『20世紀の幽霊たち』

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 怪奇幻想短篇小説集『20世紀の幽霊たち』の紹介である。
 作者はジョー・ヒル(Joe Hill)。聞いたことのない名前である。

 この短編集がデビュー作だそうだが、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞したという。
 カバー裏の著者紹介には、1972年、米メイン州バンゴア生まれ。95年バァッサー大学卒業。二十代で創作を始め、2005年、本書でデビューとあった。

 とても面白くて読み応えのある短編集だったのだが、巻末の東 雅夫さんの「解説」を読んでいて、びっくりした。
 なんと、このジョー・ヒルは、あのホラー小説の第一人者スティーヴン・キングの次男坊なんだそうである。鷹が鷹を産んだというところだろうか。

 まずは目次から紹介してみる。次のとおりである。

序文 クリストファー・ゴールデン
謝辞
年間ホラー傑作選 Best New Horror
二十世紀の幽霊 20th Century Ghost
ポップ・アート Pop Art
蝗(いなご)の歌をきくがよい You Will Hear the Locust Sing
アブラハムの息子たち Abraham's Boys
うちよりここのほうが Better Than Home
黒電話 The Black Phone
挟殺(きょうさつ) In the Rundown
マント The Cape
末期(まつご)の吐息 Last Breath
死樹 Dead-Wood
寡婦の朝食 The Widow's Breakfast
ボビー・コンロイ、死者の国より帰る Bobby Conroy Comes Back form the Dead
おとうさんの仮面 My Father's Mask
自発的入院 Voluntary Committal
救われしもの The Saved
黒電話〔削除部分〕 The Black Phone 〔deleted part〕
収録作品についてのノート Story Notes
 訳者あとがき
 〔解説〕ジョー・ヒルという名の希望(ホープ)

 タイトルを見ているだけで、なんだかゾクゾクしてこないだろうか(^^ゞ。

 短編集の紹介は難しい。特にこうした怪奇幻想短篇小説となると、なおさらである。
 だいぶ前だが、テレビで洋物の「トワイライトゾーン(ミステリーゾーン)」という連続ものをやっていたが、本書はあんな感じである。
 日本でいえば「世にも奇妙な物語」に相当するだろうが、その中でも傑作ばかりを集めたものといえるだろうか。
 ホラーと言えるものもあるが、やはり怪奇幻想ものといったほうがよさそうである。
 
 ここでは、巻末の東 雅夫(アンソロジスト)さんの「解説」に、本書の面白さを紹介しているところがあるので引用してみる。

<開巻いきなり(とはいえ「謝辞」の中に挿入されている愛すべき小品「シェヘラザードのタイプライター」を一作目にカウントすれば二作目ということになるが)、活字の背後に蟠(わだかま)る闇(やみ)の力に翻弄(ほんろう)されつつ惹(ひ)きよせられてゆくホラー小説のアンソロジストを描いて、とても他人事とは思えない「年間ホラー傑作選」の薄気味悪さに魅了されたのを皮切りに、続く「二十世紀の幽霊」では、ヒルの映画と怪談への偏愛ぶりがなんとも好ましく、作者みずからバーナード・マラマッド風のマジック・リアリズムと称する「ポップ・アート」の哀切な不条理世界に一気に涙腺(るいせん)がゆるんだかと思えば、カフカと五〇年代モンスター映画を絶妙にリミックスした趣の「蝗(いなご)の歌をきくがよい」の剛毅(ごうき)な筆力に驚かされ……といった具合に、どの収録作にも抜かりなくひそめられた作者の奇計と叙情と巧妙なるストーリーテリングに、ことごとくしてやられた次第。こと短篇に関しては、すでに親父さんを凌駕(りょうが)したと評しても、決して云いすぎではないのではなかろうか。
 ところが、である。
 さらに驚くべきことに、粒ぞろいと云うべきそれら前半の短篇群は、実のところ後半にひかえる三大傑作――ゾンビ映画へのオマージュにして人生のほろ苦き妙味に迫る「ボビー・コンロイ、死者の国より帰る」、繊細な少年の不安なまなざしを通して家族の危うさ儚(はかな)さを浮き彫りにする「おとうさんの仮面」、ざらりとした日常の感触が瞬時にしてラヴクラフト流の異界神話(熱心なラヴクラフティアンならば、作中まことにさりげなく言及される「レン平原」の由来にお気づきだろう)へと反転する集中第一の雄篇「自発的入院」の三連打で興奮の頂点に達する「ジョー・ヒル体験」の露払いにすぎないのであった……。>

 ちょっとわかりにくいところがあるかもしれないが、本書の雰囲気がよくわかったのではなかろうか(~_~)。
 怪奇幻想短篇小説ではあるが、そのなかに、東さんの言葉を借りれば“哀切な不条理世界”や“叙情”、“人生のほろ苦き妙味”、“家族の儚さ”などを描いていて、読み応え十分の傑作集なのである。


<今日のお薦め本>
『20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル 著、白石 朗 ・安野 玲・玉木 亨・大森 望 訳、小学館文庫、980円(税込)、08.09.10. 初版第一刷発行

<後記>本書の中でバカ親父が好きなのは、「ボビー・コンロイ、死者の国より帰る」です。ホッとできる結末が待っています。
 文庫本としては厚めですが、短編集のいいところで少しずつ読めるので、持ち歩いて時間のある時に読むには打ってつけです。
 いろんな面白さを堪能できて、読み応えがあると思います。

 今日は朝から雨が降ったりやんだりです。朝の散歩の時は激しい雨で、バカ親父もSORAも合羽を着ていましたが、だいぶ濡れてしまいました。
 カミさんも仕事でいないので、今日は読書三昧です。
 みなさんは、どんな日曜日を過ごしてるんでしょうか(^^ゞ。

 昨日の夕方の散歩の途中、道路を歩いていたらワンコの鳴き声が上の方から聞こえました。

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 中央にいますが、わかるでしょうか。ベランダの穴からダックスが顔を出して、通りかかるワンコにワンワンと吠えていました(~_~)。

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20世紀の幽霊たち (小学館文庫)
小学館
ジョー ヒル

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