携帯電話で失うものは?

 昨日、長女から携帯にメールが入った。越後湯沢へ、スノボーをやりに行ったという。道路の両脇が3mくらいの雪の壁になっていて、立山・黒部アルペンルートみたいだった、ということだった。
 同じメールがカミさんのほうにも入っていたのだが、なんとそっちには彼氏とのツーショットの写真も添付されていた。「コノヤロー」と思ったのだが、この彼氏と長女は学生時代から5年も付き合っていて、途中2、3度「アイツとは別れた」なんて聞かされたりしたのだが、いつの間にかまた戻っている。まぁーこれは何やかや言っていても、続くのだろうな、とは思っているのだが……

 それはさておき、バカ親父が携帯を持つようになって2年弱となった。携帯電話なんて、電波のヒモが首に繋がっているようで、うっとうしい。
 テレホン・カードを持ち歩いて、必要なら公衆電話を使えばいい。こちらから掛けるのはいいが、こっちに掛かってくるのはゴメンだ。「あんなもの、誰が持つか!」と思っていた。

 ところが、女3人に説得されて、持たされる羽目になってしまった。カミさんからは、「うちには、年寄りがいるんですから、もしもの時に連絡がとれなきゃ困るでしょ!」(言っときますが、「年寄り」とはバカ親父のことではありません。バカ親父の親父のことです)と言い寄られ……うん? じゃなかった、言い負かされ、娘2人からは「携帯持ってると、楽しいよ。いつでも、どこでも話ができるんだから」と言われ、「おっ、そうか」と思わず言ってしまったのが、運の尽き。
 それに、街なかのちょっとしたところにあった公衆電話がめっきり少なくなり、見つけるのに手間がかかるようにもなってきたしね。なんて言い訳をしつつ、自分で自分を納得させたという次第である。

 今でも使うのは多くなくて、家族内と悪友とだけくらいだが、娘たちから掛かってくる電話とメールはうれしいねぇ。そんなとき傍から見たら、バカ親父の目尻はきっと下がっているに違いない。

 でも、とふと思った。たとえば、バカ親父にはもうそんなことはないけれど、若い恋人同士が待ち合わせをしていて、「遅いなあ。まだかなあ。今日はこないのかなあ」と、ドキドキしながら待っている、なんてことはなくなってしまっただろう。
 遅くなったり、行けそうもなくなったら、携帯をかければいいんだから……あのドキドキ感って、いいもんなんだけどねえ。
 それに、これもバカ親父には関係ないけれど、世のおとっつあんも悪いことはやりにくいだろうね。携帯の呼び出しに出なければ、後で文句を言われ、出たら出たで「あなた今どこにいるの! 早く帰ってきなさい!」なんて言われるんだろうな。今は映像も送れるから、どこに居るかもわかってしまう。ヘタなところにいたら、大変だ。
 ますます、世のおとっつあんは飼いならされることになっているんじゃあないのかなあ。

 便利になるっていうことは、いいこともあるけれど、失うこともいろいろあるんだよねえ。他のことでも、そうだと思うけど……

 ちなみに、バカ親父の携帯は、カメラもついていないし、大文字で大きな画面のシルバー用ってやつなのだ。

<今日のお薦め本>
「話の特集 2005 話の特集 創刊40周年記念号」 WAVE出版 刊、1,000円(税込)
 これは本といっていいのか、雑誌といっていいのか。やっぱり、雑誌なんでしょうね。ただ、厚みが2cmはある雑誌です。「話の特集」というのは、若いころよく読んだ雑誌で、ユニークな編集と執筆人、イラスト陣の充実ぶりで、話題になったものです。
 和田誠、長新太、花柳幻舟、矢吹申彦、黒田征太郎、山下勇三、立木義浩、長友啓典、そして草森紳一などの名前に懐かしさを覚える方は、是非一度、手にとって見てください。編集人は昔と変わらず、矢崎泰久です。

<後記>便利さを追求していくと、失っていくものがありますよね。
 失いたくないものがあれば、バカ親父は抵抗していこう、と思っているんですけど。そうは、抵抗ばかりしているわけにもいかなくてねぇ……

話の特集 2005 創刊40周年記念

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