『砂男』



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            〔夕日でできた木の影〕

 スウェーデンの作家ラーシャ・ケプレルのスリリングなサスペンス・ミステリー『砂男』を紹介する。
 本作は “ヨーナ・リンナ警部” シリーズの四作目ということだが、これだけ読んでも充分に楽しめる(^^ゞ。

 プロローグは、次のように始まる。

<深夜、海から雪が吹きつけている。ひとりの若い男が、空中に高く架かった鉄道橋の上をストックホルムの方向に歩いていた。顔は曇りガラスのように白い。凍った血でごわついたジーンズをはいた青年は、レールの間の枕木を踏みしめた。五十メートル下には、細く裂かれたシーツのように浮いた内海の氷が見える。雪に覆われた樹木や港の石油タンクが霞(かす)み、はるか下ではコンテナクレーンの明かりが渦を巻く吹雪を照らしている。
 あたたかな血が青年の左腕を流れ落ち、手をつたい、指先からしたたり落ちた。
 ひゅうひゅうと風を切る音にまじり、レールがかすかにうなりはじめる。夜行便の貨物列車が全長二キロメートルの鉄道橋にさしかかり、接近してきた。
 青年はよろめいて線路にしりもちをつき、また立ちあがって歩きつづける。
 列車は空気を巻き上げ、雪煙が運転士の視界をさえぎる。運転士が線路上の男に気づいたとき、TRA✕✕型機関車(ボンバルディア・トランスポーテーション製の機関車)はすでに橋の中央に達していた。運転士が警笛を鳴らす。人影は倒れかけ、左に大きく一歩踏みだし、反対側の線路に移って細い手すりをつかんだ。
 青年の衣服がはためく。橋が足もとで激しく揺れる。青年は目を見開き、手すりをつかんだまま身じろぎもせずに立っていた。
 すべてが、渦巻く雪と底なしの闇にのみこまれる。
 青年が再び歩きはじめたとき、手についた血は凍りはじめていた。
 彼の名はミカエル・コーラー = フロスト。十三年前に行方不明となり、七年前に死亡が宣告されている。>


 ある吹雪の夜、ストックホルム郊外の鉄道橋の上でひとりの若い男が保護された。
 それは、ベストセラー作家レイダル・フロストの息子ミカエルで、13年前に妹のフェリシアとともに行方不明となり、7年前には死亡宣告を受け葬儀も済んでいたのである。
 彼は弱り切っていたがうわ言で、自分とフェリシアを誘拐し、狭いコンクリートの部屋に監禁したのは「砂男」であり、フェリシアもまだ生きていると言う。
 砂男というのは、いったい何者なのだろうか?

 ミカエルが生きて発見されたという報を受けた国家警察のヨーナ・リンナ警部は、激しい動揺を覚えずにはいられなかった。
 当時、彼は相棒のサムエルとともに捜査に当たったが、それがきっかけで彼の人生は一変していたのである。
 多くの人が行方不明となっていて、シリアルキラーのユレック・ヴァルテルという男を逮捕したのだが、判決後、彼からはヨーナもサムエルの家族も行方不明となり、ヨーナとサムエルは悲しみから自殺するだろうと脅かされた。
 他人を繰ることに長けたユレックは精神に異常を来していると、その後閉鎖病棟に隔離された。
 ところが、サムエルのふたりの息子と妻は行方不明となり、サムエル自身は悲しみのあまり自殺した。そしてユレックの妻と子どもは自動車事故で亡くなったのである。(これには裏があるのだが……(^^ゞ)
 ユレックには共犯者がいるとみなされたが、それが誰かは判明しなかった。

 ヨーナらは、まだ監禁されているというフェリシアの監禁場所を特定しようと、公安警察の女性警部サーガ・パウエルを精神異常の犯罪者として閉鎖病棟に潜入させ、ユレックからそれを聞き出そうとする。
 小型マイクを仕掛け、ユレックの発言を分析チームに送ることにした。
 彼の興味を引くことに成功したサーガは、「レミンスク」という言葉を引き出すことに成功する。
 ヨーナはその場所がユレックのルーツだと直感し、モスクワに飛んで、彼の父親がロシアの技術者でスウェーデンに亡命したことを突き止めた。
 ユレックの生い立ちを解きほぐしながら、彼の心を読み解こうとしていくのだった。

 はたして、フェリシアを生きている間に助け出すことができるのだろうか?
 なぜ、ユレックは誘拐・監禁や連続殺人を繰り返すのだろうか?
 ユレックの共犯者(砂男)は本当にいるのだろうか? いるとしたら、それは誰なのか?
 苛酷なミッションに取り組んだサーガだが、ユレックの隠された謎を解き明かし、閉鎖病棟から無事に戻れるのだろうか?

