団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『肉弾』

<<   作成日時 : 2017/12/24 22:10   >>

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                〔今日の夕空と月〕


 はじめて読む作家、河崎秋子さんの『肉弾』を紹介してみる。
 北海道の原野で熊(ヒグマ)と闘っていくというサバイバルもののサスペンスである。

 次のような13章に分かれている。

 狩場へ/謝肉/不帰(かえらず)の淵/名を欠いた者/孤走/不死犬/翻意/あいくるしく/純化/悪神嗤う/フラット/サバイバー/狗命尽きず

 プロローグは次のように始まる。


< 狩場へ

 キミヤは夢を見ていた。薄暗い、同じような部屋ばかりが続く建物で、一人で何かから逃げている。追ってくる者の姿は見えない。気配もない。追いつかれたらどんな事が起こるのかなんて分からない。ただひたすら、見えないものに怯(おび)えて逃げ続ける。
 後ろを振り返り振り返り、次の部屋また次の部屋と逃げながら、キミヤは自分が今、夢の中にいるのだと思っている。前夜やったホラーゲームの影響なのだとまで理解している。ほら、そこの緑色のソファ、ゲームに出てきたやつと同じだ。部屋の照明も画面の暗さそのままだ。
 そこまで分かっていながら、追われて逃げる焦燥感だけは奇妙にリアルで、背中を冷たい汗が流れる。身体が恐怖を感じ取っている。何かひどいことが起きそうな予感がする。どこか安全な場所に駆け込みたいと思う。早く、今すぐに。絶対に安心できる場所へと。
(後略)>


 これから起こることを暗示しているような導入部である。

 さて、あらすじを書こうと思うのだが、『本の雑誌』(’18.1月号)の「新刊めったくたガイド」に北村浩子さんが、“河崎秋子『肉弾』をかぶりつきで読むべし!”と題して、あらすじをとてもうまくまとめて書評されていた。
 
 ズルをして、それをお借りすることにする(^^ゞ。

<すげえ、と単純極まる言葉が口から小さく出続けるのを止められない。河崎秋子『肉弾』(KADAKAWA 一六〇〇円)は、父と2人で暮らす引きこもりの青年キミヤが北海道で過ごす、いや、生き抜く、数日間の物語だ。
 離婚を繰り返す父に対して軽蔑とも憎悪ともつかない気持ちを持つキミヤ(貴美也、なのだが彼はこの表記を嫌っている)は、その父に半ば強制されて鹿狩りに同行する。銃の所持許可証と狩猟免許は持って(取らされて)いたものの獲物を仕留めたことのないキミヤは、引っ張られるように摩周湖周辺の山奥に入って行くが、父の目的は鹿ではなく、熊だった。
〈いかにも楽しいゲームの前であるかのように〉笑っている父に強い嫌悪と失望を覚えたキミヤは、その背中に銃口を向ける。そのキミヤの背後に赤黒い巨大な熊が現われる。そうか、このあと熊との戦いがじっくり描かれるんだ、そして親子が共に戦うことで心を通わせるんだと思った。まったく違った。銃声すら吸収されてしまう国立公園内の森にひとり、キミヤは取り残されてしまうのだ。
 ここからの展開と、繰り出される描写の容赦のなさに比喩でなく震える。銃を失くしたキミヤはナイフで自殺を図ろうとする。しかしそこにあらわれた野犬がキミヤの生存本能を呼び覚ます。〈自分の肉体が存在することを、自分が肯定しなくてどうする〉〈俺は俺を殺さない〉という境地を得たときの彼の眼差しを想像せずにはいられない。野犬が野犬になった経緯(彼らを飼っていた人間どもの所業!)も織り交ぜながら語られる、キミヤが獣に変貌する物語を、鳥肌を立ててかぶりつくように読んで欲しい。寝る前に少しずつではなくぜひ一気に。>

 バカ親父も昨日、夕食を挟んで一時中断したが、かぶりつきで一気に読んでしまった。
 次から次へと語られる出来事とこれからいったい何が起こるんだろうという期待で、よそ見なんぞしていられなかったのである(^^ゞ。
 あらすじは北村さんがネタバレギリギリのところで過不足なく描いているので、これ以上は秘密である(^^ゞ。

 実は、12月10日の朝日新聞・書評欄の「著者に会いたい」に、河崎さんが取り上げられていたので少し紹介しておく。インタビュー記事である。
 どんな方なのか、そして『肉弾』を書いた意図などがわかると思う。

