『償いの雪が降る』




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               〔夕散歩の帰りの時の東の空。月も見えた〕


 余命わずかな元服役囚の過去に犯した殺人事件の真相を探るミステリー『償いの雪が降る』を紹介する。
 作者は米国の作家アレン・エスケンスで、本作がデビュー作である。

 主人公は、語り手でもある21歳のミネソタ大学の学生ジョー・タルバートである。
 プロローグは、次のように始まる。


<   第一章
 あの日、車に向かって歩いていくとき、胸騒ぎがしていたことを僕は覚えている。不安の波が押し寄せ、頭のまわりで渦(うず)を巻き、夜にぶつかってさざなみへと変わったことを。世間にはこういう感覚を虫の知らせと呼ぶ人もいる。時間のカーブの先を見通す、内なる第三の目からの警告だと。僕はその手のことを信じるタイプじゃない。でも白状すると、あの日を振り返って、こう考えることはときどきある。もし本当に運命が耳打ちしていたら――もしあの訪問が多くの変化を引き起こすと知っていたら――僕はもっと安全な道を選んでいただろうか? あのとき、右に曲がったところで、左に曲がっただろうか? それとも、やっぱり同じ道を行き、カール・アイヴァソンにたどり着いたのだろうか?
(後略)>


 ジョーはつい1か月前、苦労して貯めた学費で念願の進学を果たし、アルコール中毒で自分勝手な母親キャシーと自閉症の弟ジェレミーのいる実家を飛び出し、大学近くのアパートでひとり暮らしを始めた。
 ジェレミーのことは心残りだったが、家を出たのも、大学に入ったのも、八方ふさがりの状況から脱出し、自分の人生を切り開くためだった。

 ところが思わぬ壁にぶつかった。まだ定員に達していないという理由でとった伝記執筆の授業で、身近な年輩者にインタビューし、その人物の人生の物語を書くという課題を与えられたのである。
 でも、彼には“身近な年輩者”などという人がいなかった。貧しい母子家庭で育ち、父親には会ったこともなく、祖父母やその他の親戚もなく、母親の人生を物語るなど論外だった。
 そこで彼は、近くの町の老人ホームを訪ね、適当な老人を紹介してもらうことにしたのだ。

 こうしてジョーが出会ったのが、元受刑者のカール・アイヴァソンだった。
 カールは三十数年前、14歳の少女をレイプして殺害し、その遺体を物置小屋もろとも焼却した冷酷非情な殺人犯だった。
 終身刑に処せられていたが、癌で余命数か月となり、仮釈放を認められ、老人ホームで最後の時を過ごしていたのである。
 カールは臨終の供述をしたいとジョーのインタビューに応じることになった。

 しかし、インタビューが進み、カールのヴェトナム時代の戦友ヴァージル・グレイと話しをしたり、カールという人物に触れるにつれて、ジョーにはこの男が冷酷な殺人者とは思えなくなってきた。
 それに裁判記録も読んでいうちに、この事件に疑問を抱くようになり、真相を探ろうと決意した。
 思いを寄せるアパートの隣室の美人だが何か隠し事がありそうな女子大学生ライラ・ナッシュとともに、ジョーは埋もれていた真実を掘り起こし始めたのだ。

 ふたりの前には困難な障害がいろいろ立ちはだかってくる。
 それは事件の真相を探ることだけでなく、ジョーやライラの過去の出来事に関することや母キャシーの尻拭いや実家で悲惨な状況に陥っている弟ジェレミーを助けることなども含まれていた。
 はたしてジョーとライラのふたりは、カールの命が尽きる前に事件の真相を見つけることができるのだろうか?
 そして、それをカールに告げ、彼の名誉を回復することができるのだろうか?
 物語は次から次へと新たな展開をみせる。その疾走感が堪らない(^^ゞ。

 本作については、池上冬樹さんが『週刊文春』(2月14日号)の「ミステリーレビュー」で、次のようなことを書いていた。
 参考までに載せておくことにする(^^ゞ。

<緊迫感が豊かなのは、アレン・エスケンスの『償いの雪が降る』にもいえる。大学の授業で年長者の伝記を書くことになったジョーは、老人ホームで末期癌患者のカールを紹介される。三十数年前に少女をレイプして殺した男だが、話を聴くうちに事件に疑問を抱き、真相を追い求める。
 過去と現在を語る一つ一つの挿話と人物像がいい。謎めいたカール、彼の勇ましい戦友、それとジョーを悩まし続けるアルコール中毒の母親と自閉症の弟。特に自分のことしか考えない母親が強烈で、ジョーは経済的かつ精神的にも追いつめられていく。それでも隣人の女子大生の助けを借りて真相究明に乗り出していくのだが、この本筋は波乱に富み(ツイストもサスペンスもある)、本筋に絡む私生活も彩り豊かだ(悔恨にみちた祖父の思い出もいい)。展開が少し調子が良すぎる所もあるけれど、物語の結末は充分に温かく感動的ですらある。MWA賞やアンソニー賞は逃したものの、最終的にバリー賞など三冠を獲得したもの当然だろう。忘れがたい秀作だ。>
 ちなみに採点は、★★★★だった。


