団塊バカ親父の散歩話

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zoom RSS 『帰郷戦線 ―爆走―』

<<   作成日時 : 2018/09/17 22:23   >>

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               〔公園の赤くなったサザンカの実〕


 米国の作家ニコラス・ペトリのデビュー作で、怒濤のスリラー&アクション小説『帰郷戦線 ―爆走―』を紹介する。

 プロローグは次のように始まる。


<   プロローグ

黒いキャンバス地のジャンパーを着た男

 男がハーダーズ農具店に入ると、戸枠に取りつけられたクロムめっきのベルが鳴った。黒い色褪せたジャンパーのせいで、その身体は実際よりも一まわり大きく見える。ジョン・ディアのロゴ入りの帽子を目深にかぶっているが、店内に防犯カメラはない。農業用品を扱う店のつねとして、そこもやはり辺鄙な場所にある。
 傷だらけのフォーマイカのサービスカウンター。煮つまったコーヒーが入ったポット。順番待ちの客や、話し相手をほしがっている年寄りのために置かれた数脚の椅子。このような場所が人づきあいの少ない田舎の農民の社交場になっていることは、先刻承知の上だった。彼自身、他州ではあるが、やはり農家の出だ。
(後略)>


 この“黒いキャンバス地のジャンパーを着た男”というのは、いったい何者なのか?
 物語の中で、この“黒いキャンバス地のジャンパーを着た男”という男の描写が、本文に併行して挿入されていく。
 その正体がわかるのはだいぶ後になってからで、ラストで重要な役割を果たすことになる。

 短いプロローグの後で、第一部が次のように始まる。


<    

 一匹のピットブルが玄関のポーチの下に入りこんで出てこようとしない。
 チャーリー・ジョンソンは言った。「何週間もまえからそこにいるんだ。近所のネコや犬を捕って食っていてね。弟は玄関から外に出ることもできない」
 その家は百年ほど前に建てられたもので、敷地は狭く、家と同様に往時を偲ぶすべもないミルウォーキーの寂れた地区のはずれにある。いまは十一月の初旬で、ウィスコンシンの基準からしても、かなり寒い。頭上に高くのびた木々はすでに葉を落としている。
 それでも陽があるので、多少はしのぎやすい。朝の空は高く、青く澄んでいる。耳鳴りはしない。そんな朝ではない。
 ピーター・アッシュは訊いた。「それはどれくらいの大きさの犬なんだい」
 チャーリーは首を振った。「さあ。近くでも、明るいところでも見てないから。でも、バカでかいのは間違いない」
「動物保護局に電話したかい」
「ママがした。局のひとがふたり来たけど、ポーチの下を覗いただけで、すぐに車に乗って帰っちゃった」
 チャーリーは学校の制服を着ている。耐久プレス加工された水色のシャツ、ポリエステルの紺のズボン、大きな足に、ピカピカの黒い大きな靴。痩せていて、耳がやけに大きく見える。年は十二歳。一日に六回食事をしても、まだ腹をすかしているような年ごろだ。
 けれども、その日は年以上の知性を宿し、見逃すものは何もないように思える。
 いまはピーター・アッシュをじっと見ている。
(後略)>


 舞台はミルウォーキーで、上に出てきたピーター・アッシュという男が主人公である。
 2001年の9.11同時多発テロのあと、彼は“国のために役立ちたい”と海兵隊に志願し、アフガンとイラクの最前線で8年間戦った。
 でも、それは為政者のための戦争で“まちがった戦争”だった。生きて帰ってきたものの、心の中には恥という意識が埋め込まれた。
 そして、発作が起きた。胃の痙攣や肩や背中の引きつり、耳鳴りと胸の圧迫感を覚えて動悸がし、息が苦しくなった。PTSDを発症したのだ。
 その発作はやっかいなことに、閉ざされた狭い空間に入ると起き、街中では暮らせなかった。
 そこで、一年間山にこもって暮らしていたが、食料の調達のために里に下りると、店のドアに近づいただけで発作が始まり、必要なものだけを手に入れると、逃げるように山に戻っていた。

 ある時、退役していた元部下ジミー・ジョンソンが自殺をした、ということを聞き及んだ。
 自分が退役した時は必ず尋ねるという約束を果たせぬまま、ジミーを自殺させてしまったと、ピーターは自責の念に苛まれる。
 そこで、ジミーの妻で、チャーリーとマイルスというふたりの息子を育てているダイナを助けようと、山を下りた。

 ダイナを尋ねたピーターは、海兵隊には補助制度があると嘘をつき、ダイナと息子たちが住む古い家の修理をすることにしたのである。
 まずは木が腐っていて危険なポーチを直すことにしたのだが、“墓穴四つ分”しかないような狭いところに這いずり込まなければならない。
 しかもそこには、体重150ポンド(68s)はあろうかと思われる馬鹿でかいピットブルがいたのである(^^)/。

 さてここで、ちょっと道草を食うことにする(^^ゞ。
 ピットブルというのは、アメリカン・ピット・ブル・テリアといい、現在は禁止されている闘犬用に米国で改良された大きめの中型犬である。どうひいき目に見ても、ブサイクで恐ろし気な顔の犬である(^^ゞ。
 普通は体重14〜36sであるが、なかには60sを超えるものがいるという。
 噛む力が強く、攻撃的な性格で、英国などでは1991年に輸入・所有を禁止した。米国内でも、所有・飼育を禁止している州や市もあるということだ。
 筋肉質で身体能力は高く、我慢強く明るい性格で、飼い主には忠誠心と服従心が強く、躾をしっかりすればとてもいいペットになるという。
 バカ親父は、こういう犬が意外と好きである。ひょっとすると、SORAにも少しピットブルの血が混ざっているのではないかと密かに思っている(^^ゞ。

 そんなピットブルだが、どうしてダイナの家のポーチの下にいるのだろうか?
 ピーターが作業を進めるために、このピットブルと格闘しながら捕まえロープに繋いだ。すると犬の隠れ場のすぐ後ろにスーツケースが見つかった。
 中身は、なんと40万ドルとプラスティック爆弾だった。
 ジミーの家は裕福ではない。今もダイナは看護師をしながら女手ひとつでふたりの息子を育て、家のローンも払いきれないほどなのだ。
 スーツケースはジミーが隠したものと思われたが、なぜそんな大金と爆弾を手に入れ隠していたのか?

