団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『東の果て、夜へ』

<<   作成日時 : 2017/09/24 21:35   >>

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                  〔今日の夕焼け〕


 ロード・ノベルであり、ひとりの少年の成長物語ともなっているクライム・ノベル『東の果て、夜へ』を紹介してみる。
 作者はビル・ビバリーで、2016年の本書がデビュー作だが、英国推理作家協会(CWA)賞最優秀長篇賞(ゴールド・ダガー賞)、同最優秀新人賞(ジョン・クリーシー・ダガー賞)を同時受賞した。

 三部構成で、「ザ・ボクシズ」「バン」「オハイオ」というタイトルになっている。
 プロローグは、次のように始まる。


<    

 箱庭(ザ・ボクシズ)がすべてだった。少年たちはそこしか知らなかった。
 車が通り(ストリート)を進む。まだ体(てい)をなしている車や骨組みと化した車のあいだを縫って、紙片やガラス片が散らばる通りを、そろりそろりと。
 少年たちは見張っていた。黒い家と家のあいだにかろうじてあいている隙間に光が満ち、すかすかの歯のようになった光景を見ている。朝方まで見張る。フィンは子供を夜通しの見張りには立たせるなと教えていた。二交代制がいい。途中で交代が入れば気も張る。居眠りすることもない。一人前にもなる。

家≠フドアがあき、ふたりの客(U)がふらふら出てくると、太陽に面食らい、しばらくぶりで昔の女に出くわしたかのように、物欲しげなまなざしで空を仰いだ。こんなふうに中でいい気分になってから出てくる者もいれば、悠々と入ったのに、這って出てくる者もいる。今出てきたふたりは、見張りの少年たちには目もくれなかった。玄関前の通路から五段の階段を降りて路地の前に来たUは、低い石塀に寄りかかった。ひとりがもうひとりの掌を派手に叩いた。よくある光景だ。
 またドアがあいた。骸骨(がいこつ)のような顔、への字に曲がった口、見ひらいた目、べったりなでつけた髪。シドニーだ。ジョニーとふたりで家≠管理し、ビジネスを切り盛りし、三十分おきに十代(ティーンエイジ)の使い走りにブツを運び入れさせ、カネを運び出させている。そのシドニーが様子を窺(うかが)うネズミのようにきょろきょろしたあと、階段に何かを置いた。段ボール箱に入った冷えた缶コーラと栄養ドリンク。少年のひとりがその箱を取ってきた。少年たちが一本か二本手に取った。ふたをあけ、暗がりで立ち飲みした。
 朝はまだ寒く、うっすらと靄(もや)がかかっている。家々の隙間に光がこぼれ出し、街並みをほんのりピンク色に染めている。右から足音が近づいてきた。出勤中の工員だ。上着を羽織り、黄色いネクタイを巻き、金のスタッドピアスを着けている。少年たちが工員を上から目で追う。工員は顔を上げない。この手の連中、ネクタイを巻いて金属のタイピンで留め、なぜかザ・ボクシズを離れない黒人たちとは口を利かない。家≠ノもいれない。この手の連中が家≠ノ入ってしばらく籠っていれば、そいつらに用があるやつが捜しに来る。だからいれない。それもフィンの教えだ。
(後略)>


 いったいこの少年たちは、何をしているのだろうか? と思わされる。
 舞台はLA(ロスアンゼルス)のザ・ボクシズという地区である。
 主人公は、「家」と呼ばれる麻薬の斡旋所の見張り役を2年間務めているイーストという15歳の黒人少年である。そこを取り仕切る組織のボスは、彼のおじのフィンだった。
 イーストは見張りをする少年たちのリーダーだったが、ある日近所で起きた火事の混乱時に、少年たちが見張りをしていたにもかかわらず、警察の手入れを受け銃撃戦になったしまった。

 それを契機にイーストはその任務を解かれ、ボスの命令で3人の仲間とともにLAから2000マイル離れたウィスコンシン州に、組織の仲間の裁判で証人となった判事カーバー・トンプスンを殺しに行くことになった。彼にとって、LAを出るのはこれが初めてのことだった。
 4人のリーダーは元学生で20歳の組織の出世頭マイケル・ウィルソン、学生だが組織のコンピューター技術担当で17歳のウォルター、そしてイーストの弟で13歳だが殺し屋になっているタイである。
 タイは幼くして家を飛び出し、イーストとは2年間いっしょに生活しただけで、確執がいろいろあった。イーストはタイのお目付け役という役目だった。

 この旅は、驚いたことにウィスコンシンまでは飛行機ではなく、車で行かなければならないという。それに、ホテルなどにも泊まらず車で寝起きしろという命令だった。身元を隠し跡を辿られないためである。
 殺人に使用する銃も途中で見つかってはまずいので、現地で手に入るように連絡先を指示されていた。

 そんな4人の少年たちの旅が始まったが、何かが起こらないほうがおかしい。
 やがて、とんでもないことが次々と起きていく。
 はたして、4人は殺しをやり遂げることができるのだろうか?
 そして、そのあとにどんな運命が待ち受けているのだろうか?
 その答えは……もちろん、言えない(^^)/。

