『パードレはそこにいる』
〔今朝、玄関脇で見つけたドクダミ〕
はじめて読むイタリアの作家サンドローネ・ダツィエーリのミステリー&サスペンス小説『パードレはそこにいる』を紹介する。
異色の二人組が、拉致され行方不明になった子どもとその犯人を追う物語である。
二人組のひとりは、勇猛果敢で機動隊の副隊長だったが、現在は休職中の女性捜査官コロンバ・カセッリ。人目を引く美人である。
もうひとりは、少年時代を誘拐犯に監禁されて過ごし、閉所恐怖症になっている失踪人捜査専門のコンサルタント、ダンテ・トッレである。
プロローグは、次のように始まる。
<灰色のコンクリートでできた湾曲した壁。かすかな音や反響。両腕を広げた長さの倍の直径の円。その丸い世界で少年が最初に学んだのは、自分の新たな名前だった。名前はふたつある。少年が好んで使うのは〝息子〟のほうだ。それを名乗れるのは、正しいことをしているとき、服従しているとき、思考が明晰かつ迅速であるとき。それ以外は〝獣〟と呼ばれる。〝獣〟のときは罰せられる。〝獣〟のときは寒くて空腹だ。〝獣〟のときは、丸い世界は悪臭を放つ。
〝息子〟が〝獣〟になりたくなければ、自分に任された毎日の仕事を覚えておかねばならない。排泄物を入れるバケツはつねに梁から吊り下げ、いつでも空にできるようにしておくこと。水差しはつねにテーブルの中央に置いておくこと。ベッドはつねに整えて清潔に保ち、カバーをきちんと折りこんでおくこと。食事用のトレーはつねに小窓の横に置いておくこと。
小窓は丸い世界の中心だ。少年はそれを気まぐれな神のごとく怖れ、崇(あが)めている。その小窓はだしぬけに開くこともあれば、一日じゅう閉じたままのこともある。その小窓から、食べ物、洗濯をした服やベッドカバー、本、鉛筆を渡されたり、あるいは罰を与えられたりする。
過(あやま)ちを犯すと、かならず罰せられる。ちょっとした過ちなら食事抜き。もっと大きな過ちのときは、耐えがたい寒さや暑さ。あまりの暑さに汗が止まったこともある。そのときは死を覚悟してコンクリートの床に倒れた。けれども、冷たい水をかけられて許された。ふたたび〝息子〟となった。水を飲み、蠅がぶんぶんたかったバケツを掃除することができた。丸い世界の罰は厳しい。執拗で、容赦ない。
(後略)>
章立ては次のようになっている。
Ⅰ 以前/Ⅱ 石の輪/Ⅲ 以前/Ⅳ 昔の友人/Ⅴ 以前/Ⅵ それぞれの家庭/Ⅶ 以前/Ⅷ 羅針盤/エピローグ
「以前」というのは過去の話で、交互に描かれる過去と現在の話が、この物語を色どり深く織りなしている。
ローマ近郊で、ピクニックに来ていた親子3人のうちの母子が行方不明になった。母親は頭を切り落とされるという惨殺死体となって発見され、6歳の少年ルカの消息がつかめない。
警察は父親を容疑者として身柄を拘束したが、機動隊第三課の副隊長コロンバ・ガセッリはどうしても腑に落ちなかった。
彼女は過去に、追い詰めたテロリストの自爆で大怪我を負い、退院後も繰り返しパニック発作を起こしていて、現在は休職中だった。
とても仕事は続けられないと辞職を心に決めていたコロンバだったが、上司である機動隊隊長アルフレード・ローヴェレは行方不明の少年の捜索を命じる。その相棒として白羽の矢が立ったのがダンテ・トッレだった。
ダンテは知る人ぞ知る失踪人捜索のエキスパートでコンサルタントとして働いていた。しかし、その特殊な能力には彼の痛ましい過去が影響していた。
彼は他人と異なる視点で物事を見ることができたが、それは6歳のときに何者かに誘拐され、クレモナのとある農場のサイロに11年間も監禁されていたせいだった。
捜査を進めていく二人だったが、ダンテは少年ルカの行方不明事件の裏に、かつて自分を連れ去り監禁した“パードレ”(「父親」の意)の存在を確信する。
はたして、彼の直感は正しいのだろうか?
