団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『青鉛筆の女』

<<   作成日時 : 2017/03/14 23:16   >>

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                 〔今日の夕空〕


 ちょっと変わった三重構造のミステリー『青鉛筆の女』を紹介してみる。
 作者は米国のゴードン・マカルパインで、本作はアメリカ探偵作家クラブ賞のペーパーバック部門にノミネートされたという。

 まず物語が始まる前に、まえがきのような次の3つの日付の出来事が書かれている。


<一九四一年十二月七日
 三百五十三機の戦闘機、爆撃機、そして大日本帝国海軍の六隻の航空母艦から発進した雷撃機が、なんの警告もなくハワイは真珠湾の米国海軍基地を攻撃。死者二千四百余、太平洋艦隊を大破された米国は、第二次世界大戦に参戦することとなった。

 一九四二年二月十九日
 大統領令九〇六六号により、米陸軍長官は国内に排除地域≠指定し、いかなる者にも立(た)ち退(の)きを命じうる′限を与えられた。その結果、太平洋沿岸では十一万人の日系人が強制収容所に移住を余儀なくされたが、その大半は米国市民であった。

 二〇一四年八月三十日
 カリフォルニア州ガーデングローブの、解体が予定されている家の屋根裏から埃(ほこり)まみれの貴重品箱が発見されて運び出された。そのなかには三つのものが入っていた。ひとつは一九四五年にウィリアム・ソーンというペンネームで刊行されたパルプ・スパイスリラー。もうひとつはその本の編集者から、おもに著者にあてた手紙の束で、日付は一九四一年から四四年にわたっていた。最後はおなじ著者による未刊の中編小説で、第二次世界大戦中に軍が支給した便箋百二枚に手書きされ、ところどころ泥や血で汚れていた。その原稿にはタクミ・サトーという著者の本名が署名され、『改訂版』というタイトルが付されていた。>


 三重構成というのは、この物語が貴重品箱から発見された3種のテキストが入れ替り立ち替り登場するということである。
 それはまず、タクミ・サトーという日系人の作者のハードボイルド小説『改訂版』で、日系アメリカ人サム・スミダが自分の妻が殺された事件を探っていく物語である。
 次は、このタクミ・サトーという新人作家に対して指示を出していくメトロポリタン・モダン・ミステリーズ社の女性編集者マクシーン・ウェイクフィールドの手紙。
 そして、その指示によって最初の『改訂版』が書き直され、朝鮮系アメリカ人ジミー・パークが私立探偵として日本のスパイ組織をめぐる連続殺人事件の謎に挑む『オーキッドと秘密工作員』というパルプ・スリラーになった物語。作者も日系人とはわからないペンネームとなっているのである。

 本文は「タクミ・サトー著『改訂版』 第一章」から始まる。
 舞台は、1941年12月6日のロサンゼルス。すなわち日本軍の真珠湾攻撃の前日で、ダウンタウンにある混み合ったリアルト映画館である。
 ところが、この作品では売れるはずがない。
 真珠湾攻撃があり日系人に対する排斥が起ころうとしている時に、主人公が日系アメリカ人のサム・スミダではいくらなんでも読者に受け入れられるはずがないのである。
 そこで編集者が、作者もペンネームにして、物語を日系スパイと対決するような話に仕立てるように提案してくる。そして書かれたのが『オーキッドと秘密工作員』という物語なのである。日本人の農夫が自分の豆畑で腹を切り裂かれて殺されていた事件を契機に、日本のスパイ組織の凄腕暗殺者との闘いに挑んでいく、という話である。
 『オーキッドと秘密工作員』は1945年に刊行されたわけだが、『改訂版』は本になることもなく、タクミ・サトーが密かに書き綴っていった物語で、作者が本当に書きたかった物語なのである。

 『改訂版』はSFのような状況が出てくる興味深いミステリーになっているし、『オーキッドと秘密工作員』とは相違点がありながらも微妙にシンクロしていて、双方を読んでいく面白さがある。
 興味深いのは、『オーキッドと秘密工作員』が編集者の意向を受けて書かれているのだが、編集者の要請が『オーキッドと秘密工作員』の抜粋された章の後から出てくるところである。
 “後出し”の編集者の意向にもかかわらず、『オーキッドと秘密工作員』がその意向を受けて書かれたということに気づくことができるのである。