 ここで、この作品の書評をひとつ紹介しておく。
 池上冬樹さんが先週発売された『週刊文春』(9月28日号)の書評欄で本作品を取り上げ、次のように書いていた。

<ビル・ビバリーの『東の果て、夜へ』は、小説デビュー作。麻薬斡旋所の見張り役を務めていた十五歳の黒人少年イーストが、ボスの命令で殺し屋の弟たちとともにLAから二千マイル離れたウィスコンシンに向かい、裁判の証人を殺そうとする話だ。
 犯罪小説、ロードノベル、成長小説の要素が巧みに組み合った作品である。さりげない風景描写にも一刷毛の抒情があり、残酷かつ冷酷な世界を艶やかに輝かせている。少年たちの物語なのにひたすらハードで、抑制がきいているのに狂おしくエモーショナルで、終盤はたんたんとリリカルなのに、ただもう読者は緊張に震え、ため息をつきながら読むことになる。人物描写、プロット、語り、文体とすべて堂々たるレベル。異例だが、デビュー作なのに英国推理作家協会賞最優秀長篇(ゴールド・ダガー)賞と同最優秀新人賞を同時受賞し、さらに全英図書賞やLAタイムズ文学賞にも輝いている。圧倒的で素晴らしい傑作。紛れもなく今年のベスト1候補だろう。採点は★★★★1/2。>

 バカ親父も、“緊張に震え、ため息をつきながら読”んでいた、のである(^^ゞ。
 犯罪の世界に身をおく黒人の少年たちのロードノベルというのは、今までになかったもので興味深かったし、主人公の少年の成長を、切なさややるせなさを覚えながら応援したのであった(^^)/。


<今日のお薦め本>
『東の果て、夜へ Dodgers』 ビル・ビバリー 著、熊谷千寿 訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、994円、17.09,15. 発行
 著者について、カバー裏などから簡単に紹介しておきます。
<1965年アメリカ合衆国ミシガン州生まれ。文学研究者、作家。フロリダ大学で米文学博士号を取得し、現在トリニティ・ワシントン大学にて教鞭を執る。2003年、犯罪者の逃亡物語について論じた On the Lam: Narratives of Flight in J. Edgar Hoover's America という研究書を発表。2016年、本書で小説家としてデビューし、世界的な高評価を得た。>

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
ビル ビバリー

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<後記>いわゆるノワール(暗黒・悪漢小説)で、それも少年たちが人を殺しに行くという内容なので、読む前から拒否反応を起こす方もいるだろうし、読んでも評価が分かれるかもしれません。
 でも、自身ではどうすることもできない出自、生い立ち、現実の犯罪が支配する生活のしがらみから、ひとりの少年がいかに脱け出していくかという成長物語でもある、というのが救われるところです。

 原題の“Dodgers”というのは、「Go East」と題された解説で諏訪部浩一(東京大学准教授)さんが、次のように書いていました。
<「批評的」な作家は、自分のやろうとしていることをよくわかっている。例えば、本書の原題は『ドジャース』Dodgers であり、これは直接的には、四人の黒人少年がLAを出発するときにドジャーズのTシャツや帽子を(白人は野球が大好きだからという理由で)身につけさせられることに由来するが、本書がクライム・ノヴェルであることを思えば、「dodge」に「身をかわす、(困難などを)巧みに切り抜ける」という意味もあることは偶然ではないだろう>
ということです。

 ザ・ボクシズ(箱)という狭いエリアから外に出て、忠誠を尽くしていた組織(父代わりのおじフィン)からも抜け出て、「東」に向かい新しい世界を見つけ出そうとする主人公の“イースト”という名前が、とても象徴的だと思いました。
 “圧倒的で素晴らしい傑作”です(^^ゞ。 


 今日(24日)は一時陽射しもありましたが、曇りがちで涼しい一日でした。
 夕方の散歩は5時過ぎに出ました。

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 北西の空には雲がたくさんあり、夕日はまったく見えません。
 公園を回っていきました。

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 北の空には黒雲が伸びてきていました。

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 原っぱをウロウロしていきます。

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 東や南東の空にも黒雲が流れていました。

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 SORAはスリスリ(^^ゞ。

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 南西の空です。

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 SORAは場所を変えてスリスリしました。干からびたミミズがあったので、臭いづけのようです(^^;。

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 SORAは動かなくなり、マッタリを続けました。

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 北西と東の空がほんのりとピンクに染まってきました。
 そして……

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 夕焼けになりました(^^)/。

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 北の空も染まりました。
 南西〜北〜南東までの空をぐるっと撮ってみました。

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 東の方は暗くなりつつありました。

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 夕焼けの色が少し赤っぽくなった気がします。
 帰ることにしました。

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 今日は無理だと思っていた夕焼けが見られてよかったです(^^♪。

 明日(25日)は日中は陽射しが届きますが、にわか雨の可能性があり、一時的な強雨や落雷の恐れもあるようです。
 気温はそこそこで過ごしやすそうです。

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