<今日のお薦め本>
『償(つぐな)いの雪が降る The Life We Bury』 アレン・エスケンス 著、務台夏子 訳、創元推理文庫、1274円、18.12.21. 初版
 著者について、カバー裏から紹介しておきます。
<アメリカ、ミズーリ州出身。ミネソタ大学でジャーナリズムの学位を、ハムライン大学で法学の学位を取り、その後、ミネソタ州立大学マンケート校などで、創作を学ぶ。25年間、刑事専門の弁護士として働いてきたが、現在は引退している。デビュー作である本書は、バリー賞ペーパーバック部門最優秀賞など三冠を獲得し、エドガー賞、アンソニー賞、国際スリラー作家協会賞の各デビュー作部門でも最終候補となった。その他の著作に The Guise of Another(2015)、The Heavens May Fall(2016)、The Deep Dark Descending(2017)、The Shadows We Hide(2018)がある。>

償いの雪が降る (創元推理文庫)
東京創元社
アレン・エスケンス

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<後記>主人公のジョーがピュアで、思わず応援したくなる魅力をもっています。
 彼はアルバイトとしてパブで用心棒をしていて、ある程度は強くて格闘技の心得もあります。でも、勝てそうもないと見れば迷わず逃げるし、結構よく泣いたりもします(^^ゞ。
 とはいえ、いざとなれば悪人たちに果敢に立ち向かってやっつけたりもするのですが、時にはボコボコにされたりもします(^^ゞ。
 事件の真相究明に関しては、無鉄砲な行動で危険も顧みず、大した作戦もなしに突き進むこともあります。
 強さや弱さや優しさや頼もしさを併せ持つ、かわいい青年で魅力的なのです(^^ゞ。

 ライラとの恋も、なんとも歯がゆいくらいにたどたどしく進んでいきますが、着実に育んでいきます。
 池上さんも書いているように“物語の結末は充分に温かく感動的ですらある”ものです(^^ゞ。
 お薦めの一作です(^^)/。


 今日(16日)は朝からいい天気になりました。
 気温は上がっていきましたが、暑さはあまり感じませんでした。

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 朝10時ころのSORAです。廊下で寝ていました(^^ゞ。
 昼前に買い物に行った以外は、テレビを観ていました。

 夕方の散歩は5時10分ころに出ました。薄雲があったものの、よく晴れていました。
 公園を斜めに上っていきました。

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 陽射しが強かったです。
 原っぱに出てウロウロしていきました。

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 薄雲がいろんな形をつくっています。

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 SORAはさっそくクネクネスリスリしました(^^ゞ。

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 SORAはテニスコート脇を上っていきました。

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 SORAはこの先で大トイレをしたので、原っぱに戻りました。

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 ベンチに座りました。

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 SORAはマッタリしていきました(^^ゞ。

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 雲はゆっくりと南東方向に流れていました。

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 SORAは気になるワンコが見えると、ベンチを下りて眺めていました。
 しばらくしてから帰ることにしました。

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 草つき斜面を下りていくことにしました。

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 昨日(15日)の夜、ウッディが来た時のことですが、カミさんがおバカなことをしました(^^ゞ。
 次女が四つん這いになって、「アップ!」と言ってウッディを背中に跳び乗らせると、それを見ていたカミさんが「それ、やってみて!」と言って、自分も四つん這いになりました。
 次女が「アップ!」と言うと、

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 ウッディが跳び乗ったので、次女が「伏せ!」と言いました。
 こんな感じになりましたが、カミさんは「背中が温かくて、気持ちがいい」などと言ってました(^^)/。
 腰が少し痛かったので、気持ちがよかったようです(^^ゞ。

 明日(17日)の横浜の南の端っこの天気は、昼間は一時曇っても、陽射しが届いて穏やかな天気になるようです。
 夏日になるかもしれませんが、過ごしやすそうです。

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