第22回 現代学生百人一首
去年も紹介したが、全国の中高校生や大学生らの短歌から100首を選ぶ「第22回 現代学生百人一首」(東洋大主催)の入選作が決まった。応募総数は6万3272首だったという。
今年も、その100首の中から、独断と偏見で好きなものを少し載せてみる。別枠で小学生の詠ったものもあるので、その中からも選んでみた。その他の歌は、ここで見られる。
○ 祖父母や両親、兄弟との関係や想いを詠った歌がある。
幼き日遊び場だった畑作地今では父と僕との職場(高3・田守 健太郎)
「おばあちゃん」三度呼びかけ振り向いた写楽の版画のような笑顔で(中2・小泉 遼)
母作る 料理はいつも 使い回し ぼくの家では 小さなエコだ(高2・田中 翔斗)
食卓でニュースを見ていた祖母が言う「最近皆があやまってるねえ」(高1・大澤 結)
一歩ずつ大人になっていくたびに母の涙に気付いてしまう(高1・石井 春菜)
おばあちゃん絶対詐欺にはかからない孫さえ疑う用心深さ(高3・土田 瑞穂)
わがままで 悪魔のような 妹だが いじめる奴は ただじゃ済まさん(中2・柳 英徹)
今日もまた つき合わされる 学芸会 妹のセリフ 家族覚える(中2・吉岡 琴美)
入試前夜食と共に「がんばってね」湯気でふやけた付箋紙一枚(高3・安永 亜紗)
温もりを感じて開けた弁当の愛情と具は右によってる(中1・名久井 龍成)
梅干やぬか漬けなめものあんこまでもう食べれないじいちゃんの味(高2・吉野 拓哉)
「欲しいもの聞いておいて」とお父さん20回目の結婚記念日(高3・船屋 杏奈)
宝くじ一億円を当てるのに母よ三枚だけじゃ無謀だ(高3・増田 麻理亜)
○ 勉強や就職の大変さなど学校生活を詠った歌
緊張で言葉が続かず進まない先生苦笑の面接練習(高3・成田 琴美)
ピタゴラス笑ってくれても構わない斜辺でコケて滑る私を(高2・池田 由樹)
履歴書の 一字一字に 想い込め 私のやる気 必死に伝える(高3・山川 香菜)
溶接の火のこびとらが踊りだす実習室は炎の舞台(高3・山口 洋平)
試合前 体の震え 抑えつつ 相手選手と 握手を交す(中2・福原 健太)
○ 社会問題や政治、環境などに対する想い
平然と使われ続けた汚染米汚れているのは米か心か(高3・合田 佳祐)
日本にもオバマ旋風巻き起これみんな待ってる頼れる総理(高1・松村 かおり)
食品に 農薬混じる ニュース見て 一瞬とまる 家族の箸が(高3・東 茜)
最近は詐欺や隠蔽多いけど優しい嘘もたくさんあるよ(高2・谷中 文弥)
高熱で体温上がると辛いだろ?地球の今はそんな状況(高3・市川 聡)
○ 小さな生き物にも目を向けている
とんぼの目動きをとめる魔術師はすすきの中の僕ひとりだけ(中2・吉岡 知)
雨上がり自転車にいた先客のでんでん虫で出遅れた朝(中2・上垣内 梓)
○ いろんなことに悩んだり考えたり喜んだりする思春期の心
生も死も書けば一文字十五夜のすすきの中にぽつんとひとり(高1・安藤 弘理)
見つけたらいけない気がする何故だろう青い色した幸福の鳥(高3・鎌田 美紅)
縛られた規則の中で僕達は本当もウソも分からなくなる(予備校生・横井 光太郎)
「ここどうぞ」勇気をだしたバスの中足取り軽いその帰り道(高1・永井 優)
○ 思春期の恋する気持ちがやるせない
口に出せぬ想いを心に秘めたまま君の姿を目が追っている(高3・佐藤 優太)
春がきた 私はあなたへ まっすぐに スクスクのびる 恋するつくし(中2・河内 萌)
君の名の漢字を辞書で引いてみる心のしおりそうっとはさむ(高2・宮下 唯)
こんなにもキレイにノートをとるのはね君に「貸して」と言われたいから(高2・榊原 香菜)
氷解すあなたが「好きだ」と言ったからコンプレックスの永久凍土(高2・山下 友子)
ミシガンの春の天気はあなたのよう明るい陽射しのあとは地吹雪(米国High School 1・Alex Yang)
<小学生の部>
まだ生きているよと蟻を追いはらい消えゆく蝉のいのち見守る(6・野原 彩佳)
やきたてのさんまにジュワーっとしょうゆかけもうたまらないごはんおかわり(4・重吉 彩乃)
みつまたの花の名を知る春の朝ばあばと歩く哲学の道(4・小川 美紀)
学力テストすごくつかれてくたくただいい点数でありますように(6・町田 桐哉)
<後記>毎年のことですが、それぞれがなかなか面白くて、その感性に驚かされます。
こういう若い人たちの歌を読むと、懐かしいというか、忘れちまったものがあるなあというか、今はもうどうあがいても取り戻せないものがあることに愕然とするのです。
みなさんは、どう感じられたでしょうか。
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