打ち水
日本人の知恵の一つとして、「打ち水」というのがある。埃(ほこり)を鎮(しず)めたり、夏の暑さを和らげたりするために、道や玄関先や庭などに水を撒(ま)くことで、その撒く水のこともいう。よく料亭などでは、来客への心遣いとして、玄関や玄関先に打ち水がしてあって、なかなか風情のあるものである。といっても、見ただけで入ったことはないのだが。
この「打ち水」は、古代においては神様が通る道を清めるという意味だったらしいが、江戸時代になると、夏の涼をとるという実用的なものになったということだ。撒いた水が蒸発するときに、気化熱を奪い温度が下がるというわけである。
クーラーなどなかった江戸時代だから、涼を取るためによしずや簾(すだれ)などとともに、打ち水というのも盛んに行われていたのだろう。
子どものころは一般家庭でもわりとやっていたような気がするが、最近はあまり見かけなくなったような気がする。
この古くからある日本の暮しの知恵を復活させ、ヒートアイランド化が進む都市の温度を下げようという試みが行われている。「打ち水大作戦」というもので、第3回世界水フォーラムの事務局が音頭をとり、国土交通省、環境省、東京都などが後援して、2003年8月に第1回の「大江戸打ち水大作戦」が東京の江東区、墨田区、中央区、新宿区の4か所で行われた。
この活動は2004年以降も、全国各地に広がりつつ行われるようになった。2005年には、7月20日~8月31日の間に全国各地で開催され、全国で推定770万人(都内23区で約71~134万人)が参加したという。また、インターネット調査の結果では、打ち水大作戦の認知度は51.4%と半数を超えたということである。
この「打ち水大作戦」は、真夏の気温を下げるという効果のほかに、気軽に楽しく参加できることで、環境問題に対する意識の啓発、ライフスタイル、伝統文化の見直しの機会となったり、コミュニティーで一緒に取り組むことで、環境活動を広げていくきっかけづくりにもなっている。また、政府も地球温暖化対策キャンペーンの一環として、奨励しているという。
打ち水の方法は、次のようになっている。
・ 水を入れるバケツ、洗面器などの容器を準備する。
・ お風呂の残り湯、エアコンの室外機にたまった水、雨水などを利用する。水道水は使用しない。
・ 柄杓(ひしゃく)で撒くのがベターだが、手で撒いてもよい。
・ 道路だけでなく、屋上や壁などに撒いてもよい。
注意点としては、
・ 車の通行量の多い場所は安全のために撒かないようにする。
・ 特に、マンホールの上や急カーブの道路などは、人・自転車・車が滑りやすくなるので撒かない。
・ 午前中の涼しい時間帯に行った方がいい。昼間では、地面が熱せられていてすぐに蒸発し、かえって蒸し暑くなってしまうから。
などだそうである。
この打ち水で、いったいどのくらい気温が下がるものなのだろうか? ある試算によると、東京23区の約40%の約265平方キロメートルで打ち水を行うと、気温低下は2~2.5℃程度になるという。ただし、気象条件や土地利用状況などがさまざまなので、一概には言えないということだが。
この「打ち水大作戦」は今年も、7月23日(大暑)から始まり、8月23日(処暑)まで実施されるということである。詳しくは、「打ち水大作戦2006」をご覧ください。
<後記>今日はほんとに久しぶりに、かんかん照りになりました。夏はこうでなくちゃ、とも思いますが、これが続くとまた嫌になるでしょうね。
うちでも夏の天気のよい日には、カミさんが夕方によく玄関先で水撒きをしています。打ち水というより植木鉢の水遣りのついでに、水撒きをしているというところです。
打ち水をするなら午前中の涼しい時間帯のほうがいい、ということですが、なるほどです。昼間やってもすぐ蒸発してしまいますからねえ。
たまには、風呂の残り湯をバケツに汲んで、柄杓で打ち水をしてみる、というのもいいかもしれません。
"打ち水" へのコメントを書く