一石二鳥の人工海底山脈

画像 昨夜は9時から、テレビ東京の木曜洋画劇場で「ウォーターワールド」を観た。公開時に観られなかったので、これは見逃せなかったのである。
 ケビン・コスナー主演で、懐かしい「イージー・ライダー」のデニス・ホッパーが悪役で出ている。SFアドベンチャーもので、地球が海水に覆われてしまった世界の話である。理屈なしで楽しめた。

 というわけでもないが、夕刊(朝日新聞)に海に関する面白い記事が載っていた。“人工海底山脈CO2を抑制 ― 魚の繁殖と「一石二鳥」― ”というタイトルである。
 次のような仕組みで、CO2を抑制できるのである。

・ 海底に人工海底山脈を築く
    ↓
・ 人工海底山脈にぶつかった海流が上昇する時に、海底の栄養分を押し上げる
    ↓
・ 栄養が少なかった海面近くで植物プランクトンが繁殖する
    ↓
・ 植物プランクトンが光合成により、大気中のCO2を取り込む
    ↓
・ 取り込まれたCO2は、植物プランクトンそれ自体とそれを食べた動物プランクトン、魚などの糞や死骸となって海底に沈着する

ということである。

 長崎県平戸市の生月(いきつき)島沖合いは海底が平らで魚が棲みにくかったという。
 そこで00年に魚の繁殖を助けるため、島の5km沖、水深100mの海底に、近くの火力発電所から出た廃棄物の石炭灰を再利用したブロックを使い、高さ12m、幅60m、長さ120mの人工海底山脈をつくった。
 その結果、海面近くで植物プランクトンが大発生し、それを食べる動物プランクトンや魚介類が集まるようになり、完成後3年で、周辺のアジやサバの漁獲量は6倍になったという。

 同時に、水産庁が、海面近くで増えた植物プランクトンの量から、表層に戻りにくい中深層に運ばれるCO2の固定量を計算した。
 その結果、生月島沖の人工海底山脈のCO2固定量は、1年で3500トン余りとなり、日本の代表的な落葉広葉樹のブナ・コナラ林なら186ヘクタール分、熱帯林でも173ヘクタール分に相当することがわかったという。これは、東京ドーム約40個分の広さに相当するらしい。
 プランクトンの死骸は、対馬海流によって水深800~1000mの日本海北部に運ばれ、数百年は表層に戻ることはない、ということである。

 人工海底山脈には、本来の目的外に想定していなかった「地球温暖化抑制効果」があったのである。
 水産庁計画課は、人工海底山脈は「維持費はかからず、半永久的に効果が期待できる。今後はCO2の固定がしやすい位置や水深を選んで整備したい」としている、ということであった。

<後記>今の日本では、落葉広葉樹の森林を増やすことがとても大事だと思いますが、それには年月がかかります。森林を増やすと同時に、この人工海底山脈というのは、魚の繁殖とCO2の固定という一石二鳥を狙えるので、なかなか面白い方法だと思います。
 以前から、廃船やコンクリートブロックなどを漁礁として海底に沈めていましたが、もっと大々的に海底山脈を人工的につくろうという発想がいいですね。
 環境破壊につながらないように、地域や水深、海底地形などの選択法や、沈めるブロックを何からつくるかとか製造単価などが課題になるなるかもしれませんが、一層の研究と実用化を推し進めてほしいと思います。

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