『味写入門』
今日は、写真集の紹介である。
といっても、ちょっと変わった面白い写真を集めた本である。
タイトルは『味写入門(あじしゃにゅうもん)』。
「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載('04~'08)された「天久聖一の味写入門」への投稿作品から厳選し、著者の天久さんが新たに書き下ろした解説を加え、再構成したものだという。
いわゆる「味のある写真」を集めたものだが、著者の説明によると、こんな写真のことを指す。
昔は、今のデジカメと違って、フィルムで撮った写真は近所のカメラ屋で現像してもらった。
できてきた写真には失敗写真もあったが、現像代がかかっていてもったいないし、損をしたくないという気持ちもあったから捨てられず、空き箱にいれて押し入れの奥などで眠ることになる。
でも何年か経って、大掃除のときなどに見つけてしまうことがある。
それらの写真は、何度見たって、シャッターチャンスを逃していたり、構図はデタラメ、家族を差しおいて赤の他人が写っていたりするのだが……
そんな写真がどうにも心に引っかかったり、気がつかなかった現場の空気や、人々の思わぬ表情に妙なリアリティが感じられることがある。
一度は忘れ去られた失敗写真だが、そこには、本来の意図とは違った独特の味わいを熟成させていたのかもしれない。
そんな失敗と偶然が絶妙の効果を発揮したものが「味のある写真」(味写)なのである。
なかには、日常の偶然をとらえた見事な傑作もあるし、撮影ミスで苦笑を誘うものや撮影意図がわからないものもある。
しかしそれぞれに味わいがあり、「味写」とはまさに目で楽しむ料理のようなもの。想像力を刺激するごちそうなのである。
そんな味写につけられた著者の解説が面白い。
味のある写真と著者が思ったものを味わっているのだが、それはすなわち妄想をかきたてられ、その妄想を書き綴っているともいえるものである。
神のイタズラといってもいい写真に写った偶然を、写真そのものの面白さととらえ、意味の後づけをしたもの、ともいえるものである。
興味のある方は、本屋での立ち読みでもいいし、図書館で借りてもいいので、一度ご覧あれ(^^ゞ。
<今日のお薦め本>
『味写入門』 天久聖一 著、アスペクト 刊、1050円、10.05.07. 第一版第三刷発行
著者の天久聖一(あまひさまさかず)さんは、本書の奥付から紹介すると、こんな方です。
<1968年香川県出身。1989年、漫画家としてデビュー。以来、主にマンガ以外の分野で活躍中。株式会社来夢来人代表取締役。著書『バングラデシュ日本』(太田出版)、『新しいバカドリル』(ポプラ社)、『バカはサイレンで泣く '09』(扶桑社)、『ブッチュくんオール百科』(ソニーマガジンズ)ほか。電気グルーヴのPVも手がけ、『モノノケダンス』はスペースシャワーTVの「ミュージックビデオアワード 09」で年間最優秀作品に選ばれた。>
<後記>デジカメでは、失敗したと思った写真はすぐに削除しちゃいますが、フィルム写真でプリントしたものは失敗だと思ってもなかなか捨てられないものです。
なにかの折に見つけたら懐かしいものですが、失敗写真はその時は捨てちゃうことが多いです。
本書を見ると、そんな失敗写真にも意外と味わい深いものがあるかもしれないと、思わされます。
デジカメで撮ったものも、簡単には削除できなくなりそうで、コワい(^^ゞ。
* なお、「天久聖一の味写入門」は、ここで見られます。本書に掲載された写真も解説は載っていませんが、見られます。

涙がでるほど!mix ...
面白いが…全体的に昭 ...
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