半信半疑のまま、彼とともにコロンバは事件の謎を追っていくが、味方のはずの警察は、型破りなふたりに疑いの目を向けるようになる。
孤立無援のふたりは、独自に過去の事件を洗い直し、わずかな証拠を辿っていくのだが……ふたりを待っていたものとは?
パードレの正体も、やがて明らかとなる。
そして、子どもの誘拐・監禁という事件には、過去から現在に至るある身の毛もよだつような謀略が隠されていたのである。
いったい、それは何だったのか?
<今日のお薦め本>
『パードレはそこにいる UCCIDI IL PADRE』(上・下)、 サンドローネ・ダツィエーリ 著、清水由貴子 訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、各994円、16.10.25. 二刷(16.09.25. 発行)
著者について、カバー裏から紹介しておきます。
<1964年、イタリアのクレモナ生まれ。様々な職を経て、1999年にデビュー長篇を発表。映画化もされたノワール小説の〈ゴリラ〉シリーズで人気となったほか、テレビドラマや映画の脚本家としても活躍している。2014年に発表した初のサスペンスである本書は、精密なプロットと印象的な登場人物たちでたちまち話題となり、英米をはじめ多くの国での刊行が決定している。>
<後記>はじめて読むイタリアのミステリー&サスペンスものでしたが、面白かったです。
緻密なプロットとハラハラドキドキの息詰まる展開、歯切れよくテンポのいい描写で、ズンズンと読み進められました。
それに、事件を追っていく二人組のコンビがなかなかいいのです。二人ともPTSDで時々パニックに襲われるのですが、それを互いに補い助け合いながら困難や危機に対処していきます。最初は反発し合っていた二人ですが、しだいに惹かれ合っていきます(^^)/。
次作は執筆中のようなので、いつかまた、この二人に会えるのが楽しみです(^^ゞ。
この本を読んでいて、ひとつだけ困ったことがありました。なにせイタリア人の見慣れない名前がたくさん出てくるので、しっかり意識を保っていないと誰が誰だかわからなくなります(^^ゞ。時々、巻頭の登場人物一覧を見て確認することになったのでした。
ちなみに、外国もののミステリーを読むときには、この登場人物一覧のページにいつも付箋を貼っておきます(^^)/。
今日(13日)は朝から雨で、ときどき激しく降りました。気温が上がらず、肌寒かったです。
カミさんは朝早く着付けの仕事に出かけました。
7時に起きると、ちょうど雨が止んでいたのですぐに散歩に出ました。
雨雲が空を覆っています。
桜並木を上っていきました。
原っぱをウロウロしていきました。
端っこまで行って、SORAは引き返しました。
SORAが桜並木を下り始めたので、帰ることにしました。
家に帰って玄関脇で、最初の写真のドクダミを見つけました。今年はじめて咲いた花です。
日中は昼前に買い物に出た以外は、家でテレビを観たり読書をして過ごしました。
夕方の散歩は小雨になった時を狙って、ちょっと早めの4時40分ころに出ました。
水溜りがあちこちにできています。
シロツメクサがたくさん咲いていました。
原っぱをウロウロしていきました。
公園を回ろうと上に上がりましたが、SORAはこの先で大トイレをすると先に行きたがらなかったので、戻ることにしました。
原っぱに馴染みのワンコを見つけたので、会いに行きました。
別れた馴染みのワンコです。オーストラリアン・ケルティーという犬種で、飼い主のお孫さんもいっしょに散歩していました(^^ゞ。
桜並木の降り口ですが、朝のときと同じように右の方を見ていました(^^ゞ。
下りて帰ることにしました。
右の草つきの斜面を、馴染みの柴ワンコが上っています(^^ゞ。
家に帰ってくると、カミさんが帰ってきていました。
明日(14日)は雲が広がった一日で、時々雨がポツポツとあるいは霧雨が降るようです。今日よりは気温は上がるようですが、少し肌寒そうです。































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