 ピーターが調べていくと、ピットブルはジミーが密かに飼っていた犬で、名前をミンガスといい、スーツケースを守るためにジミーの指令を受けていたことがわかってくる。
 謎を解こうとなおも調査を続けていくと、ジミーやダイナの周囲に怪しげな人物が出没し、理由もわからないままに何者かに命を狙われるようになってしまった。
 徐々に見えてきたのは、極悪非道のとんでもない陰謀だった。
 ピーターはダイナと子どもたちを守るために、故国での激烈な戦いに身を投じていくのだった。

 あらすじは、このくらいでオシマイにしておく(^^)/。

 邦題のサブタイトルに“爆走”とあるが、ラストで怒濤のまさに“爆走”場面が続き、手に汗を握らせてくれる。
 原題は“The Drifter”で、「さまよえる者」という意味である。
 これは、戦場で生死の境をくぐり抜けてきた帰還兵たちがPTSDなどで、ある者は悪の道に入ったり、ある者は歯を食いしばりながら正しい道を歩もうとしたり、ある者は迷い続けたり、ある者は錯乱して人を傷つけたり、といった居場所を見つけられずにさまよっている者たちを表している。
 登場人物たちのうちでも、刑事のサム・リブスキーは元レンジャー部隊員だし、ジミーとダイナのかつての友人だったルイスも、“黒いキャンバス地のジャンパーを着た男”も……多くの帰還兵たちが出てくる。
 そんな帰還兵たちが織り成す、ラストへ向けての出し抜いたり出し抜かれたりしながらの物語が爆走していくのである(^^)/。


<今日のお薦め本>
『帰郷戦線 ―爆走― THE DRIFTER』 ニコラス・ペトリ 著、田村義進 訳、ハヤカワ文庫、1274円、18.09.15. 発行
 著者について、カバー裏から紹介しておきます。
<ワシントン大学、ミシガン大学卒。デビュー作である本作(2016年)で、国際スリラー作家協会賞とバリー賞の最優秀新人賞を受賞し、その後も同じくピーター・アッシュを主人公にしたシリーズを2作発表した。妻子とともにミルウォーキーに住み、執筆のかたわら、現在も大工や建築検査官として働いている。>

帰郷戦線―爆走― (元海兵隊員ピーター・アッシュ・シリーズ)
早川書房
ニコラス・ペトリ

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<後記>嬉しいことに、前半では暴れ回るなど、どうしようもなかったピットブルのミンガスは、しだいにピーターと心を通わせるようになり、後半では大活躍します(^^ゞ。
 犬が活躍する物語というのは、もうそれだけでも嬉しくなります(^^)/。

 ダイナはとても魅力的な女性ですが、ジョシーという退役軍人センターのスタッフとして活き活きと活動している元空挺部隊員だった女性にも、とても惹かれるものがあります(^^ゞ。
 ダイナの長男チャーリーも純真で勇敢で、幼いながらもピーターを助けてくれます。
 良くも悪くも個性的なキャラクターの登場人物が多く、物語をより面白くしています。
 戦争とその後遺症というちょっと重いテーマを内に秘めてはいますが、小気味よく展開するスリラー&アクション小説で、最後にはすがすがしい清涼感を味わうことができると思います(^^)/。

 忘れるところでしたが、昨夜11時20分ころに、カミさんは九州から帰ってきました(^^)/。
 今日(17日)は午前中は陽射しも届いて、気温が上がっていきました。

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 SORAはそんな日の当たる廊下で寝ていましたが、しばらくするとハアハアしながら戻ってきて、フローリングの上に横倒しで寝転びました(^^)/。

 午後になると雲が増えてきて、3時半ころから急に暗くなり、遠くに雷鳴も聞こえました。
 雷雨になると嫌なので、散歩に出たのは早めの4時半ころでした。

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 空は雲に覆われ、夕日は見えません。
 公園を回っていきました。

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 灰色の雲ですが渦巻いているようで、いろんな模様をつくっていました。

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 原っぱをウロウロしていきます。今日も親子や子どもたちがたくさん遊んでいました。

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 SORAは場所を少しずつ変えながら、スリスリをしまくりました(^^)/。

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 ベンチに向かいました。

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 上の2枚は北の空ですが、雲が東に流れていて4分の間にだいぶ変化がありました。

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 SORAは、ワンコ2匹をしばらくロック・オンしていました(^^ゞ。
 帰ることにしました。

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 紅葉を始めた桜です。

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 夜になって、8時ころから時々雨がわりと激しく降るようになりました。

 明日(18日)の横浜の南の端っこの天気は、日中は陽射しが届きますが、夕方からは雨が降りやすく、時に雷を伴って強まることもありそうです。南寄りの風で、日なたでは汗ばむ暑さになるようです。

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