 複雑に絡みあった謎が謎を生み、それを解き明かそうとするヨーナやサーガは怒涛のクライマックスに突入していく(^^)/。


 最後に、池上冬樹さんが『週刊文春』(2月6日号)の「ミステリーレビュー」で、本作について書いているので紹介しておく。

<十三年前に行方不明になった少年が保護され、砂男に誘拐されていたと告げる。国家警察のヨーナ・リンナ警部はかつて一人の男を逮捕していた。そのユレックという男こそ、多くの失踪事件の首謀者で連続殺人犯と思われたが、共犯者が野放しになっていた。閉鎖病棟に収容されているユレックを尋問しようとするのだが……。
 帯に「9カ国でベストセラー1位を達成」とあるが、これは警察小説+潜入捜査+連続殺人鬼という設定が劇的でアイデアとサスペンスに富み、迫力満点だからだろう。大量の行方不明事件の真相も射程距離が長くて複雑。関係者をみな狂わせるユレックの存在感も抜群で、刑事たちが自己喪失になるくだりもスリリング。採点は★★★★。>


<今日のお薦め本>
『砂男 SANDMANNEN』(上・下) ラーシュ・ケプレル 著、瑞木さやこ/鍋倉僚介 訳、扶桑社文庫、各1100円、20.01.10. 初版第1刷発行
 作者について、カバー裏から紹介しておきます。
<アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナ シリーズは、40以上の言語に翻訳され、1千万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。>

砂男(上) (海外文庫) - ラーシュ・ケプレル, 鍋倉 僚介, 瑞木 さやこ
砂男(上) (海外文庫) - ラーシュ・ケプレル, 鍋倉 僚介, 瑞木 さやこ
砂男(下) (扶桑社BOOKSミステリー) - ラーシュ・ケプレル, 瑞木さやこ, 鍋倉僚介
砂男(下) (扶桑社BOOKSミステリー) - ラーシュ・ケプレル, 瑞木さやこ, 鍋倉僚介

<後記>本作は、全編これスリリングでドキドキで読み進みました。心臓の弱い方は読まないほうがよさそうです(^^ゞ。
 閉鎖病棟に潜入捜査に入ったサーガは、過酷な経験をすることになります。ガンバレ! と応援したくなるのでした(^^ゞ。
 主人公のヨーナの過去も語られていき、その冷徹で影があるものの温かみのある人となりが魅力的です。
 物語には大小さまざまな仕掛けが施され、派手でスピーディな展開と相まってダレることなく引きずり込まれます(^^)/。
 ドキドキハラハラしたい方には、またとない面白い作品だと思います(^^ゞ。

 今日(18日)はよく晴れましたが、昼ころは雲がわりと出ていました。
 気温はそれほど上がらず、北寄りの風が吹いてちょっと肌寒かったです。
 カミさんは朝食後、着付けの練習に行きました。
 テレビを観たり本を読んで過ごしました。

 夕方の散歩は4時10分ころに出ました。
 公園を斜めに上っていきました。雲が少し浮かんでいるものの快晴です。

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 夕日が眩しい。
 原っぱに出てウロウロしていきます。

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 原っぱの周りを回っていきます。SORAが大トイレを済ませました(^^ゞ。

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 公園を回ろうと思っていましたが、面倒になったので引き返すことにしました(^^)/。

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 原っぱに戻ってベンチに行きました。

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 北東の空に浮かんでいた雲です。

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 南東の風が吹いていて、北の雲は少しずつ小さくなっていきました。

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 ベンチを下りたSORAが、こちらを見てから、帰る方向を見ました(^^)/。
 帰ることにしました。

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 SORAが場所を変えてクネクネスリスリをたくさんやりました(^^ゞ。
 草つき斜面を下りて帰ってきました。

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 これも最初の写真と同じように樹の影です。

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 明日(19日)の横浜の南の端っこの天気は、晴れて大きな天気の崩れはなさそうですが、午後になると雲が増えてくるようです。
 日なたでは温もりを感じられるものの、朝晩は寒そうです。

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