 実は、この二つの物語の作者タクミ・サトーは、強制収容所に移住を余儀なくされるのだが、軍に志願し戦地に赴き戦死してしまっていた。
 『オーキッドと秘密工作員』は脱稿し編集者にすべての原稿を送っていたのだが、『改訂版』は戦地で残りを書き綴っていたのである。

 これから後はネタバレになるので、ご注意を(^^ゞ
 この作品は、二つの物語のそれぞれの面白さもさることながら、編集者の手紙に秘められた“嘘”が鍵になっている。
 最後の最後で、ちょっと気づきにくいかもしれないが、どんでん返しがある。
 復讐譚と言ってもいいかもしれないのだが、ひょっとするとわかる人は少ないかもしれない(^^)/。
 作者マカルパインの“いたずら心”が産み出したカラクリに富んだミステリーである。


<今日のお薦め本>
『青鉛筆の女 Woman with a Blue Pencil』 ゴードン・マカルパイン 著、創元推理文庫、1080円、17.02.28. 初版
 著者について、カバー裏から紹介しておきます。
<カリフォルニア州出身の作家。20代の頃にゲーム開発や映画・テレビのシナリオ執筆に携わったのち、1989年に Joy in Mudville で作家デビュー。その後、ダシール・ハメットが主人公の Hammett Unwritten(Owen Fitzstephen 名義)、エドガー・アラン・ポオの子孫の双子が主人公の三部作“The Misadventures of Edgar and Allan Poe”など、話題作を次々と発表。現在は妻とともに南カリフォルニアに暮らす。>

青鉛筆の女 (創元推理文庫)
東京創元社
ゴードン・マカルパイン

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<後記>いやあ、解説するのがとても難しい作品でした。ゴチャゴチャの紹介文になってしまい、どんな作品だかわかったでしょうか(^^ゞ。
 体調がいいときに気持ちをしっかりもって読まないと、わけがわからなくなって面白くないかもしれません(^^)/

 ちなみに、タイトルにある「青鉛筆」というのは、日本では編集者などが原稿を直す時は「赤字を入れる」と言って赤鉛筆や赤のペンなどを使いますが、米国では青鉛筆を使うところからきているということです。

 編集者というものの作家を繰る(?)巧みさとともに、その狡さが描かれている作品ともいえます。バカ親父にはとても面白かったのですが、一般的には評価は低いかもしれません(^^ゞ。

 昨日(13日)の夜、ブログアップをしたあと激しい雨がしばらく続きました。
 今日(14日)は曇りの一日で、夜になってすこし雨になりました。
 夕方の散歩は5時過ぎに出ました。黒雲がたくさん出ていました。

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 公園を一周していきました。

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 猫のシッポ(?)のような雲がありました(^^ゞ。

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 原っぱに出てウロウロしていきました。
 北東の風に、黒雲が南西に急速に流されていました。

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 斜面下のユキヤナギが、ますます咲いてきています。

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 草つきの斜面を下りていきました。

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 SORAはスリスリはしませんでしたが、さかんにクンクンはしました(^^)/。

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 ちょっと寒かったですが、すこしマッタリしました。

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 1分もしないうちに、雲がこんなに流れていきました。

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 明日(15日)は曇りの一日で、にわか雨があるかもしれません。北寄りの風が強くて、寒くなりそうです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
風が強かったですね〜!今日は雲の流れが早かったですよね。乾燥しているので砂ぼこりもすごいし、花粉も大量飛散のようですね。
ホントだぁ猫のシッポ雲〜、くねっとしてますね。上から9枚目の大小の雲はふっくらしたビックリマークみたいでちょっと可愛らしいです(^^)。
SORAちゃん昨日はクンクン気分だったんですね。
ひぽたん。
2017/03/15 18:43
☆ ひぽたん。さん、こんばんは♪
 昨日も今日も北寄りの風が強いです。それに今日は冷たい風でした。
 花粉の飛散がピークのようですね。なんとか今のところ凌いでます(^^ゞ。
 猫のシッポにしてはちょっと太いかもしれませんが、面白いです。ふっくらとしたビックリマークもありましたね(^^)/。
 SORAはクンクンからスリスリにいくことが多いんですが、昨日はクンクンだけの気分だったようです(^^ゞ。
遊哉
2017/03/15 19:14

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