 河崎さんは現在38歳で、北海道の東、野付半島がある別海町で生まれ育ち、実家の牧場で羊を飼育、出荷している。大学卒業後、ニュージーランドで羊の飼育技術を学んだということである。
 毎日、朝5時起きで、この時期は指の感覚を失うほど寒い日もあるが、風邪でも寝不足でも、重労働と執筆は同時進行で、3時間しか眠れぬ日もあるという。「寿命を削るように書いています」と語る。
 2014年に『颶風(ぐふう)の王』で三浦綾子文学賞を受賞している。

<『肉弾』で書きたかったのは「人間の小ささと根性」だという。(中略)独り恐怖に向き合った主人公は、自らも獣として命を守るしかないと決心。人間であるゆえんとも言える文明や知性も、野生の中では役立たないと思い至る。
 「人も、生物種のほんの一つ。肩書や虚勢を取り払った状態で、野生生物と同等の環境に置きたかった。自然を満喫、なんて言いますが、本当の自然はおっかないんです。でも、生物のなかでの人間の立ち位置は、意外にすごい」。
(中略)
 個々の人生の意味より、人間が存在する意味や、他の動物への影響力に興味がある。羊の品種改良をとってみても、人間の役に立つ限り、その種は残っていくということ。「人にもてあそばれているようで、必ず繁殖できる。動物の生存戦略にしてみれば、これ以上ないほどプラスかもしれない」
 北の暮らしが生む物語には、飾りのない力強さがある。「基本は農家のおばちゃんですから」>


 写真が載っているが、目力の強い方である。
 この本は、女性が書いたとは思えないような、飾りのない力強さのある物語である(^^ゞ。 


<今日のお薦め本>
『肉弾』 河崎秋子 著、KADOKAWA 刊、1728円、17.11.10. 再版発行(17.10.06. 初版発行)

肉弾
KADOKAWA
2017-10-06
河崎 秋子

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<後記>キミヤは熊(ヒグマ)に襲われた直後、8頭の野犬の群れに襲われます。
 それは、ハスキー系のメス(実は狼犬)をリーダーとして、白黒の猟犬系の中型犬がサブリーダー、他に茶の雑種が3頭と、混血らしきブルテリア、チワワ、フォックステリアの計8頭です。
 キミヤはその時はなんとか逃げ切りますが、そのあとでまた襲われます。意を決してリーダー犬と対決して打ち負かすと、その犬は飼い犬だったころの従順さを取り戻し、群れ全体とも対等につき合えるようになります。
 元々飼い犬だったそれらの野犬は、飼い主との関係が壊れて野生に戻った犬たちです。人と犬との関係を、改めて考えさせられました。

 実はキミヤのヒグマとの対決は、この野犬の群れといっしょになってなされるのですが、最後は自分の肉体の限界を超えるような獣となっての戦いとなります。まさに“肉弾”といっていいようなものです。
 過酷な自然のなかでの野生そのもののヒグマとの闘いは、弱く頼りなく情けない人間であると自覚した青年のわが身を賭した捨て身の闘いへと変貌していきます。
 自身を失くし引きこもっていた一人の青年が命を取り戻していく“すげえ”物語です(^^)/。


 今日(24日)は曇りがちで陽射しは少なかったですが、夕方になって少しずつ出てきました。
 カミさんは実家に今年最後のご機嫌伺いに行きました(^^ゞ。
 夕方の散歩に出たのは4時20分ころでした。

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 西の空は小焼けになっています。雲は少なかったです。
 公園に行き、原っぱに向かいました。

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 南の空に月が見えました。

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 サザンカが散っています。

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 原っぱに出て、ベンチに向かいました。

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 ベンチにいたSORAはすぐに下りて、お座りをしてあちこち見ていました。

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 左を振り返ると、今日も月が見えました。

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 遠くにやってきた柴ワンコを見ています。
 SORAが帰りたそうなので、帰ることにしました(^^ゞ。

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 桜の花芽はまだまだ小さい(^^)/。
 草つきの斜面を下りることにしました。

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 斜面で一休みしました(^^ゞ。

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 明日(25日)は未明まで雨が降り、日中は晴れて穏やかな空になるようです。寒さ控えめですが、日が陰るとグッと冷え込むようです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ワンコの後ろ姿って好きなんですよ。
なんか・・知性を感じます。(^^♪
y&m
2017/12/25 12:55
☆ y&mさん、後姿のワンコは、何かを語りかけているような気がします。
 何を言いたいんでしょうね(^^ゞ。
遊哉
2017/12/25 15:04

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