたアメリカ国際開発庁の農学者たちが襲撃を受けた。
 偶然ダムで調査をしていたダーク・ピットと相棒でNUMAの水中技術部長アル・ジョルディーノは、農学者たちのひとりエリーズ・アグイラの命を救った。
 エリーズらは子どもたちが罹っている疫病の原因を探ろうと、ダム湖の水を採取して検査に送ろうとしていたのだが、それが誰かの怒りを買ったためと思われた。
 エリーズはその後も何者かに命を狙われるが、ピットたちが助けることになった。

 一方、米国デトロイトの水路では、故意と思われるオイルタンカーへの衝突事件が発生した。
 NUMAは沈没したタンカーの引き上げに協力することになり、ダーク・ピットたちが乗り込んだのだが、ダイバーが不審な死を遂げた。
 現場では、流れだした原油の浄化作業に、実績がありバクテリアを使う浄化を行うバイオレム・グローバル社も作業をしていた。
 ピットは同社のCEOの娘で現場主任のオードリー・マキーと知り合うが、彼女はなにかを隠しているようだ……。
 そのうちに、世界各地で発生する水難事故と、その周辺で発生する謎の疫病の存在がわかってきた。

 同じころ、エジプトで遺跡発掘に立ち会っていたダーク・ジュニアとサマー兄妹も、何者かに命を狙われた。
 ふたりや考古学者たちが発掘していたのはメリトアテンに関わるもので、エジプトを脱出した彼女が持っていた秘薬〈アピウム・オブ・ファラス〉の謎を追うことになった。
 その秘薬は、ファラオ・アクエンアテンの統治時代に、エジプトが疫病に見舞われたとき、王女メリトアテンが奴隷だったハビル族の集団を救った薬であり、現在は絶滅したシルフィウムという植物からつくられたものだった。
 何者かが、その秘薬の謎とメリトアテンの行方を隠しておきたいために兄妹らを亡き者としようとしたのだった。

 一方、ピット夫妻は、バイオレム・グローバル社のCEOエバンナ・マキーの招待で、世界各国の女性政治家などの有力者とともにスコットランドのネス湖畔に行くが……。
 恐るべき世界転覆計画の陰謀と直面することになる。
 同時に、ダーク・ジュニアとサマーたちもメリトアテンの航海をたどり、スコットランドに飛んできた。

 ピット夫妻と子どもたちは陰謀の謎を解き、怖ろしい巨悪の野望を阻止することができるのだろうか?
 あまり詳しくあらすじを紹介することはできなかったが、複雑に絡みあう挿話が、ラストで収束し大団円を迎える。
 手に汗握る冒険が炸裂する、アドベンチャー巨編である(^^)/。


<今日のお薦め本>
『ケルト帝国の秘薬を追え Celtic Empire』上・下、クライブ・カッスラー&ダーク・カッスラー 著、中山義之 訳、扶桑社ミステリー、各968円、20.07.10. 初版第1刷発行

ケルト帝国の秘薬を追え(上) (扶桑社BOOKSミステリー) - クライブ・カッスラー, ダーク・カッスラー, 中山善之
ケルト帝国の秘薬を追え(上) (扶桑社BOOKSミステリー) - クライブ・カッスラー, ダーク・カッスラー, 中山善之

ケルト帝国の秘薬を追え(下) (扶桑社BOOKSミステリー) - クライブ・カッスラー, ダーク・カッスラー, 中山善之
ケルト帝国の秘薬を追え(下) (扶桑社BOOKSミステリー) - クライブ・カッスラー, ダーク・カッスラー, 中山善之

<後記> “ダーク・ピット・シリーズ” はピットたちが追う謎の解明と、彼らの冒険をただただ楽しめばいいので、とても楽に読み進めることができます(^^ゞ。
 夏の蒸し暑さを解消するにはもってこいの物語ばかりなので、一度是非読んでみてください(^^♪。
 このシリーズでは、映画化されたものもあります。バカ親父が知っているのはマシュー・マコノヒーやペネロペ・クロスが出ていた「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」で、B級映画でしたが面白かったです(^^ゞ。
 このシリーズがこの先どうなるか気にかかりますが、これからは本作の共作者カッスラーの息子のダーク・カッスラーに、ダーク・ジュニアとサマーの活躍の物語を書いていってほしい、とも思ってます(^^ゞ。


 今日(26日)は晴れたり曇ったり、時に雷を伴う激しい雨になったりと荒れ模様で、気温は30℃を超え、蒸し暑い一日でした。
 昼前に買い物に出た以外は、テレビで映画を観ていました。
 夕方の散歩は5時ちょっと過ぎに出ました。ちょっと心配でしたが、晴れていたので傘は持っていきませんでした。

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 雲もありましたが、夕日がしっかり見えました。
 公園を斜めに上っていきました。

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 北東の空には青空が広がっています。

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 夕日が雲に隠れそうです。いろんな形の雲がありました。
 原っぱに出ました。

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 西空の上空には薄雲が舞っています。

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 夕日は黒雲にほとんど隠されてしまいました。

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 SORAはちらっとクネクネスリスリをしました(^^)/。
 ベンチに向かいました。

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 北寄りの西風が吹いていて、雲は東の方にゆっくり流れています。

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 SORAはベンチに上がらず、地面でのんびりしています(^^)/。

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 雲間から夕日がちょっぴり顔を覗かせました。

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 SORAはマッタリしたり、あちこち眺めていました。

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 この北西の黒雲が手前に延びてきて、なんだか怪しい(^^)/。
 帰ることにしました。

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 ところがSORAが動きません。半分寝ているようです(^^)/。
 「帰るよ!」と3回ほど言うと、歩き始めました(^^ゞ。

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 SORAがまたちょっとだけクネクネスリスリをしました。

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 南の空に月が出ていました(^^ゞ。

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 原っぱを下りて帰ってきました。

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 なぜか傘が落ちて……置いて……あります(^^)/。

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 今日の夕方の散歩では、ダイナミックな雲を見られてよかったです(^^ゞ。
 家に帰ってしばらくすると雷が鳴り出し雨となり、ときどき激しく降るようになりました。

 明日(27日)の横浜の南の端っこの天気は、陽射しが届くこともありそうですが雲の多い一日で、雨も降りそうです。時に強く降ったり雷を伴うかもしれません。
 真夏日になり、うんざりするような蒸し暑さになりそうです。

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この記事へのコメント

2020年08月01日 01:05
このシリーズは私も以前読んでいましたが最近はご無沙汰して
ました。そうですか、カッスラーは亡くなっていたのですね。

ピットの双子の子どもたちも大きくなっているのですね。
たしかこの子たち、ピットの知らないところで生まれ育って
いたのではなかったかな。うろ覚えですが(笑)
この作品を読んでいくうちに思い出すかな(^O^)
遊哉
2020年08月01日 12:36
☆ キーブーさん、このシリーズを以前に読んでいましたか。
 長い間読んでいない間に、カッスラーが亡くなっていました。最近は本屋でこのシリーズを見かけると共著が多くなっていたので、カッスラーもだいぶ衰えてきたのかな、なんて思ってたんですけどね。
 ピットの双子の子どもたちというのは、まったく記憶にありませんでした(^^ゞ。それだけ長く読んでいなかったということです(^^)/。
 久しぶりに読んで、やっぱりこのシリーズは面白いです(^^ゞ。